124 / 156
11-リビングデッド・ハート
124.少女、リンクする。
しおりを挟む
その言葉は少女の琴線を乱暴に弾いた。爪弾かれた不協和音が記憶の小箱を共鳴させる。
――誰が産んでやったと思ってんのよ!
「っ、ちがう! 子供が親の所有物だなんてそんなこと絶対にない!」
「いいや物さ。親は絶対的な主君、逆らうことは許されぬ」
「そんなの嘘!」
ほぼ叫んでかぶりをふったニチカの瞳にじわりと涙がにじむ。
「嘘だ……」
そんな様子を気にもかけずに白魔は瞳を紫に輝かせながら語りだした。
「ハハハハハ! 今こそ我が白の国が世界を掌握する時! かつて私に屈辱を与えてくれた『赤の国』の末裔を途絶えさせねば!」
まさに傲慢そのもの発言にもニチカは顔を上げない。そちらをチラリとみた当主はフンと鼻を鳴らした。
「力量の差に戦意も失せたか。まぁそれなりには楽しめたぞ?」
まっすぐに構えた右手の中に青い光が宿る。
一本だけ形成された矢が放たれた。
「死ね」
「!」
ザシュッと言う音が響き少女の首筋から鮮血が吹き出る。
「う、ぁぁ……」
なんとか喉に突き刺さる事だけは回避したが切り裂かれた箇所からダクダクと血が出てくる。不思議と痛みはなかった。陶酔状態になり感覚がおかしくなっているのかもしれない。
(どうしたら……どうしたら!)
血を流しすぎたのか考えがまとまらない。
その時目の前に何かがトスッと落ちてきて雪に埋もれた。
拾い上げると僅かな雪明かりを反射して鈍く光る。胸元に下げていたはずの青い指輪だった。今の一撃でチェーンがちぎれ吹き飛んだらしい。
――その指輪、カットして性能を上げたと言っただろ、やろうとすれば俺とお前はかなり深い意識レベルでリンクできるんだ
(そうだ!)
一縷の望みをかけてそれを左の中指にすべらせる。祈るようにぎゅっと握り締めるとふわりと魔導風が発生した。
(師匠、師匠! オズワルド!)
だが呼びかけは届かない。何かに遮断されているかのように引っかかりを感じてしまう。その妨害をしているであろう白魔は冷めた目を向けた。
「何をしてるかと思えば。無駄だと言ったはずだ、もはやこの男の意識は消えかけている」
(お願い……反応して!)
少女の願いは届かず深々と降り積もる雪に吸い込まれていく。
無力な自分にあの暗い湖面の心象世界を思い出し胸のあたりがじぐじぐと痛む。
悲しかった。空しかった。
やはり自分には無理なのかと諦めそうになったその時だった
「見……っつけたぞおおお火のっ娘!! わらわを放置するとは何事じゃっ!!」
「!?」
可愛らしい声がすぐ間近で金切り声を上げる。驚いて視線を上げると空中に青い女の子が浮かんでいた。眉をつり上げている幼女は腰に手をあててぷんぷんと怒っている。瞳を潤ませてなぜか半泣きだ。
「あの流れは追いかけて来る流れじゃろうが! 放置プレイされたわらわはどーすればよいのだっ」
「る、ルゥリア様?」
「ひどいではないか! ひどいではないか!! わらわは、わらわはぁぁ……」
すっかり忘れてました。
とは言えないくらいの剣幕だ。
どうやらヘソを曲げた彼女は一言いうためにわざわざ追いかけてきたらしい。
ぐすっと涙を拭っていた水の精霊は場の惨状に気づいたのか雪原を見渡した。
「なんじゃー? そういえばさっきからマナたちがやけに騒がしかったの」
そこで少し離れたところに立つ男と目があったらしい。眉をひそめた精霊はその正体を一発で見抜いた。
「おぬしなんだか先ほどまでと雰囲気が違うの。その魂魄――もしや『白』か?」
「ハク?」
