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26話・花子さんの営業4/4
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恵美奈と花子は家に帰ると今後について話し合った。いなくなって不自然に思われないようにするためだ。結果、徐々に姿を消していくことにした。
2週間もすると花子さんの元に来る生徒は減り始めた。元々、2回も来るような場所ではなかったから直ぐにブームが去るのは明白だった。さらに数日で花子さんのもとにはほとんどいなかった。
その日も誰も来なかった。そのことを恵美奈に伝えた。
「そうですか。では明日を最後にしましょう」
「明日は誰かが来たら全員出ていいかわさ?」
恵美奈は一言「いいですよ」と言った。
結局、次の日も放課後まで誰も来なかった。退屈そうにトイレで足を組んで座っていると「はーなこさん」と言って、ドアが3回ノックされた。花子さんは驚いて立ち上がる。聞いたことがある声だと思って姿が見えないようにして外を見る。そこには晴美がいた。晴美とは花子さんに惚れた少女だ。彼女は最初の数日は花子さんの元に通い詰めていたがある日を境に全く姿を見せなくなっていた。
「おー、晴美だわさ!」
「花子さん!あのね!私、よしお君が好きなの!」
「え!」
花子さんは一瞬驚いたが、直ぐに呆れ果てた。
「よしおに好きな人はいないんだわさ。ただよしおを好きな奴は沢山いるんだわさ」
「よしお君に好きな人はいないのね。やったー!」
晴美ははしゃいでトイレを出ていった。
「アイツが最後の客か」
花子さんはトイレの蓋にもたれた。
夜、隣り合って寝ていた。恵美奈は寝られず、豆球を眺めていた。寝返りを打つついでに花子さんを見る。花子さんと目があった。
「起きていましたか?」
「恵美奈もだわさ?」
「ええ、まあ」
また仰向けになる。恵美奈と花子さんぽつぽつと言葉を交わす。
「私は上手くできていたでしょうか?」
花子さんも仰向けに天上を見る。今までの様々な学校の事を思い出す。
「まだまだなのさ」
花子さんの辛口評価に恵美奈は安心した。花子さんは優しく微笑む。
「今まで、もっと広く流行らせた奴、もっと早く流行らせた奴はたくさんいるがアンタが1番、手数が少なかったのさ。まともに行動したのは最初の優香とたけしの時だけなのさ」
「そうですか。ちなみに花子さんの中の1番は誰ですか?」
「最初の1番目だわさ」
花子さんは即答した。恵美奈も納得し、この話題は終わった。
「花子さんはどうして学校のトイレで都市伝説になろうとしたのでしょうか?」
先程の即答は無く、少し黙った。
「うーん、老後の趣味みたいなものだわさ」
恵美奈は納得いかないという表情を浮かべる。だが、花子さんは気にせずに続けた。
「次は私からの質問だわさ」
二人の会話は日が変わるまで続いた。途中で寝てしまい、恵美奈が気付いた時には朝になっていた。花子さんはすでに起きていた。恵美奈は寝ぼけながら、話をしていた。
完全に目を覚ました時には別れ際になっていた。
「じゃあななのさ。恵美奈との学校生活、楽しかったのさ」
恵美奈は手を振って見送る。花子さんが見えなくなると果てしなく遠くへ行ってしまった気がした。
2週間もすると花子さんの元に来る生徒は減り始めた。元々、2回も来るような場所ではなかったから直ぐにブームが去るのは明白だった。さらに数日で花子さんのもとにはほとんどいなかった。
その日も誰も来なかった。そのことを恵美奈に伝えた。
「そうですか。では明日を最後にしましょう」
「明日は誰かが来たら全員出ていいかわさ?」
恵美奈は一言「いいですよ」と言った。
結局、次の日も放課後まで誰も来なかった。退屈そうにトイレで足を組んで座っていると「はーなこさん」と言って、ドアが3回ノックされた。花子さんは驚いて立ち上がる。聞いたことがある声だと思って姿が見えないようにして外を見る。そこには晴美がいた。晴美とは花子さんに惚れた少女だ。彼女は最初の数日は花子さんの元に通い詰めていたがある日を境に全く姿を見せなくなっていた。
「おー、晴美だわさ!」
「花子さん!あのね!私、よしお君が好きなの!」
「え!」
花子さんは一瞬驚いたが、直ぐに呆れ果てた。
「よしおに好きな人はいないんだわさ。ただよしおを好きな奴は沢山いるんだわさ」
「よしお君に好きな人はいないのね。やったー!」
晴美ははしゃいでトイレを出ていった。
「アイツが最後の客か」
花子さんはトイレの蓋にもたれた。
夜、隣り合って寝ていた。恵美奈は寝られず、豆球を眺めていた。寝返りを打つついでに花子さんを見る。花子さんと目があった。
「起きていましたか?」
「恵美奈もだわさ?」
「ええ、まあ」
また仰向けになる。恵美奈と花子さんぽつぽつと言葉を交わす。
「私は上手くできていたでしょうか?」
花子さんも仰向けに天上を見る。今までの様々な学校の事を思い出す。
「まだまだなのさ」
花子さんの辛口評価に恵美奈は安心した。花子さんは優しく微笑む。
「今まで、もっと広く流行らせた奴、もっと早く流行らせた奴はたくさんいるがアンタが1番、手数が少なかったのさ。まともに行動したのは最初の優香とたけしの時だけなのさ」
「そうですか。ちなみに花子さんの中の1番は誰ですか?」
「最初の1番目だわさ」
花子さんは即答した。恵美奈も納得し、この話題は終わった。
「花子さんはどうして学校のトイレで都市伝説になろうとしたのでしょうか?」
先程の即答は無く、少し黙った。
「うーん、老後の趣味みたいなものだわさ」
恵美奈は納得いかないという表情を浮かべる。だが、花子さんは気にせずに続けた。
「次は私からの質問だわさ」
二人の会話は日が変わるまで続いた。途中で寝てしまい、恵美奈が気付いた時には朝になっていた。花子さんはすでに起きていた。恵美奈は寝ぼけながら、話をしていた。
完全に目を覚ました時には別れ際になっていた。
「じゃあななのさ。恵美奈との学校生活、楽しかったのさ」
恵美奈は手を振って見送る。花子さんが見えなくなると果てしなく遠くへ行ってしまった気がした。
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