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第一章
12:シェダルとの契約
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商業ギルドへと再び戻り、ギルド長とシェダル氏、そして僕の3人でこれからの事を話し合う。
「まずシェダル氏が盗まれた設計図はどんな魔道具だったんだい?」
もしかしたら設計図よりも更に改良型の魔道具として販売出来るかもしれない。勿論物にもよるだろうけど。
「保冷庫です。現存する保冷庫は基本的に大型が多く貴族の屋敷で使う分には問題ありませんが平民の小さな家では大きすぎて使えないのです。その為に中型ぐらいのサイズが出ていますがより小さく小型化した物を設計してみたんです」
「へぇ~。それは平民には嬉しい事だね」
確かにセギヌスが創った保冷庫...所謂冷蔵庫の事なんだけど王公貴族や料理屋何かの店で使う事を前提に創ったからサイズが大きいし値段もそれなりに高いから平民には手が届きにくい代物だったんだよね。勿論、小型の物を創ろうと思えばいつでも創れたんだけどあの時代では時期尚早かなって思って創らなかったんだ。僕が創った魔道具を元にして色んな改良型が出てるけど....更に小型化にするなんて魔道具師としてシェダルは中々優秀そうだな。
「....ですがその設計図を奪われてしたので私の商会で製品化する事も出来ず....」
「うーん.....ならさ、更に改良してみたらどうかな?」
「....は?」
盗まれた設計図よりも更に改良した物ならば相手も何も言えまい。そして、その為に必要な頭脳は此方にある。
「人の設計図を盗むぐらいなんだから彼方には改良型を自ら設計出来るぐらいの力量のある魔道具師は居ないって事でしょう?なら、設計図にした物よりも更に改良した保冷庫なら創っても何ら問題はないし平民の皆は喜ぶんじゃないかな?自分達の暮らしがより良くなるんだからね」
「で....ですが、私にもあれ以上の改良型は....」
シェダルが困惑した表情で僕とギルド長を交互に見る。うん、気持ちはわかるけどね。急にそんな事を言われても困るよね。
「....僕がこの短時間で感じた君への魔道具師としての力量は悪くないと思ってるんだ。きっと君は僕の期待に応えてくれる逸材になると確信している。まぁでもそれも今後の勉強次第だとは思うけど.....ひとまず君の設計した保冷庫をより良く改良する為に僕の授業を受けてみるかい?」
こんな歳の離れた僕の提案を聞いて怒るか、素直に受け入れるか、それで彼の今後の魔道具師としての価値が大きく変わるだろう。
彼には僕の変わりに魔道具師としての表の世界で目立って貰う。共同開発者としてね。
「.....第三王子殿下は本気で私にその資格があるとお思いで?」
「勿論。けれど君にその気がなければ意味がない事は解るよね?僕が、じゃない。君が、どうしたいかだ」
あくまでも自分の本当の意図は隠しておく。それでも魔道具師としての彼自身にも商会にも決して悪い話ではないのだから問題はないだろう。
セギヌスが死んでからこの世界の魔道具ははっきり言って殆ど進展していない。大きさや使いやすさの改良型はそれなりに進歩を見せていたが、新しい魔道具と言うものが殆ど世に出ていなかったのだ。つまるところ、異世界の記憶を持っていたセギヌスだからこそ創れた魔道具達。
一気に新しい魔道具を創っては怪しまれるだろうからその辺りは世論の状況を見ながら追々かな?
