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5 デートのあなた
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ショッピングモールの最上階にある映画館。
いつも放課後に来るときには人がまばらだけれど、夏休みとなると混雑している。
クラスの誰かに会ったりしないかという心配は映画館に着いたとたん、何倍にも上がったテンションですっかりどこかに行ってしまった。
だって放課後に公園で唯と話すようになって以来、来ていなかったから久しぶりで。
「うわー! なに観るー?」
「ほんと、映画好きだね」
公開中の映画のポスターの前で目を輝かせるわたしのことを、唯が目を細めて見る。
「うん! どれがいいかなぁー」
「俺のおすすめこれ!」
唯が飾ってあるポスターをしきりに指差した。
「それわたしも気になってた! でもこっちも気になる……」
「大丈夫! 絶対はるかちゃんも気に入るよ」
「もしかして、これ観たことあるの?」
「いいからいいから! はい、これね」
唯が選んだ映画は、『手のひらの恋』という純愛ラブストーリーだった。
☆☆☆
「はぁ、あの映画すてきだったね」
映画を観終えて、お茶をすることにしたわたしたちはウィンドウショッピングをしながらカフェに移動している。
映画館を出てからも感動が覚めないわたしは何度もため息をもらした。
「実はさ、未来ではるかちゃんが言ってたんだ。一番好きな映画だって」
「そうだったんだぁ。映画館で観られてよかった。唯が連れてきてくれなかったら、たぶんレンタルで観て映画館で観たかったーって絶対後悔してたもん」
「喜んでくれてよかった。くくく」
唯は満足そうにうなずいたかと思うと、急に笑いだした。
「どうしたの?」
「なんか、純粋だなぁって。映画観ながらもさ、何度も感動のため息ついてたよね。くくく」
「うるさかったよね、ごめん。そんなに笑わないでよぉ」
確かについ映画の世界に入り込んで、わたしはおもわず
「すてき......」
とため息とともに何度もつぶやいてしまったのだ。
『この手に触れたあの日から、俺は君に恋してきたんだ』
『わたしもあなたのことがずっと忘れられなかったの……』
身分の違う二人が偶然手が触れあったことをきっかけにして恋に落ち、クライマックスで困難を乗り越え二人が手を取り、見つめあった姿があまりにも素敵で。
あのときは、わたしのため息が聞こえてたかなと慌てて唯の方へチラッと目をやると、
「そうだね」
と唯は小さな声で優しく言った。
かすかに微笑んだ唯に少し胸がときめいたなんて秘密だ。
「くくく、はるかちゃんといるとほんと飽きないなぁ」
なおもわたしをからかって笑っている唯に、
「笑いすぎだよ、もう」
わたしは頬を膨らませて、あの胸のときめきは映画で胸が高ぶっていたせいだなと思った。
☆☆☆
ガーデンパラソルの置かれたテラス席もあるパリ風のカフェ。
わたし好みのかわいい雰囲気のカフェだ。
「うーんんー、迷うー」
わたしはさっそくメニューとにらめっこしながら迷い始めた。
当店おすすめと書かれたモンブランが気になるけど、大好きなイチゴタルトも外せない。
いや、せっかく来たんだ。お店のおすすめを一番に食べなくちゃ!と、頭の中のイチゴタルトを追い出した。
「よし決めた。モンブランにする」
メニューをパシッと閉じて、一人うなずくと頬杖をついて黙ってわたしを待っていた唯が、
「やっぱモンブランかぁ。じゃ、俺はイチゴタルトにしよ」
クイッと口の端をあげて笑いながら店員さんを呼んだ。
「えぇ……」
またイチゴタルトが頭の中にヒョイッと顔を出した。
決心が揺らぎそうになる。
どうしようかな、どうしよ……と心の中で焦っているうちに
「モンブランとイチゴタルト。あと紅茶を2つお願いします」
結局唯が、さらっと注文を終えてしまった。
「紅茶でよかったよね? 確かコーヒー苦手だよね」
唯が当たり前のように言う。
イチゴタルトで頭がいっぱいで飲み物まで気が回っていなかった。
本当に唯はわたしのことを何でも知っていてすごいなと感心しながら、あぁイチゴタルト……と名残惜しみながらも頭から出ていってもらった。
「ぷぷっ。あぁイチゴタルト……って顔」
唯が吹き出して、わたしの顔を指さした。
「だってー……」
「半分ずつ食べようよ。どっちも食べたいんでしょ?」
唯は初めから分かってたみたいだ。
わたしがお店のおすすめは絶対食べたい派だってことも、イチゴタルト大好きなことも。
やれやれ相変わらず甘いものに目がないなぁーと笑う唯に、
「ありがと」
わたしはちょっと拗ねながらボソッと言った。
手のひらで踊らされているような気がしてちょっと悔しかったのもつかの間、
「おいしいーーー!」
結局、モンブランもイチゴタルトも食べられたわたしは悔しい気持ちなんて、すぐどこかにいってしまった。
「おいしそうに食べるね」
唯は優雅に紅茶をすすっていたけれど、ふとカップを置いて、わたしの方に顔を近づけた。
な、なにっ……。
体が固まって動けないわたしの口もとを唯が指でぬぐった。
「クリームつけてる」
指についたクリームをペロッとなめて、
「うん、おいしい」
と小さくつぶやく唯。
またゆっくり紅茶をすする伏し目がちな唯に、また少しドキドキしてしまいそう。
今日のわたしは少し変だ。