うむ。と頷いた彼女はふよふよと浮きながらその正体を明かした。
「精霊戦争時代この白の国を治めていた頂点じゃ。ここに住まう一族の始祖でわらわを捕らえていた張本人でもある」
「えっ!?」
そんな昔から代々の息子に乗り移って生き永らえて来たと言うのか。執念深いにもほどがある。
そう感じたのはルゥリアも同じだったのか半目で足を組みながら彼女は言った。
「ユーナにぼっこぼこにされたと言うのにまだ現世にしがみついておったかーしぶといのー」
呆れたような口調で言われても始祖は無表情だった。無言で手を構え氷の魔導を撃ち込んできた。
「っ!!」
だがそれらは全て着弾する寸前で青い光になってパッと散った。得意げに笑った水の精霊がチチチと指を振る。
「忘れたか? 水の元締めであるわらわに水属性は効かぬよ。さぁ皆おいで」
サァァァ……
彼女が優しく呼び寄せると辺りにただよっていた青いマナたちが一斉にこちらへと移動しだした。
だが始祖はそれでも抵抗しようと何かブツブツつぶやきだした。橙色の光がその手に宿る。
「むぅ、まだやるつもりか」
「あ、あのっ、まずいんです! あの身体ムリに魔法を使おうとすると負担がすごいらしくて」
「ふむ、どうやらそのようじゃの」
もはやオズワルドの身体は限界に近いように見えた。青ざめた顔は悲壮感がただよい、それでも爛々と光る紫の目は諦めてはいない。その口からまた新たな血がごふっと吐き出された。
「この男の命が惜しければそれ以上近寄るな!」
自害する勢いの始祖にルゥリアはハァっとため息をついた。チョイチョイとニチカを呼び寄せる。
「仕方なかろ。どれ娘、ニチカとか言ったか? 魔導球を貸してみぃ」
返事をする前に杖の先端に手をかざした精霊は意識を集中させる。
すぐに青い光がその手に宿りすぅっと魔導球に吸い込まれていった。
「おぬしは火属性じゃからのぅ、これでだいぶマシになったはず。あの水属性の男に呼びかけるのが容易くなったはずじゃ」
「あ、ありがとうございますっ」
「よい、その代わりあの『白』をどうにかせい。わらわもあヤツには莫大な借りがある。礼はあの亡霊を確実に仕留めてからじゃ」
それだけ言い残し水の精霊はふわっと『白』の方に寄っていく。
慌てた男は標的をそちらに変えた。だがそれもいつ気が変わるか分からない。
いつ、始祖の気まぐれで氷の矢が飛んできてグサリと刺さるかもしれない恐怖をなんとか押し殺しニチカは雪の上に膝立ちになった。
杖を戻して腰のベルトにつけると祈るように指輪を包み込む。そしてそっと目を閉ざした。途端にルゥリアと亡霊が衝突する音が遠ざかっていった。
しん……とした暗闇の中で、青い雫が一つ落ちる。
――ピチョン
落ちた箇所から波紋が広がる。
少女はゆっくりと意識を広げていった……
***
一面に広がるまっさらな世界を男は歩く。
鉛色の空から落ちてくる雪が肩に積もるが少しも冷たさは感じなかった。
それはそうかと鼻で笑う。
これはおそらく夢。過去の忌まわしい思い出したくもない記憶の再現。
立ち止まっていても仕方ないので足を動かす。
どこまで歩いても誰も居ない。
そこは孤独な白の世界だった。
やがて無心で歩いていた男の行く手に何かが現れた。
雪の中に埋もれるようにして華が咲いている。
それは透き通るような銀の髪を散らした一人の女だった。
仰向けになり両手を胸の上で組みまるで眠っているだけのように見える。
だが生気も何も感じられない、それがただの幻影であることを男は知っていた。
「リッカ」
かつての自分の拠りどころ、依存し合うことで互いを支えてきた相手。
