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第二章
19:会いたい理由
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この場所は夜会会場に繋がって隣接している為、ホールの人々のざわめきやダンスの為の楽団達が奏でる音楽が小さいながらも聞こえてくる。夜会に参加している貴族達の目的が王族やそれに連なる者達との交友を深める為の場でもあるので余程の事がなければ、こんな庭園に等、参加者は来ない。だからこそ夜会を抜け出すには逆にピッタリな場所でもある。
僕自身は殆ど茶会や夜会に参加をした事がないから、実はこの場所に来るのは実際は初めてで、けれどこの場所自体は知っていたから夜会の暇潰しに利用させて貰ったのだ。まぁ、まさかそこに辺境伯家の嫡子が現れるとは思いもしなかったけれど。しかものんきにもこうして2人でワインなんて嗜むなんてね。
「......それで?僕に会いたかった理由は何かな?」
何かしらの理由がなければ僕に会いたい等と言う貴族等、今現在居ないだろう。僕に会っていたと言う事が王妃サイドにバレればその貴族家もどうなるかわからないのだから。
「.....少し前に当家から招待状を送らせて貰ったのだが.....」
「ああ!確かに来てたね。けど僕が参加する理由がないからお断りの返事を出したと思うけど.....もしかして届いてなかったかな?」
そんな訳ある筈もない。相手の反応を見る為に勿論わざとそんな事を言ってみただけだ。
「いや、それは父から聞いた。殿下からは不参加の意向の返事が届いたと」
「そう。なら良かった!もしかして届いてなかったかと思ったよ」
僕は笑みを浮かべながら言ってワインを一口飲む。
「でも辺境伯家が茶会を開くなんて珍しいし、当日はさぞ賑わっただろう?さぞご令嬢達も賑わっていただろう。辺境伯家とお近づきになりたいと思う貴族家も多いからね。ああ!もしかして貴殿の花嫁探しを兼ねた茶会だったのかな?」
そんな茶会にどうして僕を招待しようなんて思ったのか今でも不思議でしかないけれど。
「.....あの茶会に招待をしたのは殿下だけです」
だからまさかそんな返答が来るとは予想していなかったから思わず思考が固まってしまった。
僕だけ?
「その.....私がアルファルド殿下に逢ってお話がしたいと招待状を送らせて頂いた」
「.....じゃあ茶会は.....」
「勿論、アルファルド殿下の為の茶会なので殿下が参加しないのであれば開く必要がないので」
視線を逸らせる事もせずにじっと此方の様子を伺うように発せられる言葉に僕は内心溜め息をつきたくなった。どこの世界に親交も用事もないのに辺境伯家に行って茶会に参加する人間がいるのか。茶会に参加するのは大抵その家と元々親交があったり、新たに繋がりを求めたりとか、何かしらの理由があるからだ。
.....そもそも僕に招待状を送って参加して貰えると思っている事自体が可笑しいと思うんだけどな....
「それは残念だったね。まぁでも今後も参加する気はないからこれからは招待状を送る必要はないよ。だからその話とは別に話があるならここでどうぞ?」
今後も招待状を送ってきても参加はしないと告げておく。僕なりの意思表示だ。
.....もしこれからも送ってくるなら面倒臭いしね。
「.....あの時.....殿下のお側に居られなかった事、申し訳なかった」
そうアルキラス・ディーバインが告げた言葉に僕の心臓はドキリと鳴った。
ああ、この男は何故今更その話を蒸し出すのか。
「貴殿は長期遠征に出ていて国内には居なかったと記憶してるけど?」
「はい。だが....それが殿下を守れなかった理由にはならない」
ならば何故、遠征から戻った後も関係修復を行おうとしなかった?誰も彼もが見て見ぬふりをする中で、僕はもう何とも思わなくなったのだから。
この国に僕と母上の味方などマリー達以外居なかったのだと。信じたらまた、裏切られるのだ。
「.....話しはそれだけ?ならもう必要ない。その話を僕が聞く必要性を一切感じない」
僕は椅子から立ち上がる。目の前の男が立ち上がらないのであれば僕がこの場から去るだけ。それに、そろそろ帰る頃合いには丁度良かった。
