ミュゼ・シルフィーの結婚の行方

みけの

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最終章 まさかの展開

閑話:ルミカと新人の門番

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 リュドミラ侯爵邸の廊下を、鼻歌交じりに歩いている美少女。ゴテゴテしたフリルとリボンの目立つドレスの裾をゆらゆらさせ、浮き立つさまは空でも飛びそうだ。

 言うまでもなくルミカである。

「ふっふーん♪ 今日はサイモン様が来られる日ね」

 今日サイモンが来る事を、ルミカは門番から聞いて知ったのだ。

 というか最近、ルミカの願いを聞いてくれる使用人が減った気がする。

お菓子が食べたいと言っても

『先程お食事されてましたでしょう?』とか『すぐお夕食ですのでしばし我慢して下さいね』という返事が返るだけ。

 さっきも

『門番の人に今日来るお客様が誰か聞いて来て』

と言ったのに、

『お言葉ですが、手が足りなくて……』

と語尾を濁し、去って行く使用人の背中に“チッ”と舌打ちした後、自分で門番に聞く事にした。

 『ごきげんよう門番さん』

『おや、どなたかと思えばザッコ元男爵令嬢様』

 門番の返答に、ルミカのにこやかに浮かべていた笑顔が凍り付いた。

 だがその門番は、特にルミカに恨みがある訳ではない。

最近配属された新人だった故に、ルミカに対して古参の使用人達程の熱量がなかったのだ。故に誰かがこう呼んでいたな――と思った呼び方をしてしまったのである。

 が、ルミカとしては自分が認識されていないショックで、ワナワナと震えている。しかも呼び方!

『私はルミカよ!』

『うわ(随分癇癪の強そうな子だな、気を付けよう)……っ、失礼しました』

 ルミカに睨まれながら門番は、それでも仕事だからと意識を戻す。

『どのようなご用件ですか?』

当たり前の職質だ。

 ルミカも、相手が新人だと気付いていれば、仕方がないと思ったかも知れない。

が、この屋敷で長い年月ちやほやされていたルミカからすれば途轍もない塩対応に感じた。

―――私が話しかけてるんだから、もうちょっと喜びなさいよ―――

 が、知りたい事の為に怒りを抑える程度の知恵はルミカにもあるようで愛想笑いを浮かべる。

『えーっと……今日このお屋敷に来る方を知りたいの』

 ルミカの言葉に何だ、そんな事かと門番は手持ちの書類をめくった。

門番は交代制で、だから前の記録を探る必要があった。そして前の門番の記録に目を走らせる。そして

『本日こちらに来られるのは―――』

という前置きに続き、羅列した途中の名前にルミカが嬌声をあげた。

「サイモン様! サイモン様が来るーーー!!」


 一方門番は、いきなりやって来たと思ったら怒りだし、次には笑顔になったと思えば突然素っ頓狂な声で叫ぶルミカに、

―――この子、情緒大丈夫かぁ?

 と青ざめていた。

~※~※~※~

今日は2話行けそうです。

次の更新は昼の2時になります。
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