ミュゼ・シルフィーの結婚の行方

みけの

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最終章 まさかの展開

リュドミラ侯爵邸の2つの名物

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 最近リュドミラ侯爵邸では、2つの名物が生まれていた。

一つは、

「サイモン様、今日こそ私とお茶を――きゃ! 転んじゃった、いたーい!!」

「おや気の毒に……。では小侯爵様に報告しなくては」

「! その前に起こして下さいサイモン様! そのお手を差し伸べて頂ければ、それだけで」

「ふうん『それだけで回復する』とか?

いやぁ驚いた。俺はいつから回復魔法を身につけていたのか……?

至急調べる必要があります。という事でそこにいる君、元男爵令嬢殿をよろしく」

「え? ―――ま、待って下さい、サイモン様―!!」

 といった感じで懸命にアピールしてくるルミカに対し、塩よりも塩な対応をするサイモン。

 そして後一つは

「ミ、ミュゼ……少しでも時間を持てないだろうか? 今日は気分が良いから、貴女と話しても良いと思う」

 あくまで上から口調の本人的には口説き文句を舌に乗せ、近付こうとするルース。

社交界で噂の“薔薇の貴公子”からの申し出だ。普通の令嬢ならその幸運に、昇天する位の幸せを感じただろう。

が、サイモンと同じくミュゼの対応も塩だ。

「お気持ちはありがたいのですが、私も王家から急かされている案件が多々ありますの」

 その言葉を示すように、今ミュゼの部屋には山積みの書類と、魔道具による現場風景のスクリーンが宙に浮いた状態でいくつも取り囲んでいる。

 そしてそれらを高速で確認し、時には即座に、あるいは資料に目を通しつつ、指示を告げている。

―――本当に彼女は、王家からの仕事の責任者なのか……!

 格下だと思っていた相手が、王家に特別扱いされる程の存在だとありありと見せつけられた気分になり、ルースの劣等感が刺激される。

 ……思えば最初から、ミュゼはルースに興味がないようだった。

 婚約相手である自分の前でも常にぼんやりか、ぐーたらしている。

 そしていつか、それを隠す様子もないミュゼに不満が募っていた。侯爵令息で“薔薇の貴公子”の自分が夫となる幸運を得たのに、丸っきり関心のない振る舞いが憎らしかった。

 が、今なら少しは分かる。……彼女は自分とは別の次元にいるからだと。

 5歳上なのに誰にも相手にされない売れ残りだと、下に見る者などミュゼにとっては外野で雑音だ。―――自分も含めて。

 ひたすら自分の道を走る大人のミュゼ。それに比べて自分は……

歯を食いしばり、それを見られないように俯く。


―――こんな劣等感など、知りたくなかった。

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