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10-水面にて跳ね空
107.少女、目撃する。
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単身、街中へと駆けだした少女は、全身をぐるりと駆けめぐる感覚に不快感を感じていた。
(気持ち悪……)
そのまま壁に手を着き、寄りかかるように体を預ける。ひんやりとしたレンガが心地よかった。
(なんで、あんなこと言っちゃったんだろう)
落ち着いて真っ先に思い出すのは先ほどの事。言い訳になってしまうが、あそこまで言うつもりは無かったのだ。
ただあの眼に見つめられた途端、どうしようもなくあさましい気持ちがこみ上げて来てしまった。抱きしめて欲しい。いつかのように、勘違いでも良いから本当の恋人のようにキスしてくれないだろうか。と
(サイテーだよ、私)
あの朽ちた教会で拒否したのは自分の癖に、今さらどんな顔してそんなことを願うのか。
そう言った感情も踏まえ、理性を総動員してやっと出てきたのがあの言葉だった。
あぁだけど、距離を置くのにはちょうど良かったのかもしれない。
(このまま、愛想をつかされたら、無かったことにできるかな)
煌びやかな衣装を着けた観光客たちが目の前を通り過ぎていく。
サリューンはすっかり日も暮れて、夜の美しさになっていた。
「吐きそ……」
食べてすぐ全力疾走したときのような逆流性を感じ表通りから離れうす暗い路地裏へ引っ込む。どうしたことだろう、昼を食べ損ねたので胃はからっぽに近いはずなのだが。
「?」
その時、路地の曲がり角の方から人の気配がしたような気がして耳を澄ます。
聞き覚えのある声が聞こえたような気がしてそっと様子を伺った。
……約束の……これさえあれば……指示通りに
いかにも「怪しい取引ですよ」と言わんばかりの雰囲気に好奇心が首をもたげる。影からこっそりのぞいた少女は仰天した。
「じゃあ、確かに受け取ったから」
まばゆい金髪。いつもの魔女ドレスよりもフォーマルな恰好。
見覚えのありすぎる後ろ姿が黒服の集団から何かの黒い箱を受け取っているところだった。
(シャルロッテさん!?)
彼女はふわりとホウキにのると固い顔のまま言った。
「言っておくけど、この事をあの子たちに話したら――」
「わかっている、魔女協会としてもわざわざアンタを怒らせるような真似はしないさ」
「だと良いんだけど」
それだけ言い残しシャルロッテは建物の向こうに消えていった。
バクンバクンと口から飛び出しそうな心臓をいなしながら引っ込む。
今、見たものが、聞いたことの意味が分からない。
魔女協会? なぜシャルロッテが彼らとこのような場所で取引を――
ガタンッ
「!」
今度こそ心臓が飛び出たと思った。
見れば上から飛び降りてきたのか黒猫がこちらを不思議そうに見上げている。首を傾げるとそのまま闇に消えて行ってしまった。
「おい、誰か居るのか!」
まずい。猫に恨みは無いがタイミングが悪すぎる。
できるだけ音を立てないようにニチカは抜き足かつ全速力で逃げ始めるのだが
「やっぱり誰か居るぞ!」
「追え!」
「~~~っ!!」
完全に見つかってしまった。
意を決した少女は派手な音をたてるのも構わず木箱を引っ掛けながら逃げ出す。懐から10cm四方の白い布を取り出してバッと後方に投げつけた。途端に布にあらかじめ書かれた魔法陣が光を放つ。
カッ
「ぐあああっ!!」
「馬鹿なにやってんだっ、どけっ」
「いやー! いやー! いやーーー!!!」
試作段階の魔法陣では加減がわからず出力が弱かったようだ。
涙目で逃げ惑う少女と、黒服の男たちの追いかけっこが煌びやかな夜の街で始まってしまった。
***
その頃、宿屋の二階でカツンという硬質な音が響く。
黒いチェスの駒から手を離したランバールは盤面を睨みながら何でもないことのように言った。
「遅いッスねー、ニチカちゃん」
窓枠によりかかり、白い駒を無造作に動かしたオズワルドは答えなかった。視線はさきほどからずっと宿の前の水路を見つめたままだ。
「あああっ、タンマッちょっとタンマで!」
「何度目だ」
呆れたように声をかければ、窓ガラスに頭を掻き毟るランバールの焦った顔が映り込む。
それを見ながら脳裏によみがえるのは、風の里での別れ際の会話だった。
――真面目にあのコの事が欲しくなりました
――オレの大切な人、しっかり護ってくださいね?
