6 / 10
第6話 組長
しおりを挟む
「 パコ~~~~ン!! 」
殺傷能力ゼロとは思えないほどの音がして、ハリセンを持った女性が立っていた。
「なにをやっているの、フェイ」
「組長、パメラさんに説明してるんですよ」
フェイさんは頭を押さえながら、叩いた人に向かって話している。
不思議だ。
痛くはないのにあの音だけで、痛いような錯覚に陥り頭を押さえてしまうなんて。
恐るべしハリセン攻撃。
肉体には痛みを与えず、精神のみに影響を及ぼすなんて。
「あの~、パメラさん大丈夫ですか?」
あっ、いけない。
ダーリンもそうだけど高速思考で物事を考えていると、考え過ぎてつい独り言が多くなってしまう。
「えぇ、大丈夫。その人は?」
「この猟師組合のまとめ役、殺さずのアサシン組長です」
あ~、組合だから組長なんだね。
わかるけど、さ~。
「私がここの組合の組長アサシンだ。受付のフェイが失礼をした」
ブッ。
身長が154cmの私より頭一つ高い、その女性が挨拶をしてきた。
髪は短く筋肉質のマッチョな女性だった。
「別に良いんですねど。解体を含めた買取をお願いできますか?」
「買取だね。どこに持っているのさ?」
私はダミー用に首から下げている、ポーチを叩いた。
ストレージは空間魔法だ。
だから何もない空間から出したら変だからね。
「わぉ、マジック・バッグかい。凄いものを持っているね。こっちに来な」
私は促がされ奥の買取カウンターの中に入った。
ドアを開けアサシンさんと、なぜかフェイさんも一緒に倉庫の中に入る。
「さあ、出しな」
私はストレージからサーベルウルフを13匹出した。
ドサッ!ドサッ!ドサッ!ドサッ!ドサッ!
ドサッ!ドサッ!ドサッ!ドサッ!ドサッ!
ドサッ!ドサッ!ドサッ!
「おい、おい、おい、こんなに出されちゃあ、他が置けねえぜ」
声のした方を見ると、スキンヘッドで頭に鉢巻を巻いた男が居た。
「ラザールか、解体と買取を頼む」
「でもこんなに出されちゃあ」
「なら、早く片付けるんだね」
「分かりましたよ。しかしサーベルウルフをこんなに倒すなんて。奴らは群れでいるから、まとめて倒すのは一苦労なのにな」
「で、どのくらいでできるの、おじさん?」
「おじさんだと、お前は誰だい?」
「私はパメラよ。この解体の依頼主よ」
「俺は解体チームをまとめてるラザールだ。丁度、この時間なら手の開いている奴が多いから、3時間あればできるぜ」
「なら、その頃にまた来るわ」
「あいよ、これは預かり書だ。大事に持っておけよ」
3時間か。
何をして時間を潰そう。
預かり書を受け取り、私は猟師組合を後にした。
「こりゃあ、すげえな」
「どうしたんだい、ラザール」
「見てくださいよ、組長」
「奇麗に狩っているじゃないか。それこそ血のりの…後も…無く。え?」
「そうなんです。どこも傷ついていないんですよ」
「じゃあ、どうやって」
「これを見てください」
「これは?」
「中の骨が折れてるんですよ。毛皮を傷つけることなく、フルボッコで殴り倒したとしか思えません」
「そんな事が…」
「出来る奴を、見たことはありませんぜ」
「だろうね。フェイちょっといいかい」
「はい、組長」
「私の部屋に来なさい」
「なんですか組長」
「まあ、かけなさい」
フェイを私の部屋に招き入れた。
「パメラさんの事について話なさい」
「話なさい、て言われても今日あったばかりですから」
「何でもいいから、思い出しなさい」
「パメラさんは、この国の人ではないみたいでした」
「どうしてそう思うの」
「だって登録の時に猟師組合は冒険者ギルドと、どう違うのかと聞いてきたし」
「他の国で、冒険者だったのかもしれないわね」
「他になにか言ってなかった?」
「そうですね、自分の事を魔女と言ってました」
「魔女?魔法使いならわかるけど、どういう意味かしら?」
「私もそう思いました。魔女なんて聞いたことがありませんから」
「聞いてみたの?」
「聞いてはいけない様な気がして、聞けませんでした」
「そうね、分かったわ。ありがとう、もう行って良いわ」
フェイが部屋を出て行った。
私は考えた。
