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幼馴染達は知る
怒りを覚えた相手~ルース・リュドミラ視点~
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“薔薇の貴公子”な旦那視点。
血圧上昇注意なのでいっぺんにアップします<(_ _)>。
~~~~
「お帰りなさいませ、旦那様」
結婚を機に父からもらい受けた王都のセカンドハウス。
そこで働く使用人達が帰って来た僕に一斉に会釈した。
それだけなら当たり前の光景だけど……
「執事、ルミカはなぜいないの? また熱を出したの? それとも意味不明の発作?」
いつもなら真っ先に迎えてくれるルミカがいなかったから心配になった。
彼女は昔から体が弱い。ちょっとした事で発熱したり倒れたりしていた。
だから僕が守ってあげねばならないのだ。彼女の味方は僕だけだから。
そんな意気込んで聞いた僕に返って来たのは意外過ぎる答えだった。
「……ルミカ様は今、来客の対応をされているので」
「ルミカに来客?」
子供の頃に両親と死別したルミカ。
心配してくれる親戚もいないのか、この屋敷に住むようになってからずっと、彼女を訪ねて来る者はいない。葬式にはそれなりに弔問客はいてたが、それは商売関係の他人ばかりだった。
今頃になってどうして? と首を傾げていたら、何故か執事がおずおずと答えた。
「その……ミュゼさんのお客様です」
ミュゼ? ミュゼって……?
と、思い出せなくて記憶を手繰り寄せる。……そうだ、父からの命令で仕方なく娶ってやった行き遅れの子爵令嬢。あいつがそんな名前だったな。
と思い出すと一緒に腹が立つ記憶も蘇ってしまった。
「王命での結婚だから、お前も心して受け入れよ」
父上達にそう言われ、僕は交流した事もない5歳上の女と婚約させられた。
「ルース・リュドミラ令息にお目にかかれ光栄に存じます。ミュゼ・シルフィー女子爵と申します」
顔合わせの際、僕の前に優雅にカーテシーをして見せた年上の女に、僕は不満を隠す気もなく、まともに顔を見もしないで
「……はあ」
と返す。
そんな僕に両親がギョッとして、
「す、すまないな……シルフィー卿、息子は少々体調が悪いようだ…」
「ごめんなさいね、ミュゼさん。ちょっと遅めの反抗期なの……」
とやたら彼女の機嫌を取ろうとするのも気に食わない。
―――父上達の方が格上なんだから、もっと毅然としてくださいよ!
政略結婚は貴族としての義務もとい勤めだ。そこに個人の感情はない。
それが当たり前の事だと、物心ついてからずっと教えられてきた。加えて周りにいる友人達も政略の為の婚約をし、苦労をしていると愚痴っていた。その言葉に僕は確信する。
―――そうか……政略結婚とは、僕ら個人の意思を無視し、理不尽に与えられるものなんだ、と。
しかし僕は侯爵子息。選ぶ側にいるんだからと、友人たちの愚痴に大変だね、と寄り添った。
そんな僕の婚約者であるというミュゼが、なぜか問題アリの子爵家の行き遅れ。
これは一体どうした事だ? 僕は選ぶ側なのに。
更にミュゼは憤っている僕ではなく、僕の両親に微笑しながら返した。
「気にしておりませんわ、慣れてますので」
慣れてる、だって!?
頭に血が上った。行き遅れた原因は、男遊びの激しさか?
その日は、何故そのような訳アリを僕が回収しなくてはいけないのかと不満いっぱいで、ずっと無言を貫いていた。
そんな僕は、帰宅後両親に寄ってたかって説教された。
―――王命の婚約に対し、何て態度だ
―――貴方はこのリュドミラ侯爵家の跡継ぎなのよ! リュドミラが持つ全てを守る必要があるの!
―――これは王命なのだぞ!
散々頭ごなしに言いまくられた。
反論も許されない状況に切れかけた僕に、父上がトドメとばかりに言う。
「お前はミュゼ殿を大事にしろ。ずっと彼女だけを大事にすると主張し実行しろ。周りにもそう熟知させるように振舞え」
そんな父上の言葉に、ますます腹が立った。
―――僕にあの行き遅れを大事にしろって?
