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22話・こっくりさん
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放課後、生徒のほとんどが家に帰り、教室に生徒は夜美、恵美奈、沙奈だけがいた。加えて久美もその教室にいた。一つの机の周りに椅子を4つ置いて座っている。机にはこっくりさんをするための用意がされている。
「じゃあ、始めようか。先ずルールを説明するね」
沙奈がルール説明を始めた。こっくりさんをするための準備は紙と十円玉だ。紙の上部真ん中には鳥居を描き、その左には『はい』、右には『いいえ』と書く。その下に五十音表を書き、さらにその下に一から九の数字を書く。参加者全員で人差し指を十円玉の上に置く。こっくりさんを呼んだ後は質問をする。十円玉が文字の上を移動して質問を答える。質問が終わったら帰ってもらう。その間、十円玉から指を離してはいけない。
「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいで下さい。もしおいでになられたら『はい』へお進みください」
沙奈がこっくりさんを呼ぶ。何度か唱えると十円玉が動き始めた。
「あっ!」
久美が驚き声をあげた。久美の指は十円玉が元あった位置にあるままだった。
「手を離しちゃダメって言ったじゃない」
「しょうがないじゃん!思ったより動きが速かったたんだから。私は物に触れないんだよ」
久美は焦る。夜美は久美をにらんだ。恵美奈は久美が見えないのでポカンとしていた。
「こっくりさん、こっくりさん、手を離した人はどうなりますか?」
恵美奈がこっくりさんに聞いた。十円玉が動き出す。
そ・い・つ・に・と・り・つ・く。
久美の方を心配そうに見る。それと同時に幽霊に取りつく事が出来るのかを不思議に思った。
「狐の霊だ」
夜美が紙の上を指さして言う。狐の霊は十円玉の中に潜んでいたようだ。その狐の霊は久美の中に飛び込むように入って行った。久美は倒れた。
数分経って意識を取り戻し、立ち上がる。
「痛いコン」
「コン?」
久美以外の三人は久美の語尾に驚く。
「コンってなんだコン?・・・エッ⁈」
久美はあたふたする。
「コンなんて言いたくないコン・・・コンじゃないコン」
三人は笑った。久美は腰に違和感を覚えた、尻尾がニョキニョキと生えてきた。次に頭にも違和感を覚える、狐の耳も同様に生えてきた。
「久美ちゃんかわいい!」
沙奈が言う。恵美奈は久美の姿が見られない事を悔しそうにする。
「早く元に戻してほしいコン」
不満気に言った。
ひとしきり笑った後、久美の右腕が勝手に動き始める。十円玉の上に指を置く。すると十円玉を動かし始めた。こっくりさんの能力だ。
ど・う・す・れ・ば・も・ど・れ・ま・す・か。
三人はまた笑った。
「こっくりさん、こっくりさん、どうすれば元にもどりますか?」
沙奈は茶化した。夜美も声を殺して笑う。
も・う・い・ち・ど・こ・っ・く・り・さ・ん・を・し・ま・し・ょ・う。
新しく呼んだこっくりさんに聞けという事だ。質問されれば答えるのはこっくりさんの職業病だ。
こっくりさんも交ぜてこっくりさんが始まった。
「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいで下さい。もしおいでになられたら『はい』へお進みください」
『はい』に移動した。
「こっくりさん、こっくりさん、どうすれば久美ちゃんは元に戻りますか?」
す・う・じ・つ・た・て・ば・も・と・に・も・ど・る。
久美は安堵して自由な方の手で胸をなでおろす。他の三人は優秀なこっくりさんに感心する。
何も質問をしていないにもかかわらず十円玉が動き始めた。
わ・た・し・を・で・し・に・し・て・く・だ・さ・い。
久美に取り付いた狐が優秀な方の狐に願い出た。十円玉は『いいえ』に移動する。
そ・こ・を・な・ん・と・か。
『いいえ』移動する。同じことを何度か繰り返したら、ついに十円玉が『はい』に移動した。うれしさの余り久美に取り付いた狐が出てきた。久美はその狐を見ると自分の頭と腰を触り、尻尾と耳が無いことを確認した。
「戻った?」
語尾に「コン」が無いことを確認した。
「戻った!」
狐と久美は互いに喜びを分かち合う。後から来た狐が十円玉から出てきた。
「師匠!」
弟子は師匠のもとに駆け寄る。師匠は下あごで弟子の頭をなでると一緒に立ち去って行った。
「帰っちゃった」
