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146:閑話 ビリー少年の後悔
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その日、冒険者ギルドの掲示板にギルドマスターが本日付けで交代すると貼り出された。新しくギルドマスターになったのは今まで副ギルドマスターをしていたスピカさんだとの事。
突然のギルドマスターの交代に冒険者達はざわつき、交代に対して色んな憶測を呼んだのは仕方がないと思う。何故なら今までそんな話題が一切なかったのだから。
「どうしてギルドマスターが交代したんですか!?」
俺は依頼の窓口で担当してくれた職員の人に理由を聞いた。あんなにも立派で凄い人がギルドマスターを辞める理由がわからないからだ。当然俺に詰め寄られた職員の女性は個人的な理由は話せないと俺を突っぱねた。だからと言ってそれで引き下がれる訳がない。
「何で教えてくれないんだ?ギルドマスターはどこに行ったんだよ!」
「ビリー君、いい加減にしないとギルドの規定に則って君を処罰しますよ?」
突然横から聞こえたその厳しい声に振り返れば、マリッサさんが硬い表情でそこに立っていた。
「マリッサさん....処罰って、何で?」
「冒険者ギルドではギルドに登録している冒険者の個人情報の開示は禁止されています。それを職員から無理矢理聞き出そうとするのも禁止されています」
....確かに冒険者登録をする時に説明を受けたし、貰ったマニュアルにも書いてあった。忘れてたけど.....。
「でも....!俺はギルドマスターの弟子に....っ!」
「弟子入りの話を前ギルドマスターはキッパリとお断りしてましたよね?」
「そ、それはそうだけど....!俺は絶対に弟子になりたいんだ!!」
俺がそう叫ぶと、マリッサさんは溜め息をついた。
「他人を陥れてまで弟子入りしようとする人を前ギルドマスターが弟子にすると本気で思ってるんですか?そんな風にしか考えられないのなら、貴方は今すぐ冒険者を辞めるべきです」
「なっ.....!?」
マリッサさんが今まで一度も見たことのない厳しい視線で俺を見る。
「....ビリー君、何故リンちゃんの事を王都から来た調査団に話したんですか?」
「....え....?」
はぁ、と溜め息を付いてマリッサさんはもう何も言う事はないとカウンターの中へと戻って行った。
何?あいつの事を調査団に話したから何だって言うんだよ....!
けれど今日1日、マリッサさんの言葉が頭から離れない。夕刻に依頼の達成報告にギルドへと向かった俺は、最近俺に色んな冒険者のノウハウを教えてくれていた冒険者パーティの人に偶然会った。しばらく護衛依頼で街を離れると言っていたが戻ってきたんだろう。
「え!?お前それ調査団に喋ったのか!?絶対に他の奴に言うなって言っただろうが!」
会話がギルドマスターの交代や、スタンピードの話しになりパーティのリーダーからいつになく厳しい声で言われた。
「え?」
「....いや、話した俺らが一番悪いな....話さなきゃ良かった」
パーティのメンバーが皆、表情を暗くしている。その中で俺1人だけ理由がわからない。
「わからないか?ギルドマスターは恐らく責任を取ってギルドマスターを辞めたんだ。国に虚偽の申告をしたからって事でな」
「....は?」
「あのスタンピードが早く終息出来たのは賢者とあの少女が居たからだ。だがそんな事を国に馬鹿正直に話せばあの子は王族や貴族達に好き勝手に利用されるだろう。だから賢者と前ギルドマスター、王都のギルドマスター達があえてあの少女の事は隠して報告したんだ」
話を聞いていて、自分の顔が段々と青くなっていくのがわかる。
「もうわかっただろう?それをお前が態々国の調査団にバラしたんだよ....」
ガクガクと体が震えてくる。まさかギルドマスターが冒険者ギルドを辞めたのは自分のせいなのか?
「....いや、それだけが理由じゃなくて恐らくその少女の保護者として同行する事に決めたんだろう。師匠になった話しも聞いてたしな。師匠なら弟子を守るのは当然だ」
ああ、そうか。
だからマリッサさんはあんな事を言ったのか。
俺には最初からギルドマスターの弟子になる資格なんてものはなかっしたんだ。こんな簡単な事もわからない。
ギルドマスターが交代しても毎日は何も変わらなかった。
あの時俺が調査団に何も言わなかったら....。
何かが変わったんだろうか?