唯の言動にいちいち振り回されてしまう。
いつも放課後に来るときには人がまばらだけれど、夏休みとなると混雑している。
クラスの誰かに会ったりしないかという心配は映画館に着いたとたん、何倍にも上がったテンションですっかりどこかに行ってしまった。
だって放課後に公園で唯と話すようになって以来、来ていなかったから久しぶりで。
「うわー! なに観るー?」
「ほんと、映画好きだね」
公開中の映画のポスターの前で目を輝かせるわたしのことを、唯が目を細めて見る。
「うん! どれがいいかなぁー」
「俺のおすすめこれ!」
唯が飾ってあるポスターをしきりに指差した。
「それわたしも気になってた! でもこっちも気になる……」
「大丈夫! 絶対はるかちゃんも気に入るよ」
「もしかして、これ観たことあるの?」
「いいからいいから! はい、これね」
唯が選んだ映画は、『手のひらの恋』という純愛ラブストーリーだった。
☆☆☆
「はぁ、あの映画すてきだったね」
映画を観終えて、お茶をすることにしたわたしたちはウィンドウショッピングをしながらカフェに移動している。
映画館を出てからも感動が覚めないわたしは何度もため息をもらした。
「実はさ、未来ではるかちゃんが言ってたんだ。一番好きな映画だって」
「そうだったんだぁ。映画館で観られてよかった。唯が連れてきてくれなかったら、たぶんレンタルで観て映画館で観たかったーって絶対後悔してたもん」
「喜んでくれてよかった。くくく」
唯は満足そうにうなずいたかと思うと、急に笑いだした。
「どうしたの?」
「なんか、純粋だなぁって。映画観ながらもさ、何度も感動のため息ついてたよね。くくく」
「うるさかったよね、ごめん。そんなに笑わないでよぉ」
確かについ映画の世界に入り込んで、わたしはおもわず
「すてき......」
とため息とともに何度もつぶやいてしまったのだ。
『この手に触れたあの日から、俺は君に恋してきたんだ』
『わたしもあなたのことがずっと忘れられなかったの……』
身分の違う二人が偶然手が触れあったことをきっかけにして恋に落ち、クライマックスで困難を乗り越え二人が手を取り、見つめあった姿があまりにも素敵で。
あのときは、わたしのため息が聞こえてたかなと慌てて唯の方へチラッと目をやると、
「そうだね」
と唯は小さな声で優しく言った。
かすかに微笑んだ唯に少し胸がときめいたなんて秘密だ。
「くくく、はるかちゃんといるとほんと飽きないなぁ」
なおもわたしをからかって笑っている唯に、
「笑いすぎだよ、もう」
わたしは頬を膨らませて、あの胸のときめきは映画で胸が高ぶっていたせいだなと思った。
☆☆☆
ガーデンパラソルの置かれたテラス席もあるパリ風のカフェ。
わたし好みのかわいい雰囲気のカフェだ。
「うーんんー、迷うー」
わたしはさっそくメニューとにらめっこしながら迷い始めた。
当店おすすめと書かれたモンブランが気になるけど、大好きなイチゴタルトも外せない。
いや、せっかく来たんだ。お店のおすすめを一番に食べなくちゃ!と、頭の中のイチゴタルトを追い出した。
「よし決めた。モンブランにする」
メニューをパシッと閉じて、一人うなずくと頬杖をついて黙ってわたしを待っていた唯が、
「やっぱモンブランかぁ。じゃ、俺はイチゴタルトにしよ」
クイッと口の端をあげて笑いながら店員さんを呼んだ。
「えぇ……」
またイチゴタルトが頭の中にヒョイッと顔を出した。
決心が揺らぎそうになる。
どうしようかな、どうしよ……と心の中で焦っているうちに
「モンブランとイチゴタルト。あと紅茶を2つお願いします」
結局唯が、さらっと注文を終えてしまった。
「紅茶でよかったよね? 確かコーヒー苦手だよね」
唯が当たり前のように言う。
イチゴタルトで頭がいっぱいで飲み物まで気が回っていなかった。
本当に唯はわたしのことを何でも知っていてすごいなと感心しながら、あぁイチゴタルト……と名残惜しみながらも頭から出ていってもらった。
「ぷぷっ。あぁイチゴタルト……って顔」
唯が吹き出して、わたしの顔を指さした。
「だってー……」
「半分ずつ食べようよ。どっちも食べたいんでしょ?」
唯は初めから分かってたみたいだ。
わたしがお店のおすすめは絶対食べたい派だってことも、イチゴタルト大好きなことも。
やれやれ相変わらず甘いものに目がないなぁーと笑う唯に、
「ありがと」
わたしはちょっと拗ねながらボソッと言った。
手のひらで踊らされているような気がしてちょっと悔しかったのもつかの間、
「おいしいーーー!」
結局、モンブランもイチゴタルトも食べられたわたしは悔しい気持ちなんて、すぐどこかにいってしまった。
「おいしそうに食べるね」
唯は優雅に紅茶をすすっていたけれど、ふとカップを置いて、わたしの方に顔を近づけた。
な、なにっ……。
体が固まって動けないわたしの口もとを唯が指でぬぐった。
「クリームつけてる」
指についたクリームをペロッとなめて、
「うん、おいしい」
と小さくつぶやく唯。
またゆっくり紅茶をすする伏し目がちな唯に、また少しドキドキしてしまいそう。
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唯の言動にいちいち振り回されてしまう。
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