何よりも愛しかった自分の映し鏡。
再度その名を呼ぶが反応はなかった。
青白い顔で横たわり貫かれた胸から赤い命を流し続けている。
やがてそこだけ赤い華が咲いたかのごとく白い雪は血で染まった。
寄り沿うでもなく触れるでもなく、男はただその死体を見下ろしていた。
「どうして俺を恨まなかった」
そこで初めて声にわずかな感情が滲んだ。
目元に浮かぶ色は後悔ではなく純粋な哀しみと疑問だった。
「俺にだけは『本当の自分』で居てくれるんじゃなかったのか」
返事はなかった。あるはずも無かった。
女の死体はいつの間にか雪に融けていた。
馬鹿馬鹿しい、人体が雪と同化するわけないのに
どこか冷静な頭がそう呟く。
やはりこれは夢なのだ。
全身の力を抜いた男は雪の中へうつぶせに倒れこむ。
白銀の髪に雪が降り積もる。
次第に自分と雪との境い目がわからなくなっていく。
もう身体を起こせないほど重く雪が圧し掛かっていた。
同化する
のみこまれていく
結局はここに還っていくしかないのだろう。
包み込まれるような雪のベールが降りそそぐ。
もう考えることすら億劫になっていた
深々
しんしん
…………。
ふと暖かいものが手を伸ばして来たような気がした。
柔らかい陽の光のように少しずつ手を伸ばしてくる何か。
それは男にとってひどく嫌悪すると共に焦がれて止まないものだった。
凍りついた心を融かされてしまいそうな、心の奥底まで照らし透かす春の陽光が近づいてくる。
そして無音だった世界にザクザクと無遠慮な音が響いた。
――誰が産んでやったと思ってんのよ!
「っ、ちがう! 子供が親の所有物だなんてそんなこと絶対にない!」
「いいや物さ。親は絶対的な主君、逆らうことは許されぬ」
「そんなの嘘!」
ほぼ叫んでかぶりをふったニチカの瞳にじわりと涙がにじむ。
「嘘だ……」
そんな様子を気にもかけずに白魔は瞳を紫に輝かせながら語りだした。
「ハハハハハ! 今こそ我が白の国が世界を掌握する時! かつて私に屈辱を与えてくれた『赤の国』の末裔を途絶えさせねば!」
まさに傲慢そのもの発言にもニチカは顔を上げない。そちらをチラリとみた当主はフンと鼻を鳴らした。
「力量の差に戦意も失せたか。まぁそれなりには楽しめたぞ?」
まっすぐに構えた右手の中に青い光が宿る。
一本だけ形成された矢が放たれた。
「死ね」
「!」
ザシュッと言う音が響き少女の首筋から鮮血が吹き出る。
「う、ぁぁ……」
なんとか喉に突き刺さる事だけは回避したが切り裂かれた箇所からダクダクと血が出てくる。不思議と痛みはなかった。陶酔状態になり感覚がおかしくなっているのかもしれない。
(どうしたら……どうしたら!)
血を流しすぎたのか考えがまとまらない。
その時目の前に何かがトスッと落ちてきて雪に埋もれた。
拾い上げると僅かな雪明かりを反射して鈍く光る。胸元に下げていたはずの青い指輪だった。今の一撃でチェーンがちぎれ吹き飛んだらしい。
――その指輪、カットして性能を上げたと言っただろ、やろうとすれば俺とお前はかなり深い意識レベルでリンクできるんだ
(そうだ!)
一縷の望みをかけてそれを左の中指にすべらせる。祈るようにぎゅっと握り締めるとふわりと魔導風が発生した。
(師匠、師匠! オズワルド!)
だが呼びかけは届かない。何かに遮断されているかのように引っかかりを感じてしまう。その妨害をしているであろう白魔は冷めた目を向けた。
「何をしてるかと思えば。無駄だと言ったはずだ、もはやこの男の意識は消えかけている」
(お願い……反応して!)
