21 / 26
21話・走れ先生2/2
しおりを挟む
百合子は家に帰ると直ぐにジャージを引っ張り出した。
「どうしたの?」
久美に聞かれ、学校であったことを話した。
「明日の朝から、遠藤先生の家に荷物を置いて、30分ぐらい走ることにしたんだ」
「へー、私も行っていい?」
「ああ、いいよ」
次の日、約束通り遠藤の家に行った。チャイムを鳴らすとジャージ姿の遠藤とニコラエが出てきた。
「おはようございます」
「おはようデス。私も走らしてもらいマス」
「そうなんですか。久美も一緒なんですよ」
遠藤達に居場所を示すために久美の背中に手を添える。
「そうなんですか。ちょっと待っててクダサイ」
ニコラエは前の運動会で使ったハンズフリーを二つ持ってきた。一つを遠藤に渡す。
「これで久美ちゃんとも会話しながら走れマス」
百合子は荷物を置いてジョギングを始めた。
初日である事もあり、ゆっくりのペースで走る。運動が苦手な遠藤でも雑談しながら走る事が出来た。
「久美ちゃんは趣味とかある?」
「最近は裁縫にはまってるんだ」
「へー、私も裁縫好きなんだ」
「もしかして、この前の幽霊騒動は久美ちゃん?」
「いや、それは・・・」
言葉に詰まって百合子の方を見る。百合子とニコラエは前の方で会話に夢中でこちらの会話を気にしていないようだった。それに安心して会話を続ける。
「そうだよ。楽しかった」
「だめだよー。あまり勝手に入っちゃ」
十分位経った。
「ねえねえ」
久美は百合子に話しかける。久美は後ろを指した。その方向を見ると百メートル以上後に遠藤がいた。
「遠藤ちゃん、ヘロヘロになってる」
三人で遠藤が来るのを待った。
「おつかれさまです」
ニコラエと遠藤は引き返すことにして、百合子と久美はまだ走る事にした。
「それじゃあ、頑張ってくだサイ」
「久美ちゃん・・・頑・・張って」
ニコラエは遠藤の体を支えて、遠藤は何とか声を絞り出して百合子達を見送った。
ジョギングを始めてから30分後、ニコラエと遠藤が家に着く。ニコラエは遠藤を玄関先に座らせたら直ぐに家を出ていった。少し経って、百合子を抱えて帰ってきた。すると、また出ていった。そして家庭科の先生を抱えてきた。
「すいません。本当に申し訳ありません」
息を切らしながら謝罪の言葉を繰り返している。
シャワーを浴びて学校に出勤した。しかし、遠藤達3人は顔から生気が抜けている。
「大丈夫デスカ?」
周りを見渡すと3人以外の女性教師の大半が疲れていた。
「今日の学校は大丈夫デスカ?」
一時限目は具合悪そうな授業だったが、三時限目にはほとんどの女性教師が本調子を取り戻した。しかし、若手教師は筋肉痛で苦しんでいた。
「あっ!痛い」
ベテラン女性教師に肩を借りて立ち上がる。
「だらしないわね。私より若いのにへばってんじゃないの」
「すいません」
次の日、遠藤と百合子は筋肉痛でベッドから立ち上がるのに苦労した。今日も走る約束をしていたが、無理なので今日のジョギングを休む連絡を入れることにした。
「もしもし、百合子です」
『おはようございマス』
「今日は筋肉痛がひどいのでジョギングは休みます」
『百合子先生もデスカ?』
「遠藤先生もですか?」
『ハイ』
学校にベテラン教師から休みの電話が来た。筋肉痛がひどくて立ち上がれないようだ。電話を受け取ったのは若手教師だ。
「昨日はすまなかったね、その日のうちに筋肉痛になるのは若い証だったね」
何人かの教師がダイエットに失敗した。家庭科の先生は健康的な食事でダイエットするそうだ。
話し合い、百合子達のジョギングは一日おきに行うことになった。
走り続け、遠藤がへばることも少なくなった。そして遠藤が完全に百合子達のペースについていけるようになった頃、2人の体重は元に戻った。
「頑張った甲斐がりましたね」
遠藤が百合子に言う。
「遠藤先生は運動神経も良くなって、すごいです」
百合子は遠藤に言う。
「ジョギングをこれからも続けマス?」
「もう走りたくありません」
2人は声をそろえてニコラエに言う。
「どうしたの?」
久美に聞かれ、学校であったことを話した。
「明日の朝から、遠藤先生の家に荷物を置いて、30分ぐらい走ることにしたんだ」
「へー、私も行っていい?」
「ああ、いいよ」
次の日、約束通り遠藤の家に行った。チャイムを鳴らすとジャージ姿の遠藤とニコラエが出てきた。
