美少女と魔獣~実は人間だったなんてウソですよね!?~

真麻一花

文字の大きさ
12 / 22
裏:レオン

12獣の事情1

しおりを挟む
 彼女は、あっという間に、この城の者達に慣れた。中でも、俺が一番仲良しだ!!
 デートに誘えばはにかみながら頷いてくれるし、花を髪に挿しても喜んでくれるし、かわいいとか美しいとか全力で口説いてみれば頬を染めてくれるし!! 脈あるよね!あるよね!!うっしゃ!!
 近頃では、ようやく自分のことも話してくれるようになった。
 彼女が心を開いてくれるのがうれしい反面、あまりにも不当な扱いばかりを受けた彼女の過去を知り、くっそむかつく。隣国潰してぇ。

「人間から恐れられる皆さんの方が、人間よりずっとずっと優しいだなんて、皮肉ですね……。私、両親が亡くなってから、今が一番幸せです」

 彼女はそう言って悲しげに微笑んだ。彼女がここで暮らすようになって一年以上が過ぎていた。
 彼女はまだ、俺達が元々人間であった事を知らない。その心が人間である事も。いや、知ることができない。この呪いは、呪いの真実を知らせることができない。

 ちなみに兄貴が知っていたのは、俺らが迫害されて死んだら後味が悪いからと魔女が教えてくれたからだ。
 兄貴は呪いのことを知らされ俺に出会ってゲラゲラ笑った後、なぜ魔女なんかに手を出したと号泣していた。情緒不安定すぎて、ドン引きしt……心配になった。あと、兄貴、誤解を生む言い方をすんな。魔女に手を出したわけじゃない。ちょっといい気になって、花火をぶち上げたら、失敗して魔女の家に落ちて全壊させた後、一部燃えてしまっただけだ。不可抗力だ。悪気はなかった。反省はしている。
 ともあれ兄貴と違って、彼女は俺達を化け物だと認識してるにもかかわらず、相手の姿ではなく、その心内を見てくれているのだ。

「この姿は、怖くないのか」

 頬に指先を滑らせ、顔を近づけてたずねれば、彼女は微笑んで俺のたてがみを撫でる。
 うっは。めっちゃ恋人っぽい!!

「怖いなど。この雄々しいたてがみも、この牙のある大きな口も、鋭い爪があっても、傷つけることなく私を支えてくれるこの手も、その優しい目も、私を包み込んで下さる、ふわふわの身体も、全てが雄々しく美しいと思います」

 彼女がそんなことを言うから。本心だと分かってしまうから、俺は耐えきれず目をそらした。
 ハダカデバネズミに変えられてなくてよかった!! ライオンでよかった!! ほんっとうによかった!!!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になんてなりたくない!

桜夢 柚枝*さくらむ ゆえ
恋愛
「王太子の婚約者になりました」 ってお父様? そんな女性たちに妬まれそうな婚約者嫌です!小説の中のような当て馬令嬢にはなりたくないです!!!! ちょっと勘違いが多い公爵令嬢・レティシアの婚約破棄されないようにするためのお話(?)

わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
※完結しました。 離婚約――それは離婚を約束した結婚のこと。 王太子アルバートの婚約披露パーティーで目にあまる行動をした、社交界でも噂の毒女クラリスは、辺境伯ユージーンと結婚するようにと国王から命じられる。 アルバートの側にいたかったクラリスであるが、国王からの命令である以上、この結婚は断れない。 断れないのはユージーンも同じだったようで、二人は二年後の離婚を前提として結婚を受け入れた――はずなのだが。 毒女令嬢クラリスと女に縁のない辺境伯ユージーンの、離婚前提の結婚による空回り恋愛物語。 ※以前、短編で書いたものを長編にしたものです。 ※蛇が出てきますので、苦手な方はお気をつけください。

東雲の空を行け ~皇妃候補から外れた公爵令嬢の再生~

くる ひなた
恋愛
「あなたは皇妃となり、国母となるのよ」  幼い頃からそう母に言い聞かされて育ったロートリアス公爵家の令嬢ソフィリアは、自分こそが同い年の皇帝ルドヴィークの妻になるのだと信じて疑わなかった。父は長く皇帝家に仕える忠臣中の忠臣。皇帝の母の覚えもめでたく、彼女は名実ともに皇妃最有力候補だったのだ。  ところがその驕りによって、とある少女に対して暴挙に及んだことを理由に、ソフィリアは皇妃候補から外れることになる。  それから八年。母が敷いた軌道から外れて人生を見つめ直したソフィリアは、豪奢なドレスから質素な文官の制服に着替え、皇妃ではなく補佐官として皇帝ルドヴィークの側にいた。  上司と部下として、友人として、さらには密かな思いを互いに抱き始めた頃、隣国から退っ引きならない事情を抱えた公爵令嬢がやってくる。 「ルドヴィーク様、私と結婚してくださいませ」  彼女が執拗にルドヴィークに求婚し始めたことで、ソフィリアも彼との関係に変化を強いられることになっていく…… 『蔦王』より八年後を舞台に、元悪役令嬢ソフィリアと、皇帝家の三男坊である皇帝ルドヴィークの恋の行方を描きます。

病弱令嬢ですが愛されなくとも生き抜きます〜そう思ってたのに甘い日々?〜

白川
恋愛
病弱に生まれてきたことで数多くのことを諦めてきたアイリスは、無慈悲と噂される騎士イザークの元に政略結婚で嫁ぐこととなる。 たとえ私のことを愛してくださらなくても、この世に生まれたのだから生き抜くのよ────。 そう意気込んで嫁いだが、果たして本当のイザークは…? 傷ついた不器用な二人がすれ違いながらも恋をして、溺愛されるまでのお話。

告白さえできずに失恋したので、酒場でやけ酒しています。目が覚めたら、なぜか夜会の前夜に戻っていました。

石河 翠
恋愛
ほんのり想いを寄せていたイケメン文官に、告白する間もなく失恋した主人公。その夜、彼女は親友の魔導士にくだを巻きながら、酒場でやけ酒をしていた。見事に酔いつぶれる彼女。 いつもならば二日酔いとともに目が覚めるはずが、不思議なほど爽やかな気持ちで起き上がる。なんと彼女は、失恋する前の日の晩に戻ってきていたのだ。 前回の失敗をすべて回避すれば、好きなひとと付き合うこともできるはず。そう考えて動き始める彼女だったが……。 ちょっとがさつだけれどまっすぐで優しいヒロインと、そんな彼女のことを一途に思っていた魔導士の恋物語。ハッピーエンドです。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。

契約妻に「愛さない」と言い放った冷酷騎士、一分後に彼女の健気さが性癖に刺さって理性が崩壊した件

水月
恋愛
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件の旦那様視点短編となります。 「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。

完結·異世界転生したらアザラシ? でした〜白いモフモフでイケメン騎士たちに拾われましたが、前世の知識で医療チートしています〜

恋愛
ネットでアザラシを見ることが癒しだった主人公。 だが、気が付くと知らない場所で、自分がアザラシになっていた。 自分が誰か分からず、記憶が曖昧な中、個性的なイケメン騎士たちに拾われる。 しかし、騎士たちは冬の女神の愛おし子を探している最中で…… ※小説家になろう、Nolaノベルにも投稿しています ※完結まで毎日投稿します

今宵、薔薇の園で

天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。 しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。 彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。 キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。 そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。 彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。

処理中です...