突然のギルドマスターの交代に冒険者達はざわつき、交代に対して色んな憶測を呼んだのは仕方がないと思う。何故なら今までそんな話題が一切なかったのだから。
「どうしてギルドマスターが交代したんですか!?」
俺は依頼の窓口で担当してくれた職員の人に理由を聞いた。あんなにも立派で凄い人がギルドマスターを辞める理由がわからないからだ。当然俺に詰め寄られた職員の女性は個人的な理由は話せないと俺を突っぱねた。だからと言ってそれで引き下がれる訳がない。
「何で教えてくれないんだ?ギルドマスターはどこに行ったんだよ!」
「ビリー君、いい加減にしないとギルドの規定に則って君を処罰しますよ?」
突然横から聞こえたその厳しい声に振り返れば、マリッサさんが硬い表情でそこに立っていた。
「マリッサさん....処罰って、何で?」
「冒険者ギルドではギルドに登録している冒険者の個人情報の開示は禁止されています。それを職員から無理矢理聞き出そうとするのも禁止されています」
....確かに冒険者登録をする時に説明を受けたし、貰ったマニュアルにも書いてあった。忘れてたけど.....。
「でも....!俺はギルドマスターの弟子に....っ!」
「弟子入りの話を前ギルドマスターはキッパリとお断りしてましたよね?」
「そ、それはそうだけど....!俺は絶対に弟子になりたいんだ!!」
俺がそう叫ぶと、マリッサさんは溜め息をついた。
「他人を陥れてまで弟子入りしようとする人を前ギルドマスターが弟子にすると本気で思ってるんですか?そんな風にしか考えられないのなら、貴方は今すぐ冒険者を辞めるべきです」
「なっ.....!?」
マリッサさんが今まで一度も見たことのない厳しい視線で俺を見る。
「....ビリー君、何故リンちゃんの事を王都から来た調査団に話したんですか?」
「....え....?」
はぁ、と溜め息を付いてマリッサさんはもう何も言う事はないとカウンターの中へと戻って行った。
何?あいつの事を調査団に話したから何だって言うんだよ....!
けれど今日1日、マリッサさんの言葉が頭から離れない。夕刻に依頼の達成報告にギルドへと向かった俺は、最近俺に色んな冒険者のノウハウを教えてくれていた冒険者パーティの人に偶然会った。しばらく護衛依頼で街を離れると言っていたが戻ってきたんだろう。
「え!?お前それ調査団に喋ったのか!?絶対に他の奴に言うなって言っただろうが!」
会話がギルドマスターの交代や、スタンピードの話しになりパーティのリーダーからいつになく厳しい声で言われた。
「え?」
「....いや、話した俺らが一番悪いな....話さなきゃ良かった」
パーティのメンバーが皆、表情を暗くしている。その中で俺1人だけ理由がわからない。
「わからないか?ギルドマスターは恐らく責任を取ってギルドマスターを辞めたんだ。国に虚偽の申告をしたからって事でな」
「....は?」
「あのスタンピードが早く終息出来たのは賢者とあの少女が居たからだ。だがそんな事を国に馬鹿正直に話せばあの子は王族や貴族達に好き勝手に利用されるだろう。だから賢者と前ギルドマスター、王都のギルドマスター達があえてあの少女の事は隠して報告したんだ」
話を聞いていて、自分の顔が段々と青くなっていくのがわかる。
「もうわかっただろう?それをお前が態々国の調査団にバラしたんだよ....」
ガクガクと体が震えてくる。まさかギルドマスターが冒険者ギルドを辞めたのは自分のせいなのか?
「....いや、それだけが理由じゃなくて恐らくその少女の保護者として同行する事に決めたんだろう。師匠になった話しも聞いてたしな。師匠なら弟子を守るのは当然だ」
ああ、そうか。
だからマリッサさんはあんな事を言ったのか。
俺には最初からギルドマスターの弟子になる資格なんてものはなかっしたんだ。こんな簡単な事もわからない。
ギルドマスターが交代しても毎日は何も変わらなかった。
あの時俺が調査団に何も言わなかったら....。
何かが変わったんだろうか?
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