KAITO

カビこんにゃく

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邂逅 チョコレートパフェ

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「なぁ、あんた。大丈夫か?こんなところで腰ぬかしちまって。」
「あ、あぁ、大丈夫ですよ…ちょっとめまいがしまして。」
女子高生が尻もちをついている男に声をかけた。こんな何もないところでこけるとは思えないし、やはり先ほどのスーツの男と喧嘩でもしたのだろうか。
「あたし、翔子。あんたは?」
「え、あ、青井です。」少し警戒し、立ち上がって青井は名字を名乗った。

「青井さん…ん~なんかしっくりこない、まぁいいわ。あんた、何でここでこけてたの?カエルでも見つけた?」
(名乗ったのにしっくりこないってなんだよ、このJK。みんなこうなのか?)と雄二が眉をひそめる。そんなことも気にせず翔子は返答を待っているため、雄二は先ほど起こったことを話した。

「なるほど…まわりはあの異常さに気がついていないのね。なんであたしたちだけなんだろう。」
「さぁ、わかりません。あとあの人に突き飛ばされた時に、嫌なことも思い出してしまって…。」
「…わかった、とりあえずあの人を追ってみない?現状あの謎を追えるのはあたしたちだけだし、まだそう遠くには行っていないはず。」
「え、なんで追わないといけないんでs「あたししか解決できないと思うから!」
食い気味に答える翔子にたじろぐ雄二。周りの人の視線があつく二人にフォーカスされる。雄二はその視線に耐えられず、(どこかで話しましょう)と耳打ちする。翔子もうなずき、二人はColorfulに向かった。

―Colorful、九十九地方を中心に展開するファミレスのチェーン店であり、この15:30くらいには学校の終わった高校生たちもいるが、混雑はしていない。―

「いらっしゃいませー、ご注文が決まりましたらベルでお呼びするか、こちらのQRコードでご注文してください。」そう言って、箸やフォークなどの入ったトレーを置き、去っていった。

「それで、なんで僕たちが追わなきゃならないんですか?別に放っておいてもいいじゃないですか。それに、もう彼に触れたくないんですよ…。」そう言いながら雄二はスイーツのところを見ている。
「だから、あたしには彼を止める術があるの。でも、この異常を感知できるのはあたし意外にあんたもいる。協力してくれるなら助かるから行こうって言ってんの。」
彼女は、あきれながらベルを鳴らす。
「僕は関わりたくないんです。あなたがどんなことするか知りませんが、あんな化け物と戦うなら、そんな技術ないですから!」「あたしらがやらないとあんたみたいな被害者が出るって言ってんの!」「知りませんよ!だいたいあなた、僕の名前教えてしっくりこないみたいな言うのは失礼じゃないですか?!僕は青井雄二です!」「あぁ..え?気にするところ今そこじゃないだろ。…じゃなくて、あんた薄情過ぎない?あと…」
ごちゃごちゃ言い合っているところを割って入る店員。
「ご注文お伺いします。」
「「チョコレートパフェ!ダークソース付きで!」」
2人のそろった声に圧倒されて、少し固まる店員。店員をみて騒ぎ過ぎたことを理解した二人はちょっとおとなしくなった。
「わ、わかりました。チョコレートパフェ、ダークソース付きをお二つですね。」冷や汗をかきながら、ぎこちない笑顔でこたえ、去っていく店員。

「あんた、わかってるじゃない。ダークソース付き頼むなんて…。」
「たまたま目に入っただけです。ただ甘すぎるのも苦手なので頼んだだけですよ。」
先ほどまでとは一転、同じものを特に話もせず勢いで頼んでしまったことで、ラブコメさながらの気まずい時間が流れる。ラブコメじゃないんだけどねこれ。


雄二は先ほどの言い争いまでの出来事で気が動転して気づかなかったのだろうが、今今冷静に見てみるとこの翔子という女子高生、先ほどKAMUの常世夢書店で赤本を見ていた子である。パーカーもそうだが、それよりも目を引く身の丈と年齢に合わないような、幼児用の傘。持ち手は黄色でおそらく柄物だろう。
「それ、どうして持ってるんです?幼児用の傘。」
ハッとして傘を自分の方へ寄せる翔子、目線が少し泳ぐ。
「これはまぁ…趣味だ。あいや、趣味じゃないがなんだか持たないといけない気がして持ってる。そんなに気にすることじゃないから気にするな。」
「…翔子さん、嘘つくの下手なんすねぇ。」
「ううう嘘じゃないから!ほんとだからぁッ!うっせぇよばか!」
「シッ!静かにしてください。また店員さんおびえてるから。」
翔子が横を見ると店員さんが引きつった笑顔をこちらに向けている。
「な、仲がいいんですねぇ!あ、お待たせしました。チョコレートパフェです。ダークソースはお好みでおかけください。」
伝票をはさみ、すたこらさっさーと去っていく店員。またもややらかした二人。高校生たちのひそひそ笑う声が聞こえている。
「聞こえてんぞッ「だぁーっ翔子さん!ダメですって落ち着いてください!」


少し水を口に含み落ち着いてパフェを食べる。先ほどの落ち着きのなさをなでるように冷やしてくれるチョコアイスは、口の中でダークソースと絡んで甘さが引き締まる。冷たさがのどを通り、二人の間の空間をキリっと変えた。

「しかし、さっきも言った通り僕には対抗手段がありません。」
「大丈夫だよ、あたしがその時は守るから。それに戦えなんて言ってないだろ?あぁなんだその、協力してくれって言ってんだよ。」
「はぁ、でも協力してって言っても情報収集ってことですか?僕友達少ないですよ。」
「友達少ないのはなんとなくわかった。(「は?」)とりあえず連絡先交換しよう。何かわかったら連絡くれ。」
そう言ってチャット型連絡ツールNchatのコードを雄二に伝える。しぶしぶ雄二は翔子の連絡先を受け取った。面倒ごとは押し付けられたくないなぁと思うものの、断り切れない雄二であった。
「少しトイレ。」雄二はトイレに向かった。もよおしたのもあるが少し考えを整理したく、ひとりになった。



 用を足した、なんかどっと疲れたなぁ。昼からの出来事から一変して…しかしあの人の協力はさすがに断った方がいいかなぁ、変なことに巻き込まれたくないし。

 僕はトイレで手を洗い、鏡で少し自分の顔を見た。ちょっと眉毛が繋がってる。少し抜いていこ。爪と爪で毛をはさんで眉間の毛を抜いて少し整えた。

 席に戻ると彼女の姿がない。トイレだろうかと思った矢先、テーブルには紙と2000円が置かれていた。紙には「お代置いとく。これ支払ってな。連絡先もらったから、もう逃げられないゾ♡。」終わった。僕はあいつに付きまとわれるのか。いやブロックすればワンチャン…いや、そんなことをしてはいけないと母上にならったはずだ。はぁ、まじか。
え…どうしよう。


tisp;作者です。雄二君へ、もう逃がさないゾ♡
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