リンの異世界満喫ライフ

水月

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145:ビリー少年のやらかし

翌日、再度火熊チャレンジをして見事勝利した。

朝から山に登り餌を探して山の中程にある川に降りて来ていたところを発見し風魔法と水魔法で討伐完了。早い早い!無限収納に居れて冒険者ギルドに討伐完了を報告してたら師匠から執務室に呼び出され、何か問題でもあったかな?と思いつつ大人しく執務室へと向かった。

「すまん、リン.....バレた」

私が部屋に入った途端、師匠が頭を下げてきた。

「えーっと....何がバレたんでしょうか?」
「.....お前が先のスタンピードの前線でカノープスと連携して魔法で魔獣達の群れを葬り去った事だ」

は?

「....今朝、カノープスから伝達魔法で緊急連絡があって確認したらお前の事が国王陛下にまでバレて招集が掛かるかもしれない、と」
「.....え?マジですか?そもそも何故バレたんです?」

私がそう尋ねると師匠は苦い顔をして半分顔を手で大いに、溜め息を付いた。

「.....ビリーだ。ビリーが調査に来ていた国の調査団の一人に話したんだ」
「ビリー.....って師匠の事が好きなビリー少年ですか?彼が何でそんな事を?」
「お前、嫌な言い方するなよ....」

ビリー少年に好かれているのが不本意なのか、微妙な表情でツッコミを入れてくる。

「嫌われるより良いじゃないですか。でもビリー少年はスタンピードの緊急招集には参加してないですよね?どうしてその事を知ってたんですか?」

ビリー少年は最近冒険者ギルドに登録して冒険者になったばかりの新人君だ。スタンピードの緊急招集に参加していないのに現地の様子を知っているのは可笑しくないだろうか?

「最近よく世話になっている冒険者パーティがあったみたいで、どうもそいつらから聞いたみたいだな.....あれだけスタンピードの件は内密だと言い聞かせたのに」

まぁ参加者全員と魔法契約で話せないように出来る訳がないので冒険者ひとりひとりの良心に委ねるしかなかったのだからいつかどこかから話が漏れるのは仕方がない事だろう。

「それでその話を王都からミルトンに来ていた国の調査団の人に私を名指しで話したと」
「.....カノープスが言うにはそうらしい。あくまでも自分が漏らしたんじゃない事を主張したいみたいだな」
「はぁ~……でもこれってビリー少年はわざと話して私を排除しようとしたって事ですよね?」

どんだけ師匠の事好きなのよ。まさかそう言う意味で好きなのかしら.....??え?まさかよね?

「.....だろうな。俺でもそう考えた」

だからこそ余計に師匠の表情は重苦しいのだろう。しかし.....そうか、バレたのか....。このまま国に招集されたらこの街に戻って来れない可能性も考えないと駄目だよね。ならやっぱり.....

「どれぐらいで国王陛下からの使いが来ると思いますか?」
「....カノープスが騎士達を此方に来させるのを拒否してるようだから通常通り馬車で頑張って来れば早ければ二週間ぐらいか?今回は緊急性の事ではないから転移陣は使えないしな」

.....二週間.....それなら大丈夫かな?

「師匠、なら私はこの街から一時的に逃げます。せっかく家を買ったから何れは戻るつもりですけど.....取り敢えず今は逃げます!」

うん、今の冒険者ランクじゃ貴族達に逆らう事も出来ないしどうしようもない。

「.....はぁ、お前ならそう言い出すと思ってたよ」
「師匠?」

師匠は困ったような、仕方ないと言うような表情で私を見ている。

「わかった!なら俺もお前と一緒に行こう」
「....は?はぁあああ!?何で!?」

私の驚いた顔に苦笑しながらも、私の頭をポンポンと撫でる。

「お前なぁ.....俺はお前の師匠だ。まだお前に教えなければいけない事が沢山あるし、弟子を見捨てて一人で出て行かせるような薄情な男じゃないぞ。どうせならエルフの国にお前を連れて行ってやろう。あそこなら修行にもなるし、お前にとっても良い刺激になるだろう」
「....で、でもギルドマスターの仕事は!?」
「ギルドマスターの仕事は俺でなくても出来る人間は沢山居る。そう言う風にこのギルドを俺なりに育てて来たつもりだ。だからお前が心配しなくても大丈夫だ」
「.....ギルドマスター.....」

やだ!ギルドマスターが珍しく優しくてドキドキしちゃう!?....いや、そこまでじゃないけど普通に嬉しいかもしれない.....

せっかく仲良くなれた人全員とこんな形で別れるのは誰だって辛いから。

「ギルドマスターじゃなくて、師匠だろ?」

師匠はニッと笑って今度はガシガシと私の髪の毛をぐしゃぐしゃにした。

「はい!師匠。宜しくお願いします!」

こうしてビリー少年のやらかしは、結果としてギルドマスターが要塞都市ミルトンから出て行くと言う結果へと繋がったのだ。

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