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裏:レオン
12獣の事情1
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彼女は、あっという間に、この城の者達に慣れた。中でも、俺が一番仲良しだ!!
デートに誘えばはにかみながら頷いてくれるし、花を髪に挿しても喜んでくれるし、かわいいとか美しいとか全力で口説いてみれば頬を染めてくれるし!! 脈あるよね!あるよね!!うっしゃ!!
近頃では、ようやく自分のことも話してくれるようになった。
彼女が心を開いてくれるのがうれしい反面、あまりにも不当な扱いばかりを受けた彼女の過去を知り、くっそむかつく。隣国潰してぇ。
「人間から恐れられる皆さんの方が、人間よりずっとずっと優しいだなんて、皮肉ですね……。私、両親が亡くなってから、今が一番幸せです」
彼女はそう言って悲しげに微笑んだ。彼女がここで暮らすようになって一年以上が過ぎていた。
彼女はまだ、俺達が元々人間であった事を知らない。その心が人間である事も。いや、知ることができない。この呪いは、呪いの真実を知らせることができない。
ちなみに兄貴が知っていたのは、俺らが迫害されて死んだら後味が悪いからと魔女が教えてくれたからだ。
兄貴は呪いのことを知らされ俺に出会ってゲラゲラ笑った後、なぜ魔女なんかに手を出したと号泣していた。情緒不安定すぎて、ドン引きしt……心配になった。あと、兄貴、誤解を生む言い方をすんな。魔女に手を出したわけじゃない。ちょっといい気になって、花火をぶち上げたら、失敗して魔女の家に落ちて全壊させた後、一部燃えてしまっただけだ。不可抗力だ。悪気はなかった。反省はしている。
ともあれ兄貴と違って、彼女は俺達を化け物だと認識してるにもかかわらず、相手の姿ではなく、その心内を見てくれているのだ。
「この姿は、怖くないのか」
頬に指先を滑らせ、顔を近づけてたずねれば、彼女は微笑んで俺のたてがみを撫でる。
うっは。めっちゃ恋人っぽい!!
「怖いなど。この雄々しいたてがみも、この牙のある大きな口も、鋭い爪があっても、傷つけることなく私を支えてくれるこの手も、その優しい目も、私を包み込んで下さる、ふわふわの身体も、全てが雄々しく美しいと思います」
彼女がそんなことを言うから。本心だと分かってしまうから、俺は耐えきれず目をそらした。
ハダカデバネズミに変えられてなくてよかった!! ライオンでよかった!! ほんっとうによかった!!!
デートに誘えばはにかみながら頷いてくれるし、花を髪に挿しても喜んでくれるし、かわいいとか美しいとか全力で口説いてみれば頬を染めてくれるし!! 脈あるよね!あるよね!!うっしゃ!!
近頃では、ようやく自分のことも話してくれるようになった。
彼女が心を開いてくれるのがうれしい反面、あまりにも不当な扱いばかりを受けた彼女の過去を知り、くっそむかつく。隣国潰してぇ。
「人間から恐れられる皆さんの方が、人間よりずっとずっと優しいだなんて、皮肉ですね……。私、両親が亡くなってから、今が一番幸せです」
彼女はそう言って悲しげに微笑んだ。彼女がここで暮らすようになって一年以上が過ぎていた。
彼女はまだ、俺達が元々人間であった事を知らない。その心が人間である事も。いや、知ることができない。この呪いは、呪いの真実を知らせることができない。
ちなみに兄貴が知っていたのは、俺らが迫害されて死んだら後味が悪いからと魔女が教えてくれたからだ。
兄貴は呪いのことを知らされ俺に出会ってゲラゲラ笑った後、なぜ魔女なんかに手を出したと号泣していた。情緒不安定すぎて、ドン引きしt……心配になった。あと、兄貴、誤解を生む言い方をすんな。魔女に手を出したわけじゃない。ちょっといい気になって、花火をぶち上げたら、失敗して魔女の家に落ちて全壊させた後、一部燃えてしまっただけだ。不可抗力だ。悪気はなかった。反省はしている。
ともあれ兄貴と違って、彼女は俺達を化け物だと認識してるにもかかわらず、相手の姿ではなく、その心内を見てくれているのだ。
「この姿は、怖くないのか」
頬に指先を滑らせ、顔を近づけてたずねれば、彼女は微笑んで俺のたてがみを撫でる。
うっは。めっちゃ恋人っぽい!!
「怖いなど。この雄々しいたてがみも、この牙のある大きな口も、鋭い爪があっても、傷つけることなく私を支えてくれるこの手も、その優しい目も、私を包み込んで下さる、ふわふわの身体も、全てが雄々しく美しいと思います」
彼女がそんなことを言うから。本心だと分かってしまうから、俺は耐えきれず目をそらした。
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