そして先ほど少女から落ちた緑の髪。
胸の奥をざらりとやすりで擦られたような感覚が走り目を細める。
「なぁ……お前、本気なのか?」
その問いかけをチェスの事だと勘違いしたのか、盤面から顔を上げようともせずにランバールがうなりながら答えた。
「あのですねー、本気で挑まなきゃオレなんか瞬殺ですって。いったいどういう頭の構造してるんですかアンタ」
だが問いかけた側もぼんやりとしていたのか、会話はちぐはぐなまま進んでいく。
「買いかぶり過ぎだ。お前の方がよっぽど上手《うわて》だろう。でなければアイツが」
「なんスか嫌味か。って、あああー! ここだ! ここ突破口! やべーっオレ冴えてる! 天才!」
さぁ行くぜ反撃だ――と、ナイトの駒を手にしようとしたその時、窓をブチ破り少女が室内に転がり込んできた。あっけなく盤上の戦いに終止符が打たれる。
「いやあああ!!」
「なあぁぁぁ!?」
「オレの逆転劇がぁぁぁ!!」
真紅のマントに包まっていたおかげか、少女はたいした怪我もないようでバッと立ち上がった。
「た、助けて―! 大変なの! 何がどうしてこうなったかサッパリなんだけどえらいこっちゃあわわわわ」
「うん、よし、まずは落ち着け」
「死ぬなー! まだ戦いは終わっちゃいないぞランバール軍んんん!!」
カオスな室内を止めたのは少女の一言だった。
「追われてるの! 魔女協会のヤツらだと思う」
「!」
サッと顔色を変えた男たちは即座に立ち上がる。
オズワルドは壊れた窓にカーテンを引き、ランバールが入り口のドアの錠を下ろして、固まるように中央に集まる。
「どういうことだ、何があった」
「あ……それより、シャルロッテさんは?」
「シャル? さっき一度顔を出してまたすぐに出て行ったが」
少女の傍らに膝を着いていた師匠は、その小さな肩が微かに震えているのに気づく。
「まさか、アイツ絡みか?」
「わ、たしもっ、見間違いだって思いたいんだけど」
泣き出しそうな顔で先ほど出くわしてしまった場面を伝える。黒服の男たちに向けた冷たい声音が頭の中に反響する。
「ねぇウソだよね? シャルロッテさんが私たちの敵なわけないよね?」
すがりつくように言った弟子の服を、男は唐突に脱がし始めた。
「!?」
「これは外しておけ。アイツが作ったものだろ」
「あ……」
この旅を始めた時からずっと身に着けていた赤いケープをそっと床に置く。
じわりとにじんだ涙を振り払い、頭を切り替えた。全て終わって疑いが晴れた後、またここに取りに来ればいい。
「ホウキで逃げて来たけど、でも後を付けられてるかもしれない」
「そりゃまずいなー、いったんここ引き払いますか」
まさかここでドンパチするわけにもいかないし、とランバールも愛用のホウキを取り出す。
だが一瞬考えるようなそぶりを見せたオズワルドはそれを制した。
「いや、確かめよう」
「え、何を?」
それには答えず男は部屋を出る。すぐ隣に取った女性陣の部屋へ何のためらいもなく突入した。
「ねぇ、何のつもり? 早く逃げようよ」
ニチカの問いを無視してベッドの下を覗き込む。すると黒いケースのような物が出てきた。
「! それ、さっきの取引の!」
すぐさま開けようと手を掛けるが、ガチンと音がして引っかかる。
「鍵? 違う、封印か」
その時、にわかに階下がさわがしくなる。見張り役で廊下側に居たランバールが焦ったような声を出した。
「やばいっス、何か黒い集団が宿屋の主人と揉めてて」
「脱出しようってば」
「ここの流れを逆にしてやれば――開いた!」
ピンッと音がして、黒い箱の錠が外れる。その中にあったものに少女は目を見開いた。
「なん、で」
中には黒々と光る銃が3丁収められていた。
全ての銃身に見覚えのある魔法陣が描かれている。
「ディザイア……」
(気持ち悪……)
そのまま壁に手を着き、寄りかかるように体を預ける。ひんやりとしたレンガが心地よかった。
