自白魔法の暴走?!えっちな本音を隠せません!

向水白音

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5.ハゲ薬暗殺未遂事件について

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 ワインを飲みながら話しているうちに私の気も緩み、すっかり打ち解けてしまった。

「それでさ、金髪ふぁさ男が言ってきたの! これは画期的な発明だ! 歴史に名を刻めるぞ! って! いや、そんなまさかと思っていたのに、勲章だの開発部門長だの言われてさぁ……」
「それだけ髪に悩む人はいたということですよ」
「でもいいことばっかりじゃないよ。育毛のポーションで生活していた人たちから殺し屋を差し向けられたこともあったんだから」
「ああ、そんなこともありましたね」
「やっぱ魔法の影響力って大きすぎるんだよ。姫様のために作った魔法がまさか誰かの生活を壊すなんて思わなかったから……」
「あなたが気にすることではありませんよ。本当に生活ができない人が出てくるのだとしたら、王が対処しています。暗殺なんてバカなことを考えた人たちは、既得権益を手放したくなかっただけですから」
「そうかな? ハゲ薬に既得権益なんてあんの?」
「なんの効果のない薬でも高く売れてきましたからね。楽して儲けたい連中にとってはよい収入源だったでしょう。彼らも心を入れ替えて働いているはずですよ」

 気休めだったとしても、カイザの言葉は私の心に響いた。
 ずっと気にしていたことを「気にしなくていい」と言ってもらえたことで少しだけホッとできた。

「エニーさんが魔法の影響を気にしていた原因はそれだったんですね」
「暗殺されそうになるほど恨まれたら気にするに決まってるでしょ」
「才能のある口が悪い方と噂されていましたが、意外と繊細なんですね」
「はあ?」

 どこの噂だ。
 あとで金髪ふぁさ男を締めなければ……いや、ワインをくすねているからチャラにしよう。

「どうして暗殺未遂事件まであったのに魔法開発を続けているのですか? あなたにしかできない仕事とは言え、上に申し出れば一介の魔術師に戻ることも出来たでしょうに」
「そうねぇ……魔法を開発して困る人よりも助かる人の方が多いからかな」
「困った人から暗殺されかけたのに?」
「うん。開発を頼まれるってことは必要な人が多いってことだから、不便さを解決するために私は魔法を開発する」
「確かにエニーさんは頭髪増強魔法以外にも、攻撃魔法の短縮、強化魔法の効果アップなど魔法開発のレベルを押し上げていますね。おかげで討伐は前よりも楽になったって騎士団でも評判ですよ」

 あまり聞かない騎士団員からの生の声がなんだか嬉しい。
 お酒も入っているからか、ポロリと言葉が漏れた。

「殺されかけたことは怖かったけど、それ以上に踏ん切りがついたの。一度始めちゃったらもう戻れないから、私は魔法開発で生きていくしかないって。割を食う人がいたとしても、それ以上に助かる人はいるはずだから、恨まれても別にいいやって思ってる。カイザの言う通り、本当に開発した魔法のせいで民の生活が壊れるとしたら王が見捨てるはずないし」
「ええ。我らが主君はそういう方ですよ」
「だよね。それに私に頼むってことは必要ってことでしょ? だったら、私がやらなくてもどうせ誰かはやらなきゃいけないんだよ、きっと。なら、もう恨まれてる私がやればいいよ」
「暗殺者が怖くありませんか?」
「怖いけど、そう簡単には殺されないよ。ハゲ薬の時だって、思いっきり暴れたんだから」

 暴れているうちに魔力が枯渇して本当に死にそうになったけど、意識が朦朧としているうちに騎士団の人が助けてくれた。
 あの時ほど筋肉バカに感謝したことはない。
 私としてはもう笑い話の類だけど、カイザは気遣うように眉を下げた。

「あまり一人で無理はしちゃダメですよ。もう今日は帰ったらいかがですか? 家まで送ります」

 すでに食べ終わり、駄弁っている時間の方が長くなっていた。
 外は真っ暗だ。

「ううん。このまま泊ってく。知ってる? 魔術師隊のお風呂って花の香りがするんだよ。それも日替わりで!」
「そうなんですか。でも、お酒を飲んだのですからお風呂はやめておいた方がいいのでは?」
「確かに。明日の朝に入ろうかな」
「そうした方がいいです。帰らないのでしたらきちんと鍵をかけてくださいね。私はそろそろ宿舎に帰ります」
「カイザ、夕飯持ってきてくれてありがとうね。それに話にも付き合ってくれてありがとう」
「私も楽しかったですから。では、根を詰めすぎないように」

 にこやかに去っていく彼の背中はムッキムキだった。
 さすが現役騎士団員。
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