「ああ、それから」
僕は夜会会場へと歩き出した歩みを止めてアルキラス・ディーバインの方へと振り返る。
「どんな言葉も僕には無意味だ」
その言葉を告げた時、彼がどんな表情をしていたのかを再び歩き出していた僕は全く知らなかった。
僕自身は殆ど茶会や夜会に参加をした事がないから、実はこの場所に来るのは実際は初めてで、けれどこの場所自体は知っていたから夜会の暇潰しに利用させて貰ったのだ。まぁ、まさかそこに辺境伯家の嫡子が現れるとは思いもしなかったけれど。しかものんきにもこうして2人でワインなんて嗜むなんてね。
「......それで?僕に会いたかった理由は何かな?」
何かしらの理由がなければ僕に会いたい等と言う貴族等、今現在居ないだろう。僕に会っていたと言う事が王妃サイドにバレればその貴族家もどうなるかわからないのだから。
「.....少し前に当家から招待状を送らせて貰ったのだが.....」
「ああ!確かに来てたね。けど僕が参加する理由がないからお断りの返事を出したと思うけど.....もしかして届いてなかったかな?」
そんな訳ある筈もない。相手の反応を見る為に勿論わざとそんな事を言ってみただけだ。
「いや、それは父から聞いた。殿下からは不参加の意向の返事が届いたと」
「そう。なら良かった!もしかして届いてなかったかと思ったよ」
僕は笑みを浮かべながら言ってワインを一口飲む。
「でも辺境伯家が茶会を開くなんて珍しいし、当日はさぞ賑わっただろう?さぞご令嬢達も賑わっていただろう。辺境伯家とお近づきになりたいと思う貴族家も多いからね。ああ!もしかして貴殿の花嫁探しを兼ねた茶会だったのかな?」
そんな茶会にどうして僕を招待しようなんて思ったのか今でも不思議でしかないけれど。
「.....あの茶会に招待をしたのは殿下だけです」
だからまさかそんな返答が来るとは予想していなかったから思わず思考が固まってしまった。
僕だけ?
「その.....私がアルファルド殿下に逢ってお話がしたいと招待状を送らせて頂いた」
「.....じゃあ茶会は.....」
「勿論、アルファルド殿下の為の茶会なので殿下が参加しないのであれば開く必要がないので」
視線を逸らせる事もせずにじっと此方の様子を伺うように発せられる言葉に僕は内心溜め息をつきたくなった。どこの世界に親交も用事もないのに辺境伯家に行って茶会に参加する人間がいるのか。茶会に参加するのは大抵その家と元々親交があったり、新たに繋がりを求めたりとか、何かしらの理由があるからだ。
.....そもそも僕に招待状を送って参加して貰えると思っている事自体が可笑しいと思うんだけどな....
「それは残念だったね。まぁでも今後も参加する気はないからこれからは招待状を送る必要はないよ。だからその話とは別に話があるならここでどうぞ?」
今後も招待状を送ってきても参加はしないと告げておく。僕なりの意思表示だ。
.....もしこれからも送ってくるなら面倒臭いしね。
「.....あの時.....殿下のお側に居られなかった事、申し訳なかった」
そうアルキラス・ディーバインが告げた言葉に僕の心臓はドキリと鳴った。
ああ、この男は何故今更その話を蒸し出すのか。
「貴殿は長期遠征に出ていて国内には居なかったと記憶してるけど?」
「はい。だが....それが殿下を守れなかった理由にはならない」
ならば何故、遠征から戻った後も関係修復を行おうとしなかった?誰も彼もが見て見ぬふりをする中で、僕はもう何とも思わなくなったのだから。
この国に僕と母上の味方などマリー達以外居なかったのだと。信じたらまた、裏切られるのだ。
「.....話しはそれだけ?ならもう必要ない。その話を僕が聞く必要性を一切感じない」
僕は椅子から立ち上がる。目の前の男が立ち上がらないのであれば僕がこの場から去るだけ。それに、そろそろ帰る頃合いには丁度良かった。
「ああ、それから」
僕は夜会会場へと歩き出した歩みを止めてアルキラス・ディーバインの方へと振り返る。
「どんな言葉も僕には無意味だ」
その言葉を告げた時、彼がどんな表情をしていたのかを再び歩き出していた僕は全く知らなかった。
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