ミュゼ・シルフィーの結婚の行方

みけの

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最終章 まさかの展開

広まる推し変現象~ルース・リュドミラ視点~

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 ミュゼが『屋敷で仕事をしたい』と父上に要求した事で、屋敷に出入りする者が増えた。

 その事を告げた当初は、『得体の知れない者を屋敷に入れるなど』と抵抗があったがミュゼが事前に相手の絵姿(発展国で開発された魔道具で移されたもの)と、経歴の資料を事前に渡す事、そして実際の彼らを見た者達の実体験により、抵抗も徐々に少なくなった。

 それどころか
 
「さっき、リザードマンの人に重いもの持ってもらったわ!」

「え!? リザードマンって竜種でしょ? 私達をゴミ以下に見ている凶暴な……大丈夫だった?」

「ええ。大丈夫どころか、『こんな重いの、毎日運んでいるのか? 人種は弱いのに大変だな』って気遣ってくれたもの」

「リザードマンにも優しい人っているのね……」



 「何か除草するの早くないか? 去年はもっとかかっていたのに」

 「ドワーフの兄ちゃんが直してくれたんだ」

 そんな会話が、あちこちで聞こえてくる。

 ミュゼの関係者には異種族も多い。

が、僕は彼らを同じなどと思った事はない。高位貴族である自分が、異種の凶暴だの知恵が足りないなどと言われる者に、関わる必要も機会もなかったからだ。

 今だって関わる必要はない。と、思った時―――。


 「うわっ!」

 階段を踏み外した。このまま落ちる! と思っていたら


 「おっと兄ちゃん、大丈夫か?」

「お、お前は!」

 落ちる寸前で、リザードマンに支えられていた。

 トカゲ種特有の肌を覆う鱗に爬虫類そのままの容貌。

  長身だと言われるルースよりも長身で、鱗に覆われている肌の下もガッチリした筋肉があると思わせる巨躯。
それらはどれをとっても異形で、僕が反射的に身を竦める。

 そんな僕を見つめる彼が、自分を見つめる瞳孔は縦に長い爬虫類のそれだ。

「ひぃっ!」

 恐怖を感じ悲鳴を上げる僕に、目の前の異種は言った。

 「……誰かと思ったら、姐さんのダンナになった奴か」

「なっ!」

 ぶっきらぼうな物言いに物申そうとしても、思うように声が出ない。が、ミュゼの手下であろう彼は、そんな僕を支えた状態で立たせてから、

「ボーっとすんじゃねぇぞ」

とだけ言って去って行った。

 そこで僕の中に、疑問が浮かんだ。

 今まで自分が良いと思っていた事は、本当に良かったのか。

今、自分を取り巻く世界は、決して自分を否定しない。どころか称賛して応援してくれている。

 が、他の人達から見ればどうなのか?

 ミュゼや彼女の周りの人間が、自分の領域に入って来た事で、僕は考える事になった。


 今更だが。

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