(なんで、あんなこと言っちゃったんだろう)
落ち着いて真っ先に思い出すのは先ほどの事。言い訳になってしまうが、あそこまで言うつもりは無かったのだ。
ただあの眼に見つめられた途端、どうしようもなくあさましい気持ちがこみ上げて来てしまった。抱きしめて欲しい。いつかのように、勘違いでも良いから本当の恋人のようにキスしてくれないだろうか。と
(サイテーだよ、私)
あの朽ちた教会で拒否したのは自分の癖に、今さらどんな顔してそんなことを願うのか。
そう言った感情も踏まえ、理性を総動員してやっと出てきたのがあの言葉だった。
あぁだけど、距離を置くのにはちょうど良かったのかもしれない。
(このまま、愛想をつかされたら、無かったことにできるかな)
煌びやかな衣装を着けた観光客たちが目の前を通り過ぎていく。
サリューンはすっかり日も暮れて、夜の美しさになっていた。
「吐きそ……」
食べてすぐ全力疾走したときのような逆流性を感じ表通りから離れうす暗い路地裏へ引っ込む。どうしたことだろう、昼を食べ損ねたので胃はからっぽに近いはずなのだが。
「?」
その時、路地の曲がり角の方から人の気配がしたような気がして耳を澄ます。
聞き覚えのある声が聞こえたような気がしてそっと様子を伺った。
……約束の……これさえあれば……指示通りに
いかにも「怪しい取引ですよ」と言わんばかりの雰囲気に好奇心が首をもたげる。影からこっそりのぞいた少女は仰天した。
「じゃあ、確かに受け取ったから」
まばゆい金髪。いつもの魔女ドレスよりもフォーマルな恰好。
見覚えのありすぎる後ろ姿が黒服の集団から何かの黒い箱を受け取っているところだった。
(シャルロッテさん!?)
彼女はふわりとホウキにのると固い顔のまま言った。
「言っておくけど、この事をあの子たちに話したら――」
「わかっている、魔女協会としてもわざわざアンタを怒らせるような真似はしないさ」
「だと良いんだけど」
それだけ言い残しシャルロッテは建物の向こうに消えていった。
バクンバクンと口から飛び出しそうな心臓をいなしながら引っ込む。
今、見たものが、聞いたことの意味が分からない。
魔女協会? なぜシャルロッテが彼らとこのような場所で取引を――
ガタンッ
「!」
今度こそ心臓が飛び出たと思った。
見れば上から飛び降りてきたのか黒猫がこちらを不思議そうに見上げている。首を傾げるとそのまま闇に消えて行ってしまった。
「おい、誰か居るのか!」
まずい。猫に恨みは無いがタイミングが悪すぎる。
できるだけ音を立てないようにニチカは抜き足かつ全速力で逃げ始めるのだが
「やっぱり誰か居るぞ!」
「追え!」
「~~~っ!!」
完全に見つかってしまった。
意を決した少女は派手な音をたてるのも構わず木箱を引っ掛けながら逃げ出す。懐から10cm四方の白い布を取り出してバッと後方に投げつけた。途端に布にあらかじめ書かれた魔法陣が光を放つ。
カッ
「ぐあああっ!!」
「馬鹿なにやってんだっ、どけっ」
「いやー! いやー! いやーーー!!!」
試作段階の魔法陣では加減がわからず出力が弱かったようだ。
涙目で逃げ惑う少女と、黒服の男たちの追いかけっこが煌びやかな夜の街で始まってしまった。
***
その頃、宿屋の二階でカツンという硬質な音が響く。
黒いチェスの駒から手を離したランバールは盤面を睨みながら何でもないことのように言った。
「遅いッスねー、ニチカちゃん」
窓枠によりかかり、白い駒を無造作に動かしたオズワルドは答えなかった。視線はさきほどからずっと宿の前の水路を見つめたままだ。
「あああっ、タンマッちょっとタンマで!」
「何度目だ」
呆れたように声をかければ、窓ガラスに頭を掻き毟るランバールの焦った顔が映り込む。
それを見ながら脳裏によみがえるのは、風の里での別れ際の会話だった。
――真面目にあのコの事が欲しくなりました
――オレの大切な人、しっかり護ってくださいね?
