幽霊少女

猫ふくろう

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12話・浮遊霊と地縛霊2/4

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 久美がジバ子に会って次の日、約束どおり彼女の家に向う。地縛霊で家から出られない彼女のためにリバーシを持っていくことにした。道中、人に見つからないように注意していたら家につくのが午後になってしまった。
「来たよー」
「いらっしゃい」
ジバ子が明るく迎える。前回は壁越しだったり、暗かったりしたため気付かなかったが、ジバ子にはひどいクマがあった。
「ジバ子ちゃん、クマがひどいけど寝れてる?」
「私、あまり眠れないの」
「眠くないの?」
「ううん」
「寝る?」
「ううん」
久美は少し心配になったが、リバーシをやりたかったため、気にしないことにした。
 八戦して久美が全勝した。久美は飽きたため、帰ろうとする。
「次はいつ来てくれるの?」
「絶対また来るから安心して」
久美は優しく微笑んでなだめる。ジバ子は小さく手を振って見送った。
 久美が帰った後、ジバ子は一人でリバーシをしていた。勝っても負けても何も感じない。
「ジバ子ちゃーん。また来たよー」
一時間後、久美がまた来た。
「おねーちゃん!」
久美の所に駆け寄る。久美は頭をなでる素振りをする。
「今日泊まって良い?」
「うん!」
ジバ子はリバーシを嬉しそうに持ってきた。久美は何も言わずリバーシ九戦目に入った。
 「ジバ子ちゃんは幽霊になって何年くらい経つの?」
「3年。お姉ちゃんは?」
「覚えてない」
「お外楽しい?」
「別に楽しくないよ」
久美は外の世界に飽き飽きしている事を話す。怖い顔の人が山奥で蠢く黒いビニール袋をうめていた話や、満員電車などの話をした。久美の愚痴が続いた。口をとがらせながら話したが、ジバ子は羨ましそうに聞いていた。その事に久美は調子を良くした。
「まあ、浮遊霊だから動物園とか水族館とかは入り放題だよね。それは楽しかったよ」
自慢気に言う。
「いいな~」
笑い話を織り交ぜながら、久美の自慢が続いた。ジバ子は笑い疲れ、ウトウトしていた。久美はそれに気づくと、ニコリと笑う。
「外には子守唄っていうのがあってね」
久美は子守唄を歌った。ジバ子は楽しそうに聞く。
 歌い終わった。ジバ子は他の歌をせがむ。
「あの、子守唄は聞くものじゃないんだよ」
久美はジバ子に言い聞かせるがジバ子は聞く耳を持たない。仕方なく他の子守唄を歌う。もちろんジバ子は眠らなかった。そのような事をずっと繰り返し、久美の子守唄のレパートリーは無くなり、知っている演歌やラップを歌いつくした。たくさんのライブに行った久美の音楽のレパートリーは多く、朝を迎えた。
 「疲れたから、帰るね」
「また来てね」
「もちろん。じゃあね」
「ばいばい」
 久美は帰り路、眠いため、ふらふらしていた。
「疲れた・・・」
久美はリバーシを家に置いてきてしまった事に気付いた。肩を沈めてきた道を引き返した。
 「リバーシ忘れちゃった」
返事はなかった。先程まで久美達がいた部屋に行くとジバ子が寝息をたてていた。久美は苦笑いする。
「おやすみ」
頭を撫でてから家を出ていった。
「帰ったら寝よ」
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