「……なぜそのような事をする理由があるのですか?」
どうにか絞り出した問い。
そこまであの女を尊重するなら、まず理由を聞かせてくれ。
だが父上は答えてくれない。僕に同じ事しか言わない。
「り、理由? 必要があるか普通だろう? ミュゼ殿はお前に嫁いでくれるのだ。妻になる彼女を大事にするのは、夫として当然だろう、それだけの事だ」
そんな勝手な言い様だけで、僕の疑問は無と化した。だから僕は悶々と不満を抱きつつも、この婚約関係を続けるしかなかった。
そんな不満は自然と、この押し付けられた婚約者であるミュゼ・シルフィーに向けてぶつけた。
世間は僕を“薔薇の貴公子”と称している。
そんな僕を伴侶に出来るミュゼに、僕が気遣う必要はない。それが世の中の総意で同意だ。
父上は間違っている。ミュゼは僕にとっては価値の無い存在なんだ。
血圧上昇注意なのでいっぺんにアップします<(_ _)>。
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「お帰りなさいませ、旦那様」
結婚を機に父からもらい受けた王都のセカンドハウス。
そこで働く使用人達が帰って来た僕に一斉に会釈した。
それだけなら当たり前の光景だけど……
「執事、ルミカはなぜいないの? また熱を出したの? それとも意味不明の発作?」
いつもなら真っ先に迎えてくれるルミカがいなかったから心配になった。
彼女は昔から体が弱い。ちょっとした事で発熱したり倒れたりしていた。
だから僕が守ってあげねばならないのだ。彼女の味方は僕だけだから。
そんな意気込んで聞いた僕に返って来たのは意外過ぎる答えだった。
「……ルミカ様は今、来客の対応をされているので」
「ルミカに来客?」
子供の頃に両親と死別したルミカ。
心配してくれる親戚もいないのか、この屋敷に住むようになってからずっと、彼女を訪ねて来る者はいない。葬式にはそれなりに弔問客はいてたが、それは商売関係の他人ばかりだった。
今頃になってどうして? と首を傾げていたら、何故か執事がおずおずと答えた。
「その……ミュゼさんのお客様です」
ミュゼ? ミュゼって……?
と、思い出せなくて記憶を手繰り寄せる。……そうだ、父からの命令で仕方なく娶ってやった行き遅れの子爵令嬢。あいつがそんな名前だったな。
と思い出すと一緒に腹が立つ記憶も蘇ってしまった。
「王命での結婚だから、お前も心して受け入れよ」
父上達にそう言われ、僕は交流した事もない5歳上の女と婚約させられた。
「ルース・リュドミラ令息にお目にかかれ光栄に存じます。ミュゼ・シルフィー女子爵と申します」
顔合わせの際、僕の前に優雅にカーテシーをして見せた年上の女に、僕は不満を隠す気もなく、まともに顔を見もしないで
「……はあ」
と返す。
そんな僕に両親がギョッとして、
「す、すまないな……シルフィー卿、息子は少々体調が悪いようだ…」
「ごめんなさいね、ミュゼさん。ちょっと遅めの反抗期なの……」
とやたら彼女の機嫌を取ろうとするのも気に食わない。
―――父上達の方が格上なんだから、もっと毅然としてくださいよ!
政略結婚は貴族としての義務もとい勤めだ。そこに個人の感情はない。
それが当たり前の事だと、物心ついてからずっと教えられてきた。加えて周りにいる友人達も政略の為の婚約をし、苦労をしていると愚痴っていた。その言葉に僕は確信する。
―――そうか……政略結婚とは、僕ら個人の意思を無視し、理不尽に与えられるものなんだ、と。
しかし僕は侯爵子息。選ぶ側にいるんだからと、友人たちの愚痴に大変だね、と寄り添った。
そんな僕の婚約者であるというミュゼが、なぜか問題アリの子爵家の行き遅れ。
これは一体どうした事だ? 僕は選ぶ側なのに。
更にミュゼは憤っている僕ではなく、僕の両親に微笑しながら返した。
「気にしておりませんわ、慣れてますので」
慣れてる、だって!?
頭に血が上った。行き遅れた原因は、男遊びの激しさか?
その日は、何故そのような訳アリを僕が回収しなくてはいけないのかと不満いっぱいで、ずっと無言を貫いていた。
そんな僕は、帰宅後両親に寄ってたかって説教された。
―――王命の婚約に対し、何て態度だ
―――貴方はこのリュドミラ侯爵家の跡継ぎなのよ! リュドミラが持つ全てを守る必要があるの!
―――これは王命なのだぞ!
散々頭ごなしに言いまくられた。
反論も許されない状況に切れかけた僕に、父上がトドメとばかりに言う。
「お前はミュゼ殿を大事にしろ。ずっと彼女だけを大事にすると主張し実行しろ。周りにもそう熟知させるように振舞え」
そんな父上の言葉に、ますます腹が立った。
―――僕にあの行き遅れを大事にしろって?
「……なぜそのような事をする理由があるのですか?」
どうにか絞り出した問い。
そこまであの女を尊重するなら、まず理由を聞かせてくれ。
だが父上は答えてくれない。僕に同じ事しか言わない。
「り、理由? 必要があるか普通だろう? ミュゼ殿はお前に嫁いでくれるのだ。妻になる彼女を大事にするのは、夫として当然だろう、それだけの事だ」
そんな勝手な言い様だけで、僕の疑問は無と化した。だから僕は悶々と不満を抱きつつも、この婚約関係を続けるしかなかった。
そんな不満は自然と、この押し付けられた婚約者であるミュゼ・シルフィーに向けてぶつけた。
世間は僕を“薔薇の貴公子”と称している。
そんな僕を伴侶に出来るミュゼに、僕が気遣う必要はない。それが世の中の総意で同意だ。
父上は間違っている。ミュゼは僕にとっては価値の無い存在なんだ。
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