少女の願いは届かず深々と降り積もる雪に吸い込まれていく。
無力な自分にあの暗い湖面の心象世界を思い出し胸のあたりがじぐじぐと痛む。
悲しかった。空しかった。
やはり自分には無理なのかと諦めそうになったその時だった
「見……っつけたぞおおお火のっ娘!! わらわを放置するとは何事じゃっ!!」
「!?」
可愛らしい声がすぐ間近で金切り声を上げる。驚いて視線を上げると空中に青い女の子が浮かんでいた。眉をつり上げている幼女は腰に手をあててぷんぷんと怒っている。瞳を潤ませてなぜか半泣きだ。
「あの流れは追いかけて来る流れじゃろうが! 放置プレイされたわらわはどーすればよいのだっ」
「る、ルゥリア様?」
「ひどいではないか! ひどいではないか!! わらわは、わらわはぁぁ……」
すっかり忘れてました。
とは言えないくらいの剣幕だ。
どうやらヘソを曲げた彼女は一言いうためにわざわざ追いかけてきたらしい。
ぐすっと涙を拭っていた水の精霊は場の惨状に気づいたのか雪原を見渡した。
「なんじゃー? そういえばさっきからマナたちがやけに騒がしかったの」
そこで少し離れたところに立つ男と目があったらしい。眉をひそめた精霊はその正体を一発で見抜いた。
「おぬしなんだか先ほどまでと雰囲気が違うの。その魂魄――もしや『白』か?」
「ハク?」
うむ。と頷いた彼女はふよふよと浮きながらその正体を明かした。
「精霊戦争時代この白の国を治めていた頂点じゃ。ここに住まう一族の始祖でわらわを捕らえていた張本人でもある」
「えっ!?」
そんな昔から代々の息子に乗り移って生き永らえて来たと言うのか。執念深いにもほどがある。
そう感じたのはルゥリアも同じだったのか半目で足を組みながら彼女は言った。
「ユーナにぼっこぼこにされたと言うのにまだ現世にしがみついておったかーしぶといのー」
呆れたような口調で言われても始祖は無表情だった。無言で手を構え氷の魔導を撃ち込んできた。
「っ!!」
だがそれらは全て着弾する寸前で青い光になってパッと散った。得意げに笑った水の精霊がチチチと指を振る。
「忘れたか? 水の元締めであるわらわに水属性は効かぬよ。さぁ皆おいで」
サァァァ……
彼女が優しく呼び寄せると辺りにただよっていた青いマナたちが一斉にこちらへと移動しだした。
だが始祖はそれでも抵抗しようと何かブツブツつぶやきだした。橙色の光がその手に宿る。
「むぅ、まだやるつもりか」
「あ、あのっ、まずいんです! あの身体ムリに魔法を使おうとすると負担がすごいらしくて」
「ふむ、どうやらそのようじゃの」
もはやオズワルドの身体は限界に近いように見えた。青ざめた顔は悲壮感がただよい、それでも爛々と光る紫の目は諦めてはいない。その口からまた新たな血がごふっと吐き出された。
「この男の命が惜しければそれ以上近寄るな!」
自害する勢いの始祖にルゥリアはハァっとため息をついた。チョイチョイとニチカを呼び寄せる。
「仕方なかろ。どれ娘、ニチカとか言ったか? 魔導球を貸してみぃ」
返事をする前に杖の先端に手をかざした精霊は意識を集中させる。
すぐに青い光がその手に宿りすぅっと魔導球に吸い込まれていった。
「おぬしは火属性じゃからのぅ、これでだいぶマシになったはず。あの水属性の男に呼びかけるのが容易くなったはずじゃ」
「あ、ありがとうございますっ」
「よい、その代わりあの『白』をどうにかせい。わらわもあヤツには莫大な借りがある。礼はあの亡霊を確実に仕留めてからじゃ」
それだけ言い残し水の精霊はふわっと『白』の方に寄っていく。
慌てた男は標的をそちらに変えた。だがそれもいつ気が変わるか分からない。
いつ、始祖の気まぐれで氷の矢が飛んできてグサリと刺さるかもしれない恐怖をなんとか押し殺しニチカは雪の上に膝立ちになった。
杖を戻して腰のベルトにつけると祈るように指輪を包み込む。そしてそっと目を閉ざした。途端にルゥリアと亡霊が衝突する音が遠ざかっていった。
しん……とした暗闇の中で、青い雫が一つ落ちる。
――ピチョン
落ちた箇所から波紋が広がる。
少女はゆっくりと意識を広げていった……