そして先ほど少女から落ちた緑の髪。
胸の奥をざらりとやすりで擦られたような感覚が走り目を細める。
「なぁ……お前、本気なのか?」
その問いかけをチェスの事だと勘違いしたのか、盤面から顔を上げようともせずにランバールがうなりながら答えた。
「あのですねー、本気で挑まなきゃオレなんか瞬殺ですって。いったいどういう頭の構造してるんですかアンタ」
だが問いかけた側もぼんやりとしていたのか、会話はちぐはぐなまま進んでいく。
「買いかぶり過ぎだ。お前の方がよっぽど上手《うわて》だろう。でなければアイツが」
「なんスか嫌味か。って、あああー! ここだ! ここ突破口! やべーっオレ冴えてる! 天才!」
さぁ行くぜ反撃だ――と、ナイトの駒を手にしようとしたその時、窓をブチ破り少女が室内に転がり込んできた。あっけなく盤上の戦いに終止符が打たれる。
「いやあああ!!」
「なあぁぁぁ!?」
「オレの逆転劇がぁぁぁ!!」
真紅のマントに包まっていたおかげか、少女はたいした怪我もないようでバッと立ち上がった。
「た、助けて―! 大変なの! 何がどうしてこうなったかサッパリなんだけどえらいこっちゃあわわわわ」
「うん、よし、まずは落ち着け」
「死ぬなー! まだ戦いは終わっちゃいないぞランバール軍んんん!!」
カオスな室内を止めたのは少女の一言だった。
「追われてるの! 魔女協会のヤツらだと思う」
「!」
サッと顔色を変えた男たちは即座に立ち上がる。
オズワルドは壊れた窓にカーテンを引き、ランバールが入り口のドアの錠を下ろして、固まるように中央に集まる。
「どういうことだ、何があった」
「あ……それより、シャルロッテさんは?」
「シャル? さっき一度顔を出してまたすぐに出て行ったが」
少女の傍らに膝を着いていた師匠は、その小さな肩が微かに震えているのに気づく。
「まさか、アイツ絡みか?」
「わ、たしもっ、見間違いだって思いたいんだけど」
泣き出しそうな顔で先ほど出くわしてしまった場面を伝える。黒服の男たちに向けた冷たい声音が頭の中に反響する。
「ねぇウソだよね? シャルロッテさんが私たちの敵なわけないよね?」
すがりつくように言った弟子の服を、男は唐突に脱がし始めた。
「!?」
「これは外しておけ。アイツが作ったものだろ」
「あ……」
この旅を始めた時からずっと身に着けていた赤いケープをそっと床に置く。
じわりとにじんだ涙を振り払い、頭を切り替えた。全て終わって疑いが晴れた後、またここに取りに来ればいい。
「ホウキで逃げて来たけど、でも後を付けられてるかもしれない」
「そりゃまずいなー、いったんここ引き払いますか」
まさかここでドンパチするわけにもいかないし、とランバールも愛用のホウキを取り出す。
だが一瞬考えるようなそぶりを見せたオズワルドはそれを制した。
「いや、確かめよう」
「え、何を?」
それには答えず男は部屋を出る。すぐ隣に取った女性陣の部屋へ何のためらいもなく突入した。
「ねぇ、何のつもり? 早く逃げようよ」
ニチカの問いを無視してベッドの下を覗き込む。すると黒いケースのような物が出てきた。
「! それ、さっきの取引の!」
すぐさま開けようと手を掛けるが、ガチンと音がして引っかかる。
「鍵? 違う、封印か」
その時、にわかに階下がさわがしくなる。見張り役で廊下側に居たランバールが焦ったような声を出した。
「やばいっス、何か黒い集団が宿屋の主人と揉めてて」
「脱出しようってば」
「ここの流れを逆にしてやれば――開いた!」
ピンッと音がして、黒い箱の錠が外れる。その中にあったものに少女は目を見開いた。
「なん、で」
中には黒々と光る銃が3丁収められていた。
全ての銃身に見覚えのある魔法陣が描かれている。
「ディザイア……」
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