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第7話
お土産1
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「ブラッド様、どうなさいました? どこかおかげんが悪いのですか?」
気遣わしげにランジエに声をかけられ、しかし顔を上げる気になれず、床の木目を見つめながら答える。
「いや、少し疲れただけだ。……邪魔をした」
そして、深い深い深い溜息をつき、立ち上がった。ここでこうしていてもしかたない。
「お部屋までお送りします」
真摯に言ってくれるが、俺は苦笑した。これ以上の噂はごめんだ。
「必要ない。世話になったな」
そうしてロズニスの置いていった魔法陣を引き取り、俺はスタスタと、心理的にはトボトボと、ランジエの研究室を出たのだった。
もう一度ジジイの研究室に寄って、魔法陣の入った箱を研究机の上に置いた。その横に、一山を築いている土産物が嫌でも目に入り、またもや溜息がこぼれるのが止められない。
帰ってくれば、ロズニスが喜んでくれるとばかり思っていた。
あの傍若無人なマイペースぶりで常識が侵食されている、だがその分裏も表もない、馬鹿か変人の境界をうろうろしているような、無邪気な顔で笑ってくれると。
そればかり思い浮かべているうちに、ついついこんな大荷物になってしまったのだ。
まあ、お茶の時間にジジイも含めて三人で食おうなんて考えて、食物類は三倍になってはいるのだが。
それが、あれだ。身に覚えのないこととはいえ、すっかり嫌われてしまったようだ。となると、これも迷惑の山でしかないかもしれない。
誤解を解けば、とも考えたが、俺に女の考えを翻させるほどの言語能力がないことは、自分が一番よく知っている。たいてい説明の途中で興奮した女に主張をひっくり返され、それが更に自分の首を絞める事態に陥るのだ。
そうなったらと思うと、ぞっとする。噂だけならまだしも、自分で認めるような言質を取られたら、目も当てられない。
ロズニスが男だったらよかったのに、と思わずにはいられなかった。そしたら一発殴って、無責任な噂を信じるな、俺の言うことを聞け、で済ませられたのに。
「どうすっかなー」
とりあえず、食い物以外は部屋に引き上げた方が無難か。もらってもらえそうにないもんな。
俺は土産をより分け始めた。これらがなくても、食い物だけでも結構な量だ。たくさん買ってきた、は嘘にならないだろう。
さて、こんなものかと、いらない分を袋に詰めなおし、ひょいと肩に引っ掛けた。そして扉に振り返って、足を止める。
ロズニスが扉を入った横の壁際に、ひっそりと立っていたのだ。
何を言えばいいのかわからない。だが、外に出るには、ロズニスの横を通っていかなければならない。それとも、いっそ黙って出ていけばいいのか。でも、ロズニスは泣きそうな顔をしている。それを無視しては行けなかった。
ぐるぐる考えて、考えすぎて頭が真っ白になってるところに、ロズニスの方から口を開いてくれた。
「さっきはー、ごめんなさいー」
涙声だ。
「ああ。怒ってないから、泣くな」
泣かれると、困るんだよ。ものすごく焦るんだよ。
だいたい、さっきの今で、なんで謝ってるのかもわかんねーし。なんで泣きそうなのかは、もっとわかんねーし。勝手に誤解して勝手に怒ってたのは、そっちじゃねーのかよ。
気遣わしげにランジエに声をかけられ、しかし顔を上げる気になれず、床の木目を見つめながら答える。
「いや、少し疲れただけだ。……邪魔をした」
そして、深い深い深い溜息をつき、立ち上がった。ここでこうしていてもしかたない。
「お部屋までお送りします」
真摯に言ってくれるが、俺は苦笑した。これ以上の噂はごめんだ。
「必要ない。世話になったな」
そうしてロズニスの置いていった魔法陣を引き取り、俺はスタスタと、心理的にはトボトボと、ランジエの研究室を出たのだった。
もう一度ジジイの研究室に寄って、魔法陣の入った箱を研究机の上に置いた。その横に、一山を築いている土産物が嫌でも目に入り、またもや溜息がこぼれるのが止められない。
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あの傍若無人なマイペースぶりで常識が侵食されている、だがその分裏も表もない、馬鹿か変人の境界をうろうろしているような、無邪気な顔で笑ってくれると。
そればかり思い浮かべているうちに、ついついこんな大荷物になってしまったのだ。
まあ、お茶の時間にジジイも含めて三人で食おうなんて考えて、食物類は三倍になってはいるのだが。
それが、あれだ。身に覚えのないこととはいえ、すっかり嫌われてしまったようだ。となると、これも迷惑の山でしかないかもしれない。
誤解を解けば、とも考えたが、俺に女の考えを翻させるほどの言語能力がないことは、自分が一番よく知っている。たいてい説明の途中で興奮した女に主張をひっくり返され、それが更に自分の首を絞める事態に陥るのだ。
そうなったらと思うと、ぞっとする。噂だけならまだしも、自分で認めるような言質を取られたら、目も当てられない。
ロズニスが男だったらよかったのに、と思わずにはいられなかった。そしたら一発殴って、無責任な噂を信じるな、俺の言うことを聞け、で済ませられたのに。
「どうすっかなー」
とりあえず、食い物以外は部屋に引き上げた方が無難か。もらってもらえそうにないもんな。
俺は土産をより分け始めた。これらがなくても、食い物だけでも結構な量だ。たくさん買ってきた、は嘘にならないだろう。
さて、こんなものかと、いらない分を袋に詰めなおし、ひょいと肩に引っ掛けた。そして扉に振り返って、足を止める。
ロズニスが扉を入った横の壁際に、ひっそりと立っていたのだ。
何を言えばいいのかわからない。だが、外に出るには、ロズニスの横を通っていかなければならない。それとも、いっそ黙って出ていけばいいのか。でも、ロズニスは泣きそうな顔をしている。それを無視しては行けなかった。
ぐるぐる考えて、考えすぎて頭が真っ白になってるところに、ロズニスの方から口を開いてくれた。
「さっきはー、ごめんなさいー」
涙声だ。
「ああ。怒ってないから、泣くな」
泣かれると、困るんだよ。ものすごく焦るんだよ。
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