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最終章 まさかの展開
広まる推し変現象⑤
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「ああ、勘違いしないで?……私はリュドミラ家の財政事情について詳しくはありませんが、ご夫妻が手放された私財と、領地から得られる収入でギリギリ補えるはずです」
あまりに酷い表情をしていたのか、ミュゼはルースに説明をした。
この結婚でミュゼは、“妻の役目”を外されている。この結婚が特殊だからだ。
ミュゼの役目はあくまで他国に繋がる橋の建設で、この結婚はそれに必要なものだから侯爵家の妻たる役目は必要ない。それはリュドミラ候も承知の事だ。
が、それを何故か侯爵は
“ルースの結婚相手は子爵家の血筋しか持っていない故に、我々の常識が分からない”と執事に伝え、彼に執務の代行を命じた。
と、説明したと言う。
余談だが、執事がミュゼに当たりがきつかった原因の一つである。
「………では安心だろう? 他に問題があるのか?」
「…………閣下ご自身ですよ」
リュドミラ侯爵は一度騙されているのだ。財政が安定し元の状態に戻ったとして、また同じ手の輩にうまい事おだてられれば、騙されないとも限らない。
その後始末をするのは―――
「閣下はルース様に、もう大丈夫だとか苦労を掛けるとか仰られましたか?」
「そう言えば……言われていない」
「ですよね? つまりどこかで持ち直せる確信がないって事です。だから私をキープする事で、安心したいと思われている。お心当たりは、ありませんか?」
「………………」
偏った見解だと反論する事も出来るが、ルースがそれを出来なかったのは自分自身に身に覚えがあるからだ。
両親を亡くしたルミカを引き取る時、父は最初侍女見習にしようとしていた。が、そこにルースが反論したのだ。
『ルミカは体が弱いのですよ! そんな彼女に普通の人と同じ仕事なんか出来る訳が無いじゃないですか! 父上はそのように酷いお方だったのですね』
『! そ、そこまで言うのなら……ルミカが年頃になり、相手が見つかるまで世話をしよう』
そんなやり取りの末に今に至った。
だからこそルミカは、リュドミラ家でお嬢様扱いされ、その器量と儚げな容姿で周りにも受け入れられた。
だが……それも本当なら期限付きだったところを、自分や彼女に心酔した使用人達の要求により、今も現状を維持している。
この状況を自分達の政略結婚を続ける事で維持しようとする父親。
要因は自分だが、更に詐欺に引っかかったのは違う。その実績も含めれば、信じるにも無理がある。
そんな父、いやあの人を、どうして信頼していた? とルースは自分を振り返った。そして気付く。
信頼していたのではない。丸投げしていたのだ。強く思えた父に全てを任せる事で、自分で情報を得る努力をしなくて良いと怠っていた。
そんな後悔の念に押し潰されそうな心境のルースに、ミュゼの言葉が重なった。
「わたしは契約通り、来年にはリュドミラ家から離れます。私にも守りたいものがありますから。
……でもまあ、今望まれたなら、出来る限りの力添えはしますよ? ただし私のやり方で」
「君のやり方?」
その言葉に二つの相反する思いが生まれる。
あんな荒くれ共を仕切る彼女のやり方など、受け入れられるはずがないという思い。
なのに、どこかで期待している。何をするのか、何が変わるのか? とワクワクしている。
あまりに酷い表情をしていたのか、ミュゼはルースに説明をした。
この結婚でミュゼは、“妻の役目”を外されている。この結婚が特殊だからだ。
ミュゼの役目はあくまで他国に繋がる橋の建設で、この結婚はそれに必要なものだから侯爵家の妻たる役目は必要ない。それはリュドミラ候も承知の事だ。
が、それを何故か侯爵は
“ルースの結婚相手は子爵家の血筋しか持っていない故に、我々の常識が分からない”と執事に伝え、彼に執務の代行を命じた。
と、説明したと言う。
余談だが、執事がミュゼに当たりがきつかった原因の一つである。
「………では安心だろう? 他に問題があるのか?」
「…………閣下ご自身ですよ」
リュドミラ侯爵は一度騙されているのだ。財政が安定し元の状態に戻ったとして、また同じ手の輩にうまい事おだてられれば、騙されないとも限らない。
その後始末をするのは―――
「閣下はルース様に、もう大丈夫だとか苦労を掛けるとか仰られましたか?」
「そう言えば……言われていない」
「ですよね? つまりどこかで持ち直せる確信がないって事です。だから私をキープする事で、安心したいと思われている。お心当たりは、ありませんか?」
「………………」
偏った見解だと反論する事も出来るが、ルースがそれを出来なかったのは自分自身に身に覚えがあるからだ。
両親を亡くしたルミカを引き取る時、父は最初侍女見習にしようとしていた。が、そこにルースが反論したのだ。
『ルミカは体が弱いのですよ! そんな彼女に普通の人と同じ仕事なんか出来る訳が無いじゃないですか! 父上はそのように酷いお方だったのですね』
『! そ、そこまで言うのなら……ルミカが年頃になり、相手が見つかるまで世話をしよう』
そんなやり取りの末に今に至った。
だからこそルミカは、リュドミラ家でお嬢様扱いされ、その器量と儚げな容姿で周りにも受け入れられた。
だが……それも本当なら期限付きだったところを、自分や彼女に心酔した使用人達の要求により、今も現状を維持している。
この状況を自分達の政略結婚を続ける事で維持しようとする父親。
要因は自分だが、更に詐欺に引っかかったのは違う。その実績も含めれば、信じるにも無理がある。
そんな父、いやあの人を、どうして信頼していた? とルースは自分を振り返った。そして気付く。
信頼していたのではない。丸投げしていたのだ。強く思えた父に全てを任せる事で、自分で情報を得る努力をしなくて良いと怠っていた。
そんな後悔の念に押し潰されそうな心境のルースに、ミュゼの言葉が重なった。
「わたしは契約通り、来年にはリュドミラ家から離れます。私にも守りたいものがありますから。
……でもまあ、今望まれたなら、出来る限りの力添えはしますよ? ただし私のやり方で」
「君のやり方?」
その言葉に二つの相反する思いが生まれる。
あんな荒くれ共を仕切る彼女のやり方など、受け入れられるはずがないという思い。
なのに、どこかで期待している。何をするのか、何が変わるのか? とワクワクしている。
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