君の運命の相手は俺だけど俺じゃない

あい香

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1 未来のあなた

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「席につけー」

担任の先生が勢いよくドアを開けて、皆を席につかせた。

ナイスタイミング、先生。

話題が思いつきそうになかったわたしは心の中で先生に拍手を贈って自分の席に座った。

窓際の一番後ろ。

そして、

「よりによって隣なんだもんな……」

隣の席をチラリと見て、小さくため息をつく。

そこには浅井くんがひょうひょうと座っている。

隣に悩みの種。

わたしの脳内で浅井くんの頭から芽が出て、にょきにょき大きくなっていく。

うー、考えたくなくても考えてしまう。

考え事のときは空を見上げてしまうのがわたしのクセ。

「意味分かんない……」

スカッと晴れた空と対照的に、思わず眉間にシワがよる。

同じクラスになった浅井くんの第一印象は、何を考えているか分からない人。

目元まで伸びた前髪のせいで、わたしだけでなくクラスの誰も今までまともに浅井くんの顔を見たことがないと思う。

そして、声もまともに聞いたことがない。

今日のようにたまに発する声は低く、いつもぶっきらぼうに短い言葉。

入学して始めのうち、暗い見た目の浅井くんにわざとぶつかったり座っているイスを蹴ったりと、からかう男子もいた。

けれど、どんなにからかっても怪訝な様子も悲しい様子も見せず反応のない浅井くんから、みんなは次第に距離をおいた。

こんな人が未来で恋人になるなんて……

あり得ないな。

わたしは首をふってこれ以上考えないようにと努めた。

☆☆☆

放課後の公園は、わたしの落ち着く場所のひとつ。

悩みごとや一人で考えたいことがあるとき、バスを降りてから家までの途中この公園に立ち寄る。

いつものように来てみたら公園のすみに置いてあるベンチに男の人が腰かけていた。

わたしのいつも座るベンチだ。

それは公園のまわりに植えられた桜の木やベンチのそばのシロツメクサが作る優しい緑の空間に似合わない、真っ黒なパーカーの男の人。

「またあの人だ。もう、なんなの」

関わらない方がいい。

だけど腕を組んでベンチに深く腰かけている彼は、背もたれに頭をあずけ昨日深く被っていたフードを今日は被っていない。

寝ているのか、ぴくりとも動かない。

気づかれる前に立ち去ろうと思ったけど少しだけフードの下の顔を見てみたくなった。

そーっと近づき顔を覗き込んでみると、黒髪の短髪に爽やかな白い肌。

かすかに吹く風が、たまに前髪をゆらし高い鼻が横顔をきれいなシルエットにしている。

勝手にフードの下をボサボサの髪に無精髭といった想像をしていた。

なんだろう。

意外な見た目に驚いたからかな?

なぜだか、ずっと見ていたい気持ち……。
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