ミュゼ・シルフィーの結婚の行方

みけの

文字の大きさ
55 / 66
最終章 まさかの展開

私だけの罪なのかしら

しおりを挟む
 「僕に……僕に父上達を、騙せと言うのか?」

 震える声音で確かめた僕に、

「え? やだ人聞きの悪い……。ちょっとお金を貸してもらうだけよ! 

本当なら私がお願いするのが筋だけど……今少し、信用を無くしているから……」

 取り繕うように胡麻化す。……自分が出来ないから、僕にさせようと言うのか。

「出来ないよ、というかしない」

 父上も母上も、赤字を出した領地を立て直す為に奔走している。

 最もそれは僕の両親への願いだけで、父上は僕にミュゼを落して欲しいと期待しているようだけど……正直言って、無理だ。

 人の視線も非難も何のそので屋敷のソファでぐーたらしているミュゼも、多種族の重鎮達と幾多の言語を使い、建設現場でフル活動しているミュゼも、どちらも僕に好意を持つとは思えない。ましてやあれだけ嫌な思いをさせたのに。

 だから両親から金を引き出すなど、冗談じゃない。ましてや僕を騙したルミカの頼みでなんてあり得ない。

 と、思っていると

「……ひ、ひっく……! ルースは怒ってるのね、私の事を。
……確かに私は病弱だと、周りが誤解する事をずっとしていたもの。仕方ないわね……。でも」

ルミカが涙声でその場に崩れ落ちる。まるで悲劇のヒロインの演技のようだ。

なんて思っていた僕に、次には嘘のようにルミカは主張しだす。

「でもそれって勝手に周りが思っていただけじゃない!

 確かに長過ぎたとは思うわ。でもその間、誰も気づかなかったし疑いもしなかった。

 それって変よね? これだけずっと知らない、気付けないなんて事、普通はないでしょう?
 
 つまり、騙されていた人にも責任があるのよ。ずーーーっと私をルースの特別な人と認定してたあの人達にも責任があるの!

なのに今更『よくも騙したな!』って攻撃してくるの、おかしいじゃない?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

疑惑のタッセル

翠月 瑠々奈
恋愛
今、未婚の貴族の令嬢・令息の中で、王国の騎士たちにタッセルを渡すことが流行っていた。 目当ての相手に渡すタッセル。「房飾り」とも呼ばれ、糸や紐を束ねて作られた装飾品。様々な色やデザインで形作られている。 それは、騎士団炎の隊の隊長であるフリージアの剣にもついていた。 でもそれは──?

【短編】お姉さまは愚弟を赦さない

宇水涼麻
恋愛
この国の第1王子であるザリアートが学園のダンスパーティーの席で、婚約者であるエレノアを声高に呼びつけた。 そして、テンプレのように婚約破棄を言い渡した。 すぐに了承し会場を出ようとするエレノアをザリアートが引き止める。 そこへ颯爽と3人の淑女が現れた。美しく気高く凛々しい彼女たちは何者なのか? 短編にしては長めになってしまいました。 西洋ヨーロッパ風学園ラブストーリーです。

元恋人が届けた、断りたい縁談

待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。 手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。 「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」 そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?

安らかにお眠りください

くびのほきょう
恋愛
父母兄を馬車の事故で亡くし6歳で天涯孤独になった侯爵令嬢と、その婚約者で、母を愛しているために側室を娶らない自分の父に憧れて自分も父王のように誠実に生きたいと思っていた王子の話。 ※突然残酷な描写が入ります。 ※視点がコロコロ変わり分かりづらい構成です。 ※小説家になろう様へも投稿しています。

利害一致の結婚

詩織
恋愛
私達は仲のいい夫婦。 けど、お互い条件が一致しての結婚。辛いから私は少しでも早く離れたかった。

3歳児にも劣る淑女(笑)

章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。 男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。 その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。 カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^) ほんの思い付きの1場面的な小噺。 王女以外の固有名詞を無くしました。 元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。 創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。

ジルの身の丈

ひづき
恋愛
ジルは貴族の屋敷で働く下女だ。 身の程、相応、身の丈といった言葉を常に考えている真面目なジル。 ある日同僚が旦那様と不倫して、奥様が突然死。 同僚が後妻に収まった途端、突然解雇され、ジルは途方に暮れた。 そこに現れたのは亡くなった奥様の弟君で─── ※悩んだ末取り敢えず恋愛カテゴリに入れましたが、恋愛色は薄めです。

6回目のさようなら

音爽(ネソウ)
恋愛
恋人ごっこのその先は……

処理中です...