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呪連鎖編 Newシーズン

2話 相良ジレンマ

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ジレンマはエイトを屋上の庭園に誘った。エイトは渋々男についていった。


(数日間の疲れと2日間意識がなかったせいか、足元がふらつきやがる。
手すりを使わないと転げ落ちていきそうだ。)

非常階段をあがると最上階の踊り場には分厚い鉄の重い扉がある、ギギギギと鉄の摩擦音が反響し光が差し込んできた。

「いい天気だね、今日は」
そういっって背伸びをし男は胸ポケットからタバコを取り出した。

「ちょっとあんた」

「失礼、ここは禁煙かい?💦」

「俺にも一本くれよ」

「エイトくんタバコ吸うんだ?(笑)」

柵越しにみえる街並みを見ながらタバコの味を堪能した。


(母さんの友人と言っていたがその割には初めてみる。
明るい日差しの下で見ると、透き通るような銀色の乱れ髪、黒い細身のシャツ、まくった袖の隙間から見える文字のようなタトゥー、得体の知れないおっさんだ。)


「なんか話があるんだろ?」エイトはタバコの灰皿に投げ込みそういった。

「そうそう!一部始終を教えてくれないかな?この数日間、どこへ行ったか、関連のありそうなことがあれば教えてほしい」

「なんであんたにそんなこと教えないといけないんだよ」

「元凶がわからないと対処が難しい、下手に祓ったらこっちが命を取られるからね、慎重にいきたいんだなぁ」

「祓う?有名な霊能者の水島さんがやられたのに?」

「彼女たちは確かにメディアでも取り上げられ、力もあったと思う、しかし相手がそれ以上だった、民間の団体には限界がある、そこの境目を見切れなかった。。。」

「民間?限界?」


「僕たちの団体というか組織の後ろ盾は。。。。国家なんだ、なんか説明が難しいね、要するに国の監視下にある能力者の組織なんだ」


「あぁよくわかんねぇーし、面倒くさいが、これ以上あんたをいびると母さんがうるさそうだしな。。。覚えてる範囲は話すけど、まだ頭の中がこんがらがってる」

「断片的でもいいよ、あとでつなぎ合わせればいい」

そう言いつつ、俺はこのジレンマという男にタバコをもう一本せがんだ。


ー1週間前

俺は橘エイト21歳、映像の制作会社で働いている、都心にある小さい会社、大手の仕事の面倒なところを請け負ったり仕事は決して楽ではなかった。


ある日そんな小さな会社に飛び込んできた仕事は、人気ホラー映画監督の新作のロケハンの仕事だ。
ドラマとかバラエティ番組とかそういった美味しい仕事はほとんど依頼はなく、どこの会社も拒むであろう、過酷な仕事しかこういった小さな会社には仕事は来ないのが現実だ。

俺は社長でもないし、ただの平社員だから、言われたことをただこなしてるだけの空しい人生だ。

会社の事務所は歓楽街のはずれにある雑居ビル、もともとこの辺りは遊郭で現在も風俗店舗が多く立ち並び
隣のビルも風俗ビルだ。

そんな風俗街も朝は人気もまばらで昨夜の華やかさなど嘘だったかのように静まる。
朝一出勤すると隣の風俗ビルの入口に客引きなのかマスコット的なのか分からないが毎日のように
覇気のない若い女が壁にもたれ立っている。
最近じゃ風営法とかで呼び来みを禁止しているため、無言でたっているのであろうか。


とりあえず隣さんなので「おはようございます」的な挨拶はするがそいつはいつも無言でそっぽ向いてる。

きっとなんらかの理由で強制的に働いているのであろう、愛そうもやる気も感じられない。

エレベーターホールでエレベーターを待っていると

「エイトさん、おはようございます!」

機材をエレベーターにぎっしり積んだ、後輩が下りてきた。

「これを積んだら出れるので早くきてください!」

悩み事もない、いつも元気で明るい1つ下の後輩、鳴海奏ナルミカナデ
小柄で清楚で黒縁眼鏡の後輩、いつも一緒に行動しているが、何分色気がなく独身の俺でも
そそるものがない、そういったパートナーの方が仕事の相棒には向いているのかもしれない。

そのホラー映画をとるロケ地だが東京から1時間半くらいでいける山中でトンネル、橋、ダム、廃墟と
ホラー映画をとるにはもってこいの場所だ。

そこに俺と鳴海とカメラマンの田中さんという中年オヤジと向かう予定だ。

「橘さん忘れものないですか?」

「たぶん、大丈夫だと思うけど、田中さん大丈夫すか?」

「今日は娘の誕生日だから、エイトくんマキでお願いするよ」

そんなこんなで会社のバンに乗り込みロケ地に向かったのであった。

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