取り残された4人はそれぞれが考えた質問をできず、物足りなさを感じていた。そこで恵美奈が提案する。
「次はチャーリーゲームをしましょうか?」
「降霊術はもうこりごりだ」
久美が嘆いた。
「じゃあ、始めようか。先ずルールを説明するね」
沙奈がルール説明を始めた。こっくりさんをするための準備は紙と十円玉だ。紙の上部真ん中には鳥居を描き、その左には『はい』、右には『いいえ』と書く。その下に五十音表を書き、さらにその下に一から九の数字を書く。参加者全員で人差し指を十円玉の上に置く。こっくりさんを呼んだ後は質問をする。十円玉が文字の上を移動して質問を答える。質問が終わったら帰ってもらう。その間、十円玉から指を離してはいけない。
「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいで下さい。もしおいでになられたら『はい』へお進みください」
沙奈がこっくりさんを呼ぶ。何度か唱えると十円玉が動き始めた。
「あっ!」
久美が驚き声をあげた。久美の指は十円玉が元あった位置にあるままだった。
「手を離しちゃダメって言ったじゃない」
「しょうがないじゃん!思ったより動きが速かったたんだから。私は物に触れないんだよ」
久美は焦る。夜美は久美をにらんだ。恵美奈は久美が見えないのでポカンとしていた。
「こっくりさん、こっくりさん、手を離した人はどうなりますか?」
恵美奈がこっくりさんに聞いた。十円玉が動き出す。
そ・い・つ・に・と・り・つ・く。
久美の方を心配そうに見る。それと同時に幽霊に取りつく事が出来るのかを不思議に思った。
「狐の霊だ」
夜美が紙の上を指さして言う。狐の霊は十円玉の中に潜んでいたようだ。その狐の霊は久美の中に飛び込むように入って行った。久美は倒れた。
数分経って意識を取り戻し、立ち上がる。
「痛いコン」
「コン?」
久美以外の三人は久美の語尾に驚く。
「コンってなんだコン?・・・エッ⁈」
久美はあたふたする。
「コンなんて言いたくないコン・・・コンじゃないコン」
三人は笑った。久美は腰に違和感を覚えた、尻尾がニョキニョキと生えてきた。次に頭にも違和感を覚える、狐の耳も同様に生えてきた。
「久美ちゃんかわいい!」
沙奈が言う。恵美奈は久美の姿が見られない事を悔しそうにする。
「早く元に戻してほしいコン」
不満気に言った。
ひとしきり笑った後、久美の右腕が勝手に動き始める。十円玉の上に指を置く。すると十円玉を動かし始めた。こっくりさんの能力だ。
ど・う・す・れ・ば・も・ど・れ・ま・す・か。
三人はまた笑った。
「こっくりさん、こっくりさん、どうすれば元にもどりますか?」
沙奈は茶化した。夜美も声を殺して笑う。
も・う・い・ち・ど・こ・っ・く・り・さ・ん・を・し・ま・し・ょ・う。
新しく呼んだこっくりさんに聞けという事だ。質問されれば答えるのはこっくりさんの職業病だ。
こっくりさんも交ぜてこっくりさんが始まった。
「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいで下さい。もしおいでになられたら『はい』へお進みください」
『はい』に移動した。
「こっくりさん、こっくりさん、どうすれば久美ちゃんは元に戻りますか?」
す・う・じ・つ・た・て・ば・も・と・に・も・ど・る。
久美は安堵して自由な方の手で胸をなでおろす。他の三人は優秀なこっくりさんに感心する。
何も質問をしていないにもかかわらず十円玉が動き始めた。
わ・た・し・を・で・し・に・し・て・く・だ・さ・い。
久美に取り付いた狐が優秀な方の狐に願い出た。十円玉は『いいえ』に移動する。
そ・こ・を・な・ん・と・か。
『いいえ』移動する。同じことを何度か繰り返したら、ついに十円玉が『はい』に移動した。うれしさの余り久美に取り付いた狐が出てきた。久美はその狐を見ると自分の頭と腰を触り、尻尾と耳が無いことを確認した。
「戻った?」
語尾に「コン」が無いことを確認した。
「戻った!」
狐と久美は互いに喜びを分かち合う。後から来た狐が十円玉から出てきた。
「師匠!」
弟子は師匠のもとに駆け寄る。師匠は下あごで弟子の頭をなでると一緒に立ち去って行った。
「帰っちゃった」
取り残された4人はそれぞれが考えた質問をできず、物足りなさを感じていた。そこで恵美奈が提案する。
「次はチャーリーゲームをしましょうか?」
「降霊術はもうこりごりだ」
久美が嘆いた。
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