13 / 27
3 あなたのギター
2
しおりを挟む
学校を休んで3日がすぎると、ニキビは目立たないくらいまで治り、気持ちもやっと落ち着いた。
「お母さん、来週から学校行こうかな」
「分かった、月曜はお昼のお弁当作るわね」
夕飯の支度をしていたお母さんは、いったん手をとめてホッとした様子で頷いた。
お母さんは学校を休んでいる間、急かすことなくわたしが学校に行くと言い出すのを待ってくれる。
仕事が忙しいお父さんも、普段は映画のDVDを一緒に観たりはしないのに、おすすめの映画のDVDをレンタルして帰ってきてくれたりする。
中学のとき何があったかは両親に話したことはないけれど、いつも優しい両親のおかげで、わたしは何とかまた学校に行ける。
「いつもありがとう。何か手伝うよ」
「それじゃ、きゅうり切ってもらえる?」
「はーい」
ピーンポーン
わたしがきゅうりを切り始めたときインターホンが鳴った。
「お父さん? じゃないわよね、誰かしら」
お父さんが仕事から帰ってくるのにはまだ早い時間だし、インターホン鳴らすわけはないし。
お母さんは自分の言ったことにうふふと笑いながら、パタパタと玄関へと走っていった。
ドアを開ける音のあとにお母さんの高い声が、ところどころに聞こえてくる。
「あらぁ、わざわざ来てくれたの?……ええ、来週からは学校に……。
え? 少し待っていてね?
はるかーー?」
お母さんが、大声でわたしを呼びながらキッチンへと戻ってきた。
「クラスのお友達が心配して来てくれたわよ。どうしてもはるかの顔が見たいんですって」
「えぇ? やだ、いいよ。 大丈夫って帰ってもらって」
何回か学校を休んだことがあるけど、こうしてチカや美咲が訪ねてきたことは初めてだ。
きゅうりを切る包丁の手を止めずに首をふったが、お母さんが、
「どうしてもって言うんだもの。それに、男の子よ」
含み笑いを浮かべながらわたしの肩をつついた。
「え?」
男の子の友達なんていないんだけどと、わたしが言うより早くお母さんに包丁を置くように促されて、背中をおされるがまま玄関へと向かわされた。
「森咲さん! よかったぁ、元気そうで安心したよ」
うつむきがちに玄関へと向かったら、聞き覚えのある声。
ん? この声は......
はっとして顔をあげると、
「えぇ!?」
玄関には、唯の姿があった。
「お母さん、来週から学校行こうかな」
「分かった、月曜はお昼のお弁当作るわね」
夕飯の支度をしていたお母さんは、いったん手をとめてホッとした様子で頷いた。
お母さんは学校を休んでいる間、急かすことなくわたしが学校に行くと言い出すのを待ってくれる。
仕事が忙しいお父さんも、普段は映画のDVDを一緒に観たりはしないのに、おすすめの映画のDVDをレンタルして帰ってきてくれたりする。
中学のとき何があったかは両親に話したことはないけれど、いつも優しい両親のおかげで、わたしは何とかまた学校に行ける。
「いつもありがとう。何か手伝うよ」
「それじゃ、きゅうり切ってもらえる?」
「はーい」
ピーンポーン
わたしがきゅうりを切り始めたときインターホンが鳴った。
「お父さん? じゃないわよね、誰かしら」
お父さんが仕事から帰ってくるのにはまだ早い時間だし、インターホン鳴らすわけはないし。
お母さんは自分の言ったことにうふふと笑いながら、パタパタと玄関へと走っていった。
ドアを開ける音のあとにお母さんの高い声が、ところどころに聞こえてくる。
「あらぁ、わざわざ来てくれたの?……ええ、来週からは学校に……。
え? 少し待っていてね?
はるかーー?」
お母さんが、大声でわたしを呼びながらキッチンへと戻ってきた。
「クラスのお友達が心配して来てくれたわよ。どうしてもはるかの顔が見たいんですって」
「えぇ? やだ、いいよ。 大丈夫って帰ってもらって」
何回か学校を休んだことがあるけど、こうしてチカや美咲が訪ねてきたことは初めてだ。
きゅうりを切る包丁の手を止めずに首をふったが、お母さんが、
「どうしてもって言うんだもの。それに、男の子よ」
含み笑いを浮かべながらわたしの肩をつついた。
「え?」
男の子の友達なんていないんだけどと、わたしが言うより早くお母さんに包丁を置くように促されて、背中をおされるがまま玄関へと向かわされた。
「森咲さん! よかったぁ、元気そうで安心したよ」
うつむきがちに玄関へと向かったら、聞き覚えのある声。
ん? この声は......
はっとして顔をあげると、
「えぇ!?」
玄関には、唯の姿があった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない
紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。
完結済み。全19話。
毎日00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―
佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。
19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。
しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。
突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。
「焦らず、お前のペースで進もう」
そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。
けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。
学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。
外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。
「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」
余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。
理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。
「ゆっくり」なんて、ただの建前。
一度火がついた熱は、誰にも止められない。
兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。
白椿の咲く日~ひそかな恋、遠い日の思いは
紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに異母姉の稚子(わかこ)と会う。
真由子の母の雪江は、大学教授であり著名な歌人の水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。
婚約者の諒人(りょうと)のことなど、真由子は稚子と色々語り合ううち、庭の白椿の木は真由子がなついていた異母兄、靖之が植えたものだと知る。
白椿の木をめぐっての、ひそかな大人の恋物語です。
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
死にキャラに転生したけど、仲間たちに全力で守られて溺愛されています。
藤原遊
恋愛
「死ぬはずだった運命なんて、冒険者たちが全力で覆してくれる!」
街を守るために「死ぬ役目」を覚悟した私。
だけど、未来をやり直す彼らに溺愛されて、手放してくれません――!?
街を守り「死ぬ役目」に転生したスフィア。
彼女が覚悟を決めたその時――冒険者たちが全力で守り抜くと誓った!
未来を変えるため、スフィアを何度でも守る彼らの執着は止まらない!?
「君が笑っているだけでいい。それが、俺たちのすべてだ。」
運命に抗う冒険者たちが織り成す、異世界溺愛ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる