ミュゼ・シルフィーの結婚の行方

みけの

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幼馴染達は知る

侯爵家親子

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 ルースが望んだ両親との話し合いは、案外早く叶った。

 工事現場から王都に来ているという連絡を受け、至急会って話をしたいとルースが連絡すると『ならば今泊っているホテルで』と連絡が返って来た。 

 約束の時刻に馬車で到着したルースは、両親が泊っているというホテルの外観を見る。

 豪華さの欠片もない古びた佇まいだ。先日ルースがルミカと食事をしたホテルの方が数倍、いやそれ以上に貴族に相応しい。

―――両親がミュゼから資金援助を受けている

 サイモンから聞いた話が事実である事の裏打ちに思える。

 ミュゼが出かけに執事に渡したカードも、1日に仕える回数が限られていて、しかも上限価格が決まっているものだった。おかげでルミカにドレス1枚買ってやれない。

 あの話を聞くまでは、ミュゼが自分達に嫌がらせをしているのだと思い込んでいた。が、ルースもさすがに人の資産で自分達の私物を買う気にはなれなかった。

 とにかく両親に会って話を聞きたかったルースは、ホテルに歩を進めたのだった。

 「ルース! 久しぶりだな」

「久しぶりね、ルース」

 ホテルのロビーで落ち合った両親は、久しぶりに会う息子に喜びの表情を見せる。

 が、どこか落ち着かないようにも見えた。

「ルース、ミュゼさんとはうまくやれてる?」

「やれてるに決まってるだろう! ルースは社交界じゃ“薔薇の貴公子”だぞ! 行き遅れた年増1人落とす位造作もない! 何せ私の息子だからな!」

「でも初対面があんな感じでしたのよ?」

「ああいうのに弱い女もいるんだ! ツンデレと言ってな―――」

―――何を言っているんだ、この父親は。

 愕然としてルースは高笑いする父を見る。

 ミュゼが必要としていたのは既婚歴だと、あの男――サイモン――は言っていた。

 つまり相手は誰でも良かったのだ。自分でなければならない理由など、丸っきりない。

 そんな事を知らず、不満な気持ちをミュゼにぶつけてばかりいた。時にはルミカを理由にしてまで。
しかし……あの魔道具で見たミュゼは、完全に自立した大人だった。

自分と対極にいる大人の女。

 あんな強い女性を僕が簡単に落とせる? どこを見ればそうなるんだと言いたい。

“薔薇の貴公子”なんて、社交の場で勝手につけられたあだ名でしかない。

本当の僕は………!
 
 「どうしたのルース?」

 母上の声で我に返る。

そうだ、今は聞かなくてはいけないんだ。
僕は自分の頬を両手で叩いた。シャンとしろ、お前はこれから現実と向き合うんだ。―――と。
得意げに笑い続ける父上に、僕はまじめな顔と声で問いかけた。

 「父上。何故ミュゼに資金援助を受けなくてはいけないのですか?」
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