ミュゼ・シルフィーの結婚の行方

みけの

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彼にとっては理不尽な結婚

プロローグ

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 子爵家の血筋を持つ女。

 そんな肩書だけを持つ、ミュゼ・シルフィーとルース・リュドミラ公爵令息が結婚するというニュースに、社交界は湧いた。

 無理もない、ルース公爵令息はミュゼよりも5歳も年下で、美麗な容姿であらゆる令嬢の憧れの的だったのだから。
 
 ミュゼは子爵という格下な身の上で、更に彼より5歳年上。
何某かの理由からの政略結婚としても、それはない案件だ。


 しかし人々の感想は、ミュゼに対してやっかみよりもお気の毒にという意見が多かった。
彼には何よりも大切な存在がいる事が、公然と知られていたからである。

 その訳は所謂『君を愛することはない』系ではなく、身近に最も大事にする存在がいるからである。

 その日も、

「ミュゼ、すまない。ルミカが熱を出してしまったから、今夜は彼女についてあげなくてはいけないんだ」
「そうですか、それは心配ですね。どうぞお構いなく」

 ルミカとは、ルースの幼馴染の元男爵令嬢。

 幼い頃に男爵であった両親を事故で亡くし、以来公爵家で世話になっている。
 儚さの漂う所謂守ってあげたい系美少女で、彼ら2人が並ぶと殊の外絵になると評判だ。使用人達も彼らを“お似合いのお二人”と褒め上げ、当人達も満更ではない様子だ。

 今も仲睦まじく隣同士で座り、向かい側でポツンと座っているミュゼにルースは伝える。

「ルミカは大切な幼馴染だから君も仲良くしてくれ」
「ふふっ、私のルースをよろしくね? ミュゼさん」

 その場にいる者の好奇の視線がミュゼに集中する。

この2人を引き裂いた年増女はどう反応するだろう? 怒って不満を口にするか、なんなら泣き出すか……?
 が、そんな視線を向けられた当人は、どちらもする事はなく普通に答えた。


「ルミカさんが望むなら良いですよ」
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