殺傷能力ゼロとは思えないほどの音がして、ハリセンを持った女性が立っていた。
「なにをやっているの、フェイ」
「組長、パメラさんに説明してるんですよ」
フェイさんは頭を押さえながら、叩いた人に向かって話している。
不思議だ。
痛くはないのにあの音だけで、痛いような錯覚に陥り頭を押さえてしまうなんて。
恐るべしハリセン攻撃。
肉体には痛みを与えず、精神のみに影響を及ぼすなんて。
「あの~、パメラさん大丈夫ですか?」
あっ、いけない。
ダーリンもそうだけど高速思考で物事を考えていると、考え過ぎてつい独り言が多くなってしまう。
「えぇ、大丈夫。その人は?」
「この猟師組合のまとめ役、殺さずのアサシン組長です」
あ~、組合だから組長なんだね。
わかるけど、さ~。
「私がここの組合の組長アサシンだ。受付のフェイが失礼をした」
ブッ。
身長が154cmの私より頭一つ高い、その女性が挨拶をしてきた。
髪は短く筋肉質のマッチョな女性だった。
「別に良いんですねど。解体を含めた買取をお願いできますか?」
「買取だね。どこに持っているのさ?」
私はダミー用に首から下げている、ポーチを叩いた。
ストレージは空間魔法だ。
だから何もない空間から出したら変だからね。
「わぉ、マジック・バッグかい。凄いものを持っているね。こっちに来な」
私は促がされ奥の買取カウンターの中に入った。
ドアを開けアサシンさんと、なぜかフェイさんも一緒に倉庫の中に入る。
「さあ、出しな」
私はストレージからサーベルウルフを13匹出した。
ドサッ!ドサッ!ドサッ!ドサッ!ドサッ!
ドサッ!ドサッ!ドサッ!ドサッ!ドサッ!
ドサッ!ドサッ!ドサッ!
「おい、おい、おい、こんなに出されちゃあ、他が置けねえぜ」
声のした方を見ると、スキンヘッドで頭に鉢巻を巻いた男が居た。
「ラザールか、解体と買取を頼む」
「でもこんなに出されちゃあ」
「なら、早く片付けるんだね」
「分かりましたよ。しかしサーベルウルフをこんなに倒すなんて。奴らは群れでいるから、まとめて倒すのは一苦労なのにな」
「で、どのくらいでできるの、おじさん?」
「おじさんだと、お前は誰だい?」
「私はパメラよ。この解体の依頼主よ」
「俺は解体チームをまとめてるラザールだ。丁度、この時間なら手の開いている奴が多いから、3時間あればできるぜ」
「なら、その頃にまた来るわ」
「あいよ、これは預かり書だ。大事に持っておけよ」
3時間か。
何をして時間を潰そう。
預かり書を受け取り、私は猟師組合を後にした。
「こりゃあ、すげえな」
「どうしたんだい、ラザール」
「見てくださいよ、組長」
「奇麗に狩っているじゃないか。それこそ血のりの…後も…無く。え?」
「そうなんです。どこも傷ついていないんですよ」
「じゃあ、どうやって」
「これを見てください」
「これは?」
「中の骨が折れてるんですよ。毛皮を傷つけることなく、フルボッコで殴り倒したとしか思えません」
「そんな事が…」
「出来る奴を、見たことはありませんぜ」
「だろうね。フェイちょっといいかい」
「はい、組長」
「私の部屋に来なさい」
「なんですか組長」
「まあ、かけなさい」
フェイを私の部屋に招き入れた。
「パメラさんの事について話なさい」
「話なさい、て言われても今日あったばかりですから」
「何でもいいから、思い出しなさい」
「パメラさんは、この国の人ではないみたいでした」
「どうしてそう思うの」
「だって登録の時に猟師組合は冒険者ギルドと、どう違うのかと聞いてきたし」
「他の国で、冒険者だったのかもしれないわね」
「他になにか言ってなかった?」
「そうですね、自分の事を魔女と言ってました」
「魔女?魔法使いならわかるけど、どういう意味かしら?」
「私もそう思いました。魔女なんて聞いたことがありませんから」
「聞いてみたの?」
「聞いてはいけない様な気がして、聞けませんでした」
「そうね、分かったわ。ありがとう、もう行って良いわ」
フェイが部屋を出て行った。
私は考えた。
1
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる