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番外編 

ジレンマ beginning エピソード3

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悪魔を取り入れてから12年
ジレンマは高校生活を過ごしていた。

こんな宿命のあるジレンマが普通の
学生生活をおくれるはずはない。

すらっとした痩せ型、そして乱れた長髪
顔立ちは良いのに幸の薄い感じが強く
彼を避けているものがほとんどであった。

体に彫られていた呪印の刺青により
露出のある授業などは欠席
理由は教師すら知らずにいた。

もちろん政府からの根回しがあるからであった。

あの日以来、政府から度々と目付け役を送られてくることがあり。

今の目付け役は、一条遙いちじょうはるかだ。


「ジレンマくんお疲れ様」
校門でジレンマを出迎えたのは遙であった。
政府の役人ともあり、黒髪を後ろで束ね、顔立ちが良いせいか、薄化粧でも清楚で魅力的な女性である。

「毎日迎えに来なくていいですよ」
ジレンマは少し年上の遙が迎えに来るのを
嫌煙していた。人から注目を浴びないように影の薄い存在だったのに逆効果だ。

「君の子守り役になって1週間、全然話してくれないから、話してくれるまで付きまとうわよ」

ジレンマも17歳の思春期、異性に興味がないわけでない、しかし人と触れ合うことのできない体になってしまってからは周りと距離を置く正確になってしまった。

「あいつまた、あの女が迎えにきてるぞ」
など周りからも、ジレンマの行動をよく思ってない生徒も増えてきた。

「一条さん、早くいきましょう」
ジレンマはそそくさと学校から離れていった。

遙は規定通り、体温や心拍、血圧や体調などをジレンマに問う。

「病人じゃないので大丈夫ですから」

「じゃあ、学校のこととか話してよ」
遙はジレンマの腕を取り寄り添う。

柔らかな感触がジレンマの二の腕に伝わる。

「わぁっ」
ジレンマは咄嗟に遙の腕を解く。

遙はジレンマの反応に戸惑う。

「そういうんじゃなくて、僕には危険なものが憑いているから、腕を組まれたのを嫌がったんじゃありません。」

ジレンマは誤解を解くのに必死になった。

「一条さん、ちょっと寄りたいところがあるんですが。。。」

遙の顔は驚き顔からにっこりと変わっていった。

「うん、いいよ、いこう!」

町外れの古い屋敷などが目立つ住宅地の片隅に佇むお寺
ジレンマは足を止めて一例をする。

「ここって。。。」

「母のお墓があるんです。」

ジレンマは前の花屋で花束を買い、寺に備えてある掃除用具を抱え母親の墓に向かった。
あの時のことは遙も資料を読み把握していた。

小さな少年の前で母が死にそれが自分を救う為。深い傷であることは間違いない。

2人は墓掃除をし、線香を焚き、手を合わした。

「母は僕にとってすごい人だったんです」

「呪伝師だったんだよね」

「でも、僕のせいで、死にました。。」
遙は言葉を失う。

(ピキーン)  殺気‼️

「誰⁉️」
遙は周囲を見渡す、卒塔婆の隙間からこちらを伺う視線。

遙はそこに向かい走る。

タッタッタッ

ガシャガシャ

卒塔婆がドミノ倒しのように崩れるが
姿はなかった。

「一条さん‼️」
遙はジレンマの元にかける。

「今まで、誰かにつけられたりとかあった?」

「いや、ないと思います。」
ジレンマは答える。

2人は周囲に気を配りながら、境内にむかう。

「ジレンマ、彼女つれて母親の墓参りか」

「かっかっ 彼女だなんで違いますよ」

ジレンマに声をかけたのは寺の住職であった。


続く
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