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2 だから、いみわからんて。

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 そして私は生まれ変わった……はずだった。
 だって私がいたのは白い空間じゃなくて見知らぬ世界であったから。
 でも、ハズ、っていうのは、そこに生まれ変わった感が全くないから。
 なのに自我はあって意識もあって世界を確かに見ている。でも私は私自身の存在を、認識出来ない。ただ、自分がいる世界を、絵本を見るように眺めるばかりという、へんてこな状況になっていた。まるで風にでもなってたゆたうまま入ってくる情報や映像を眺めている、そんな感じ。自分が見たい物を見ているわけじゃなくって、見えている物を見るしかない。
 見てる物は、あるひとつの物語をたどっていくように移り変わっていった。ほんとに絵本でも読んでいるかのようだった。

 ひとまずの状況を把握して、一番最初に思ったのが。

 なんだこりゃ。

 この一言に尽きる。
 こう、転生感が全くなくて、がっかり感が満載過ぎ。
 仕方ないから、問答無用に見せられる物語の世界をとりあえず楽しんで見ることにした。ていうか、それしか出来ないんだけどね!
 私が見つめる世界は現代とは全く違う田舎くさい世界のようだった。まあ、勇者様がいる世界だもんね。
 そこで生活していたら、現代日本人として育った私なら発狂するレベル。
 水は川までくみに行って、お湯は貴重で、火をおこすにもマッチすらなくて、トイレはぼっとんで、一般人の移動手段は全て徒歩! テレビもゲームもない!本は貴重品で手に入らない。そもそも読めそうにない気がするけど。

 い や す ぎ る 。

 がっかり感満載っていってごめんなさい。むしろそこで生活せずに済んでよかったですありがとうございます。
 とか思っている内に物語は進んでいく。

 そんな世界では魔王が復活し、世界中が恐慌に陥っていた。
 ほほぅ。大変な世界が更に大変そうです。
 暴れる魔物達に、逃げまどう人たち、こりゃまた、ここで生活してたらきつそうだ。

 それを倒すために勇者が立ち上がった。
 よっしゃ、勇者キタ! わたしの出番!! って、勇者私じゃないし。
 そこにいるのは、あの絵の勇者を、リアルにしてがちイケメンにしたらこんな感じだなって言う感じの青年だった。
 え? あれ?

 青年は国王から魔王討伐の命を受けて、国を発つことになった。
 発つことになったって……え、私、どこに出てくるの?

 完全に置いてけぼりの私は、もう訳がわかんない。絵の人物に転生するんじゃないのかよ!! って怒鳴りつけたいけど、どうも私、この物語に干渉できないっぽいんだよね。正真正銘、見てるだけー。
 約束が違う。絵の中の人物に生まれ変わるんじゃなかったんかい!
 ……ものすごく帽子を床にたたきつけたくなったけど、帽子もなければ床もない、そもそも帽子を握る手もない状態だ。やってらんねぇ。なんだよ、私、ここにいる意味あんのかよって気はするけど、とりあえず見せられる物語は、せっかくだから楽しもうと思う。
 やさぐれて寝転んで尻でも掻きながら見てやる。って思ったけどよく考えたら掻く手もなければ尻もない。痛恨のミス。
 尻もかけないまま物語は進んでゆく。

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