***
一面に広がるまっさらな世界を男は歩く。
鉛色の空から落ちてくる雪が肩に積もるが少しも冷たさは感じなかった。
それはそうかと鼻で笑う。
これはおそらく夢。過去の忌まわしい思い出したくもない記憶の再現。
立ち止まっていても仕方ないので足を動かす。
どこまで歩いても誰も居ない。
そこは孤独な白の世界だった。
やがて無心で歩いていた男の行く手に何かが現れた。
雪の中に埋もれるようにして華が咲いている。
それは透き通るような銀の髪を散らした一人の女だった。
仰向けになり両手を胸の上で組みまるで眠っているだけのように見える。
だが生気も何も感じられない、それがただの幻影であることを男は知っていた。
「リッカ」
かつての自分の拠りどころ、依存し合うことで互いを支えてきた相手。
何よりも愛しかった自分の映し鏡。
再度その名を呼ぶが反応はなかった。
青白い顔で横たわり貫かれた胸から赤い命を流し続けている。
やがてそこだけ赤い華が咲いたかのごとく白い雪は血で染まった。
寄り沿うでもなく触れるでもなく、男はただその死体を見下ろしていた。
「どうして俺を恨まなかった」
そこで初めて声にわずかな感情が滲んだ。
目元に浮かぶ色は後悔ではなく純粋な哀しみと疑問だった。
「俺にだけは『本当の自分』で居てくれるんじゃなかったのか」
返事はなかった。あるはずも無かった。
女の死体はいつの間にか雪に融けていた。
馬鹿馬鹿しい、人体が雪と同化するわけないのに
どこか冷静な頭がそう呟く。
やはりこれは夢なのだ。
全身の力を抜いた男は雪の中へうつぶせに倒れこむ。
白銀の髪に雪が降り積もる。
次第に自分と雪との境い目がわからなくなっていく。
もう身体を起こせないほど重く雪が圧し掛かっていた。
同化する
のみこまれていく
結局はここに還っていくしかないのだろう。
包み込まれるような雪のベールが降りそそぐ。
もう考えることすら億劫になっていた
深々
しんしん
…………。
ふと暖かいものが手を伸ばして来たような気がした。
柔らかい陽の光のように少しずつ手を伸ばしてくる何か。
それは男にとってひどく嫌悪すると共に焦がれて止まないものだった。
凍りついた心を融かされてしまいそうな、心の奥底まで照らし透かす春の陽光が近づいてくる。
そして無音だった世界にザクザクと無遠慮な音が響いた。
0
あなたにおすすめの小説
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
悪役令嬢の役割は終えました(別視点)
月椿
恋愛
この作品は「悪役令嬢の役割は終えました」のヴォルフ視点のお話になります。
本編を読んでない方にはネタバレになりますので、ご注意下さい。
母親が亡くなった日、ヴォルフは一人の騎士に保護された。
そこから、ヴォルフの日常は変わっていく。
これは保護してくれた人の背に憧れて騎士となったヴォルフと、悪役令嬢の役割を終えた彼女とのお話。
死に戻りの元王妃なので婚約破棄して穏やかな生活を――って、なぜか帝国の第二王子に求愛されています!?
神崎 ルナ
恋愛
アレクシアはこの一国の王妃である。だが伴侶であるはずの王には執務を全て押し付けられ、王妃としてのパーティ参加もほとんど側妃のオリビアに任されていた。
(私って一体何なの)
朝から食事を摂っていないアレクシアが厨房へ向かおうとした昼下がり、その日の内に起きた革命に巻き込まれ、『王政を傾けた怠け者の王妃』として処刑されてしまう。
そして――
「ここにいたのか」
目の前には記憶より若い伴侶の姿。
(……もしかして巻き戻った?)
今度こそ間違えません!! 私は王妃にはなりませんからっ!!
だが二度目の生では不可思議なことばかりが起きる。
学生時代に戻ったが、そこにはまだ会うはずのないオリビアが生徒として在籍していた。
そして居るはずのない人物がもう一人。
……帝国の第二王子殿下?
彼とは外交で数回顔を会わせたくらいなのになぜか親し気に話しかけて来る。
一体何が起こっているの!?
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる