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33 ああ!あの師団長様なのですわ!
しおりを挟むオレグ様に睨まれてもニコニコとしている師団長様を見ていたら…あら?
今まで気付かなかったけれど、師団長様って『ミラファン』に出ていたあの師団長様かしら?
前に会ったときは明るい印象では無かったし、こんなにイケメンだとは知らなかったから『ミラファン』に出てくる師団長様とは重なりませんでしたが…このモノクルといい、髪や瞳の色といい…間違いありませんわ!
『ミラファン』の中の師団長様はとても優しい方で…レギーナが処刑される寸前までずっと味方でいてくれた方なのですわ。
だとすると…例え小説の強制力が働こうとも、師団長様なら最後までわたくしの味方でいてくださるのでは……?
ですがわたくしが前世の記憶を取り戻したり、魔法を使える…かもしれなかったり、痩せたり、と…いろいろと原作とは違ってきてしまいましたから、『絶対』とは言えないですわ。
………でも比較的安心できるのは確かですわね。
「で、レギーナ姫の属性の話なんですが」
「そうでしたわ!わたくしの魔法!いったいどんな属性なんですの?いえ…でもそもそもあれが本当にわたくしの魔法だったのかどうか……」
「それは間違いないでしょう。レギーナ姫が突然痩せましたから」
「………?」
「あの太り方も、今回の痩せ方も異常です。常識と掛け離れたことが起こるとき、そこには魔法の干渉があることが多いのです」
師団長様曰く、太ったときにも魔法の干渉を疑ったのだとか。
でもわたくし自身が太ったことに気付いていなかったために、周りのみんなが秘密にしていたらしいのですわ。
わたくしが傷つかないように…。
「でも魔法を発現させて痩せた方が良かったんではないかしら?」
「自分もそう思ったんですが…上の方の意向もあるといいますか……」
「?」
上の意向?お父様かお兄様かしら?
太っているメリットは無いような気がするんだけど…。
「そのあたりは自分の口からは言えませんが、とにかくこうやってご自分でお気付きになって、そして自分に声をかけてくださったんですから。今後のことを考えましょう」
「今後のこと?」
「はい!魔法っていうのは一度発現すると次回以降発現しやすくなるものなのです。開きにくかった瓶の蓋が1度開けば、2度目からは簡単に開く…そんな感じですかね」
「なるほどですわ!」
わたくしが褒めれば、照れて頭を掻いて…あら、年上ですが可愛らしいですわ。イケメンは得ですわね!何をしても様になりますわ!
わたくしが目の保養とばかりに師団長様を見つめていれば…突然目の前にオレグ様のお顔が!?ち…近いですわ!!
「な…なんですの!?」
「他の男をそんなに見つめちゃ駄目だよ?」
「えぇ!?」
公爵家のプライドどんだけですの!?
「うわぁ!レギーナ姫の婚約者殿はずいぶんと狭量なんですねぇ!」
「えぇ!?」
師団長様はなぜ煽りましたの!?意味が分かりませんわ!?
「それはともかく、レギーナ姫さえ良ければまた魔法の特訓をしてみませんか?」
「わたくしが、魔法を………?」
わたくしはもう、魔法を使えないのだと諦めておりましたわ。
なのに、魔法を使えるかもしれないですって…?
「是非お願いいたしますわ。なんだかドキドキいたしますわ…!」
「ふふっ。今度はきっと大丈夫ですよ」
やはり原作の印象もあるのかしら?
ふんわりと笑う師団長様の笑顔を見ていると、なんだか安心いたしますわ。
「頑張りますわ!ビシバシとご指導お願いいたしますわー!」
わたくしがやる気に満ち満ちていると、なぜかオレグ様が愕然としておられますわ?
「レーナが男とふたりきり…!?」
オレグ様は……最近不可解過ぎてよく分かりませんわ。
放置させていただきますわ!
兎にも角にも、わたくし、また新しい目標が出来て……滾りますわー!
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