ミュゼ・シルフィーの結婚の行方

みけの

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最終章 まさかの展開

広まる推し変現象③

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「……君が来てから、この屋敷は変わった。

それまではずっと変わりなかった。頼もしい父、優しい母、尽くしてくれる使用人達。そして、僕を誰よりも頼りに

してくれる幼馴染……」

 そんなところから始まった話に、ミュゼに“忙しい”と銘打ったにも関わらず、長い時間を取られそうな予感をもたらす。

 まぁ世の中説明下手な人間は普通にいる。ここは気長に待ってみようと、ミュゼと周りにいる者達も、ルースの話を聞く事にした。

「ある日突然、父上に『縁談が決まった』と言われて君の話をされて……。
『どうして僕が?』って気持ちで一杯になった。父上にも訊いたけど、『王命だ』ってしか言ってもらえなくて」
「………」
 
―――何だそれは。

 ルースの事情を聞いたミュゼが、まず思ったのはそれだった。

 高位貴族にとって政略結婚は義務だとはいえ、事情を聞く権利はある。それを王命だけで細かい説明もなし。不満も出るよ。

 まぁルースの父である侯爵としては、自分が怪しい宗教団体モドキに騙されたから、大金が必要なので結婚して! とは言いにくいだろう。リュドミラ候は貴族間では知られている程の“イイ恰好しい”だ。が……。

「………そこからどうにかしようとは、考えなかったので?」

 やりようはあるはずだ。ミュゼと結婚させられるのが嫌ならば、そうしなければいけない理由を知ってそれに対策すれば良いだけ。この場合、結婚の動機は金を援助してもらう事だから、金を都合すれば良い。もしくはその伝手を手に入れるか。

 そう言うと、何故か苦笑交じりにサイモンが反論する。

「皆が姐さんみたいに考えませんよ。

特に小侯爵様みたいに、ずーっと周りから大事にされてきたお人は、黙っていれば誰かがどうにかしてくれる、って考えが芯まで染みついちまっている。足りないものを自分で知って判断してその上で、どうにかするって考え自体が無いんですよ」

「……っ!」

 遠回しに『自力でどうにも出来ない奴』扱いされ、ルースはグッと唇をかむ。が、

「…………分かった、そうなんだね」

 ミュゼはサイモンの言葉に対し、そう返しただけだった。


 「まぁそもそも、騙されて大損をされたのは侯爵閣下であって貴方じゃない。なのにその金の落とし前に貴男が結婚するという現状こそがおかしいですものね」

 ミュゼの言葉にルースは目を見開いたまましばらく固まった。
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