「.....私は魔道具が好きです。今は改良型を設計する事で精一杯ですがいつか自分の手で新たな魔道具を造り出すのが幼い頃からの夢でした。その夢に近づくには第三王子殿下の元で仕える事が近道なのだと直感が訴えております」
「うん。素敵な夢だね」
「.....今の私には何の力もありません。ですが魔道具の事でしたら殿下のお役に立てる事もあるかもしれません。どうか私に殿下の教えを乞う機会をお与え下さい」
そう言って律儀にも頭を下げてくるシェダルに苦笑しながら僕は頷いた。
「勿論。シェダル氏にはこれから僕の魔道具を販売して貰わなくてはならないし、共同で新たな魔道具を創るのも楽しいだろう。此方こそ宜しく頼むね」
シェダルの商会は現在自宅を兼商会にしていたようで、僕が新たな共同出資者として新たな拠点として店を準備する事にした。勿論出資者としての名前を第三王子アルファルドにする訳にもいかないので当然偽名だ。これは貴族にはよくある事で、例えば正妻以外の女性を囲っていて支援する場合に妻にばれないように偽名を使って家を買ったり、家族には内緒で商売を始めたりだとか。なので偽名を使っても何ら問題はなく、これからの新たな魔道具や、シェダルとの共同開発をする場合にも使用する事になる。
その名は___ハリス。
セギヌスの別名だ。
「まずシェダル氏が盗まれた設計図はどんな魔道具だったんだい?」
もしかしたら設計図よりも更に改良型の魔道具として販売出来るかもしれない。勿論物にもよるだろうけど。
「保冷庫です。現存する保冷庫は基本的に大型が多く貴族の屋敷で使う分には問題ありませんが平民の小さな家では大きすぎて使えないのです。その為に中型ぐらいのサイズが出ていますがより小さく小型化した物を設計してみたんです」
「へぇ~。それは平民には嬉しい事だね」
確かにセギヌスが創った保冷庫...所謂冷蔵庫の事なんだけど王公貴族や料理屋何かの店で使う事を前提に創ったからサイズが大きいし値段もそれなりに高いから平民には手が届きにくい代物だったんだよね。勿論、小型の物を創ろうと思えばいつでも創れたんだけどあの時代では時期尚早かなって思って創らなかったんだ。僕が創った魔道具を元にして色んな改良型が出てるけど....更に小型化にするなんて魔道具師としてシェダルは中々優秀そうだな。
「....ですがその設計図を奪われてしたので私の商会で製品化する事も出来ず....」
「うーん.....ならさ、更に改良してみたらどうかな?」
「....は?」
盗まれた設計図よりも更に改良した物ならば相手も何も言えまい。そして、その為に必要な頭脳は此方にある。
「人の設計図を盗むぐらいなんだから彼方には改良型を自ら設計出来るぐらいの力量のある魔道具師は居ないって事でしょう?なら、設計図にした物よりも更に改良した保冷庫なら創っても何ら問題はないし平民の皆は喜ぶんじゃないかな?自分達の暮らしがより良くなるんだからね」
「で....ですが、私にもあれ以上の改良型は....」
シェダルが困惑した表情で僕とギルド長を交互に見る。うん、気持ちはわかるけどね。急にそんな事を言われても困るよね。
「....僕がこの短時間で感じた君への魔道具師としての力量は悪くないと思ってるんだ。きっと君は僕の期待に応えてくれる逸材になると確信している。まぁでもそれも今後の勉強次第だとは思うけど.....ひとまず君の設計した保冷庫をより良く改良する為に僕の授業を受けてみるかい?」
こんな歳の離れた僕の提案を聞いて怒るか、素直に受け入れるか、それで彼の今後の魔道具師としての価値が大きく変わるだろう。
彼には僕の変わりに魔道具師としての表の世界で目立って貰う。共同開発者としてね。
「.....第三王子殿下は本気で私にその資格があるとお思いで?」
「勿論。けれど君にその気がなければ意味がない事は解るよね?僕が、じゃない。君が、どうしたいかだ」
あくまでも自分の本当の意図は隠しておく。それでも魔道具師としての彼自身にも商会にも決して悪い話ではないのだから問題はないだろう。
セギヌスが死んでからこの世界の魔道具ははっきり言って殆ど進展していない。大きさや使いやすさの改良型はそれなりに進歩を見せていたが、新しい魔道具と言うものが殆ど世に出ていなかったのだ。つまるところ、異世界の記憶を持っていたセギヌスだからこそ創れた魔道具達。
一気に新しい魔道具を創っては怪しまれるだろうからその辺りは世論の状況を見ながら追々かな?
「.....私は魔道具が好きです。今は改良型を設計する事で精一杯ですがいつか自分の手で新たな魔道具を造り出すのが幼い頃からの夢でした。その夢に近づくには第三王子殿下の元で仕える事が近道なのだと直感が訴えております」
「うん。素敵な夢だね」
「.....今の私には何の力もありません。ですが魔道具の事でしたら殿下のお役に立てる事もあるかもしれません。どうか私に殿下の教えを乞う機会をお与え下さい」
そう言って律儀にも頭を下げてくるシェダルに苦笑しながら僕は頷いた。
「勿論。シェダル氏にはこれから僕の魔道具を販売して貰わなくてはならないし、共同で新たな魔道具を創るのも楽しいだろう。此方こそ宜しく頼むね」
シェダルの商会は現在自宅を兼商会にしていたようで、僕が新たな共同出資者として新たな拠点として店を準備する事にした。勿論出資者としての名前を第三王子アルファルドにする訳にもいかないので当然偽名だ。これは貴族にはよくある事で、例えば正妻以外の女性を囲っていて支援する場合に妻にばれないように偽名を使って家を買ったり、家族には内緒で商売を始めたりだとか。なので偽名を使っても何ら問題はなく、これからの新たな魔道具や、シェダルとの共同開発をする場合にも使用する事になる。
その名は___ハリス。
セギヌスの別名だ。
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