【完結】ご都合主義で生きてます。奥様は魔女(中二病)だったのです。-北の森の怠惰な魔女-

ジェルミ

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第5話 猟師組合

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「エリーナさん、素材の解体や買取をしてくれるところはないの」
「猟師組合ですね」
「猟師組合?冒険者ギルドみたいなものかな」
「冒険者ギルドが何なのか分かりませんが、この町で素材を売るなら猟師組合です」
「そうなんだ。で、どこにあるの猟師組合は」
 エリーナさんに猟師組合の場所を聞いた。
 それから荒くれ者が多いから、気を付けるようにとも言われた。



 猟師組合は町の入口近くにあった。
 どの街でもそうだけど、戻ってきたらすぐに受け渡し出来た方が楽だからね。
 門に近い場所に構えるのかな。

 スイングドアを開け中に入る。
 昼近い時間帯だからなのか、3つある受付の人達以外は誰もいなかった。

 う~ん。
 普通ここはお約束で誰かに絡まれる、とか綺麗なエルフが受付にいるとかだけど。

 パメラは家族と【スキル】情報共有で、お互いの情報が分かるようになった。
 旦那様の知識と言う情報を得てからは、更にパメラの妄想癖に火が付いた。
 特にファンタジーものが大好きになっていた。


「あの~、なにかお困りでしょうか?」
 受付の1つに居たキツネ耳の女の子に話しかけられる。
 ほう、この国では獣人がいるんだ。
 ということは、獣人差別がないのかな。

「あの~」
「いや~普通はここで絡まれたり、するはずなんだけど」
「しません!それにこの時間には誰も戻って来てません」
「そ~、では買取をお願いしたいの」
「買取すね。でこちらにどうぞ」

 私はキツネ女子に案内され、受付の1つに向かった。

「猟師組合は初めてでしょうか?」
「そうね」
「ではまず、登録からしますから。こちらにご記入をお願いします。文字は書けますか?」
「ええ、もちろん書けるわよ」

 私は登録書に記入を始める。
 名前:パメラ
 種族:人族
 年齢:18歳
 性別:女
 職業:魔女
 特技:派手に破壊

「これでいいかしら」
「はい、ありがとうございます。職業魔女ですか?」
「そうよ、見たら分かるでしょ?」
「えっ、え~」

 私は銀狐族のフェイ。
 まだ新人で受付に立っていると、変な格好の女の人が入って来た。

 この暑い8月に黒いローブを着て黒い尖がり帽子をかぶっている。
 右手首に布を巻き、左目に黒い眼帯をした白銀色の長い髪の女性。

 関わりたくなかった。

 だけど新人だから先輩2人に促され、ロビーで佇んでいる女性に声を掛けたんだ。
 魔法使いならわかるけど、魔女なんて聞いたことがないわ。

「パメラさんですね。私は受付のフェイと申します」
「よろしく~」
「猟師組合についてはご存じでしょうか」
「いいえ、冒険者ギルドとどう違うの」
「やはりパメラさんは、他の国から来られた方なのですね」
「どうして?」
「同じ素材買取でも国によって組織が違うのです。猟師組合のところもあれば、冒険者ギルドの国があると言うことです」
「国によって違うんだ。はじめて知った」
「この大陸の南に位置するウェルダン国は、冒険者ギルドはなく猟師組合が仕切っています」

 仕切ってる、893さん?

 私がキョトンとした顔をしていたからなのか、フェイさんの話は続く。

「どの国でも魔物の素材は、防具などに使われ多大な金銭に替わります。1つの街に2つの買取組織があったのでは、価格競争で共倒れになる。流通ルートを確保し素材の処理が、できなければ意味がない。その結果、猟師組合がこのジヨルド国で流通経路を確保し、冒険者ギルドはできなかったという事です」

 そしてまだフェイさんの話は続く。

「今は落ち着いていますが、いつどこで覇権を狙って抗争が起こるかわかりません。
最近の上の者は大人しくなり円満を願っていますが。それに従う下の者はまだまだ荒くれ物が多く、カチコミしながら勢力拡大を狙っている奴も多いのです、それに…」

「「 パコ~~~~ン!! 」」

 物凄く大きな良い音がした。
 よく見ると殺傷能力ゼロとは思えないほどの効果を持つ、ハリセンを持った女性が立っていた。

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