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5 デートのあなた
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着ていく服に迷いすぎて、三十分では準備しきれずにお母さんが約束してから一時間は経ってしまっているのではと思う。
迷った末に選んだ服は、前に偶然通りかかったお店でかわいくて一目惚れした白いワンピース。
買ったものの、めったに遊びに行かないわたしには出番がなかった。
気合い入りすぎって思われるんじゃないかと落ち着かないまま公園に着いたら唯の姿はなくて拍子抜けしてしまった。
何人か小さな子どもが駆け回り、にぎやかな公園。
まだ日の高い真っ昼間。
ジリジリと太陽が照りつけて、何もしていなくても暑さが体力を奪う。
待ちくたびれて帰ってしまったのかもしれない。
はぁ、とため息をついて木陰のベンチに座ると、暑さがいくらかましだ。
すっきりと晴れた青空にプカァと気持ちよさげな白い雲。
耳には子供たちの遊ぶ声や、セミの声。
周りはすべて元気に満ちている。
わたしの気分とは正反対だ。
「はぁ……」
「かわいいね、そのワンピース」
「ひゃっ」
もう一度ため息をついたとき、後ろから声をかけられたと思ったらいきなり頬に冷たい缶ジュースが押し当てられた。
「すごい似合ってる」
驚いて振り返ると、唯がいたずらっ子のように笑って、わたしのとなりにどっかり腰かけた。
はい、と差し出された缶ジュースを、小声でありがとと受け取ってわたしはどんな顔をすればいいか迷って缶ジュースをひたすら見つめる。
「夏休み満喫してる?」
「う、ん。まぁまぁ」
「あちゃー、そんなに楽しくないかぁ」
唯はいつもどおり、お気楽に笑っていたけれど、
「俺のこと避けてた?」
うつむくわたしの顔を急に覗きこんできた。
「う......ごめん……」
涙が出そうになる。
自分でも驚くほど、わたしは落ち込んでしまっているみたい。
だんだんと瞳にたまる涙がこぼれ落ちないように、懸命にまばたきをした。
「俺、はるかちゃんに何かした? 傷つけちゃった?」
わたしの様子をうかがうように、唯がぽつりぽつり言葉を発する。
「……違う、わたしが勝手に傷ついただけ。学校で浅井くんと美咲が一緒にいたから」
きっとわたしの知らない唯がいるんだと感じる。
美咲のことを聞いたら遠くに行ってしまう気がして怖かった。
他愛ない話をして知らないふりをしていれば、きっといつもどおりだと思うのに、やっぱり聞かずにはいられなかった。
「現代の俺の方か……なんで学校で現代の俺と美咲が?」
唯は目を閉じて大きくため息をついてから、眉間にシワを寄せて、わしゃわしゃ頭をかいた。
少し苛立っているように見える。
唯もこんな表情するんだ。
「黙っててごめん。確かに美咲は小学校からの幼なじみで少しいろいろあった。でも、はるかちゃんが心配することは何もないから現代の俺を信じててほしい」
「……でも……」
深く頭を下げる唯の言葉を素直に受け入れられない。
確かに、美咲が一方的に話しているだけで浅井くんの声が聞こえてきたわけではなかった。
でも唯の様子を見ていると、唯の経験してきた過去と今が違ってきているんじゃないかと思う。
浅井くんの運命の相手って本当にわたしなのだろうか。
信じたいけど……もう傷つきたくはない。
「はるかちゃん、今からデートしない?」
「え?」
すっかりいつもの笑顔に戻った唯が立ち上がって、手を差しのべている。
「不安なんて忘れちゃうくらい、今から俺がはるかちゃんを楽しませてあげたい」
おずおずと伸ばしたわたしの手を、まるで映画の中の王子様みたいに唯が強く引き寄せた。
迷った末に選んだ服は、前に偶然通りかかったお店でかわいくて一目惚れした白いワンピース。
買ったものの、めったに遊びに行かないわたしには出番がなかった。
気合い入りすぎって思われるんじゃないかと落ち着かないまま公園に着いたら唯の姿はなくて拍子抜けしてしまった。
何人か小さな子どもが駆け回り、にぎやかな公園。
まだ日の高い真っ昼間。
ジリジリと太陽が照りつけて、何もしていなくても暑さが体力を奪う。
待ちくたびれて帰ってしまったのかもしれない。
はぁ、とため息をついて木陰のベンチに座ると、暑さがいくらかましだ。
すっきりと晴れた青空にプカァと気持ちよさげな白い雲。
耳には子供たちの遊ぶ声や、セミの声。
周りはすべて元気に満ちている。
わたしの気分とは正反対だ。
「はぁ……」
「かわいいね、そのワンピース」
「ひゃっ」
もう一度ため息をついたとき、後ろから声をかけられたと思ったらいきなり頬に冷たい缶ジュースが押し当てられた。
「すごい似合ってる」
驚いて振り返ると、唯がいたずらっ子のように笑って、わたしのとなりにどっかり腰かけた。
はい、と差し出された缶ジュースを、小声でありがとと受け取ってわたしはどんな顔をすればいいか迷って缶ジュースをひたすら見つめる。
「夏休み満喫してる?」
「う、ん。まぁまぁ」
「あちゃー、そんなに楽しくないかぁ」
唯はいつもどおり、お気楽に笑っていたけれど、
「俺のこと避けてた?」
うつむくわたしの顔を急に覗きこんできた。
「う......ごめん……」
涙が出そうになる。
自分でも驚くほど、わたしは落ち込んでしまっているみたい。
だんだんと瞳にたまる涙がこぼれ落ちないように、懸命にまばたきをした。
「俺、はるかちゃんに何かした? 傷つけちゃった?」
わたしの様子をうかがうように、唯がぽつりぽつり言葉を発する。
「……違う、わたしが勝手に傷ついただけ。学校で浅井くんと美咲が一緒にいたから」
きっとわたしの知らない唯がいるんだと感じる。
美咲のことを聞いたら遠くに行ってしまう気がして怖かった。
他愛ない話をして知らないふりをしていれば、きっといつもどおりだと思うのに、やっぱり聞かずにはいられなかった。
「現代の俺の方か……なんで学校で現代の俺と美咲が?」
唯は目を閉じて大きくため息をついてから、眉間にシワを寄せて、わしゃわしゃ頭をかいた。
少し苛立っているように見える。
唯もこんな表情するんだ。
「黙っててごめん。確かに美咲は小学校からの幼なじみで少しいろいろあった。でも、はるかちゃんが心配することは何もないから現代の俺を信じててほしい」
「……でも……」
深く頭を下げる唯の言葉を素直に受け入れられない。
確かに、美咲が一方的に話しているだけで浅井くんの声が聞こえてきたわけではなかった。
でも唯の様子を見ていると、唯の経験してきた過去と今が違ってきているんじゃないかと思う。
浅井くんの運命の相手って本当にわたしなのだろうか。
信じたいけど……もう傷つきたくはない。
「はるかちゃん、今からデートしない?」
「え?」
すっかりいつもの笑顔に戻った唯が立ち上がって、手を差しのべている。
「不安なんて忘れちゃうくらい、今から俺がはるかちゃんを楽しませてあげたい」
おずおずと伸ばしたわたしの手を、まるで映画の中の王子様みたいに唯が強く引き寄せた。
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