「おはようございます」
「おはようデス。私も走らしてもらいマス」
「そうなんですか。久美も一緒なんですよ」
遠藤達に居場所を示すために久美の背中に手を添える。
「そうなんですか。ちょっと待っててクダサイ」
ニコラエは前の運動会で使ったハンズフリーを二つ持ってきた。一つを遠藤に渡す。
「これで久美ちゃんとも会話しながら走れマス」
百合子は荷物を置いてジョギングを始めた。
初日である事もあり、ゆっくりのペースで走る。運動が苦手な遠藤でも雑談しながら走る事が出来た。
「久美ちゃんは趣味とかある?」
「最近は裁縫にはまってるんだ」
「へー、私も裁縫好きなんだ」
「もしかして、この前の幽霊騒動は久美ちゃん?」
「いや、それは・・・」
言葉に詰まって百合子の方を見る。百合子とニコラエは前の方で会話に夢中でこちらの会話を気にしていないようだった。それに安心して会話を続ける。
「そうだよ。楽しかった」
「だめだよー。あまり勝手に入っちゃ」
十分位経った。
「ねえねえ」
久美は百合子に話しかける。久美は後ろを指した。その方向を見ると百メートル以上後に遠藤がいた。
「遠藤ちゃん、ヘロヘロになってる」
三人で遠藤が来るのを待った。
「おつかれさまです」
ニコラエと遠藤は引き返すことにして、百合子と久美はまだ走る事にした。
「それじゃあ、頑張ってくだサイ」
「久美ちゃん・・・頑・・張って」
ニコラエは遠藤の体を支えて、遠藤は何とか声を絞り出して百合子達を見送った。
ジョギングを始めてから30分後、ニコラエと遠藤が家に着く。ニコラエは遠藤を玄関先に座らせたら直ぐに家を出ていった。少し経って、百合子を抱えて帰ってきた。すると、また出ていった。そして家庭科の先生を抱えてきた。
「すいません。本当に申し訳ありません」
息を切らしながら謝罪の言葉を繰り返している。
シャワーを浴びて学校に出勤した。しかし、遠藤達3人は顔から生気が抜けている。
「大丈夫デスカ?」
周りを見渡すと3人以外の女性教師の大半が疲れていた。
「今日の学校は大丈夫デスカ?」
一時限目は具合悪そうな授業だったが、三時限目にはほとんどの女性教師が本調子を取り戻した。しかし、若手教師は筋肉痛で苦しんでいた。
「あっ!痛い」
ベテラン女性教師に肩を借りて立ち上がる。
「だらしないわね。私より若いのにへばってんじゃないの」
「すいません」
次の日、遠藤と百合子は筋肉痛でベッドから立ち上がるのに苦労した。今日も走る約束をしていたが、無理なので今日のジョギングを休む連絡を入れることにした。
「もしもし、百合子です」
『おはようございマス』
「今日は筋肉痛がひどいのでジョギングは休みます」
『百合子先生もデスカ?』
「遠藤先生もですか?」
『ハイ』
学校にベテラン教師から休みの電話が来た。筋肉痛がひどくて立ち上がれないようだ。電話を受け取ったのは若手教師だ。
「昨日はすまなかったね、その日のうちに筋肉痛になるのは若い証だったね」
何人かの教師がダイエットに失敗した。家庭科の先生は健康的な食事でダイエットするそうだ。
話し合い、百合子達のジョギングは一日おきに行うことになった。
走り続け、遠藤がへばることも少なくなった。そして遠藤が完全に百合子達のペースについていけるようになった頃、2人の体重は元に戻った。
「頑張った甲斐がりましたね」
遠藤が百合子に言う。
「遠藤先生は運動神経も良くなって、すごいです」
百合子は遠藤に言う。
「ジョギングをこれからも続けマス?」
「もう走りたくありません」
2人は声をそろえてニコラエに言う。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
AV研は今日もハレンチ
楠富 つかさ
キャラ文芸
あなたが好きなAVはAudioVisual? それともAdultVideo?
AV研はオーディオヴィジュアル研究会の略称で、音楽や動画などメディア媒体の歴史を研究する集まり……というのは建前で、実はとんでもないものを研究していて――
薄暗い過去をちょっとショッキングなピンクで塗りつぶしていくネジの足りない群像劇、ここに開演!!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる