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暑い、何でこんなに暑いんだ、夏だからか、そうか、なら仕方ないけど、違う、何か当たって、なんだこのすべすべしたやつ、イルカなの? でもなんで僕イルカと…はっ、イルカは冷たいよね、こんな熱かったら死んじゃうよ、大変だ。
「わぁっ!! イルカ」
「おはよう飛羽、ちなみに、僕はイルカでもないよ」
「あ、おぅ、はよ……夢がちょっと、色々あってな」
ごにょごにょと言い訳して、触っていた昴の背中から、スッと手をひき、のびをして誤魔化す。はぁーー良い天気だな。てか、僕あのまま昴に抱きついて寝てたのか。嫌じゃなかったのかな? チラッと昴をみるけど、目が合うと、ふって笑うの、カッコいいんだよな。さすがアルファ様だよ。無駄にこっちが、赤面するとかまじで、悔しいんですけど。
僕はぴょんとベットから飛び下りて、でっかい窓辺にかかってるカーテンを開けてみた。
「うっわ、お前の部屋、見晴らし最高じゃん!! あ!! 富士山じゃないの? あれ、なぁ」
「たぶんそうかな」
「はーー成功者の窓辺だわこれ、ロマンだわ、くそかっけぇな、家賃、家賃いくら?」
失礼を承知で聞く。普通なら聞かんよ、人様の家の家賃なんて、そんなこと、でもな、なんせ、昴だし、気にしないだろ。最初がひどい出会いかただったせいで、もう僕のなかの虚栄心みたいなのは昴には一ミリもない。聞きたいことは聞くし、言いたいことは言うし、欲しいものは欲しいと伝えるし。
ありのまま過ぎて、もう十年頼の友みたいな位置よ。
「家賃か、うーん、賃貸じゃないから、ちょっと解らないけど、2億くらいで買ったって言ってたかな」
「でたよ、でたでた、2億!! ハーーー、億の部屋だよ、そりゃ、景色良いよ、良いに決まってるわ」
ガラスにはりついて、景色を見る、電車が玩具みたい。道の先が渋滞してるって、あの車は知らないで走ってるんだろな……ぐーー。2億の窓辺に立ってても、腹は減る。すまんな、花より団子で。
「昴、腹へった」
「うん、もうすぐデリバリーが届くから。大丈夫、二人分頼んだから」
「お前ってば、頼りになるやつ」
僕のじとっとした目を見て、すぐに察してくれる頭の回転。頭の良いヤツだよ。すまんね、衣食住のうち、半分以上世話になって。しかも、昨日会っただけのヤツに。
あ、まって、首の治療費も払ってないじゃん、やばい、トータルいくら? すまん、昴……出世払いにしてくれ。
リュックに入ってる自分の財布の中身をみて、がっかりする。バイトでもするかぁ。
「バイト……あっ!! なぁ、昴のへやのハウスクリーニングって、僕がやっちゃだめ? あの、お世話になったし、掃除だろ? 洗濯も? 僕できると思うんだが、ダメかな」
「親がやってる会社の傘下だから、頼めば入れて貰えるけど、本当に?」
「え、お前の親って、医者じゃないの?」
「医者の傍ら社長でもあるんだよ、色んなことやりたい人でさ、どんな仕事やってるかよく解らないくらい幅広く手を出してる」
「でたよ、マルチ能力、なんでも出来ちゃう、何でも成功しちゃうやつな、ったく、どんだけ働いてんのよ、資産えげつないんだろな、はぁ、だめだ、よそう、この会話。うちの親が可愛そうになってくるから。話題変えるわ、だから、ハウスクリーニングを」
僕が話題をまたバイトに戻そうとしたとき、タイミング良くチャイムがポーンと鳴った。デリバリーが来ちゃったね、よし、まず食べよう。玄関にデリバリーを取りに行った昴を流し目でみつつ、僕はコップでも用意しようかと、いそいそと、食卓へ行くと、食事を乗せたキッチンワゴンをコロコロ引いて昴が入ってきた。
「デリバリーって、え? なに、どっから来てるの? なにそのワゴン……よくメイドとか執事がひいてるやつじゃん」
「このビルに入ってるレストランだよ」
「だからか! ピザもいつも食べてるのと違うと思った、量産じゃない、手作りのやつだ、ぐはっ、僕は昴を見誤ってた、これ程とは……え? 昴、まさか王族?」
「プッ、普通の一般人だよ」
ププッて、また笑ってら。いや、でもさ、こんな毎日ってどうなのよ、王族だろこんなん。一般人ではない。一般家庭というのはだな、満員電車に揺られストレスにやられながら毎日遅くまで働く父と、掃除洗濯食事育児に追われる母と……将来結婚したくないなぁーーってほんのり思う、家庭のことだ。昴くんの、生活、違うねぇ。
キッチンワゴンに乗ってる食事がまぁ、これまた旨そうな和食で、おひつに御飯と、お重にオカズ色々、味噌汁と茶碗蒸しときたもんだ、はぁ、日常なの、これが?
僕はもはや、驚き疲れて、腹が欲するままに、おひつから御飯をたんまりよそった。
「昴はご飯どれくらい?」
「飛羽の半分くらいかな」
「おいおい……まじかよ、食わねぇなぁ、まぁ良いか」
昴の分もお茶碗にお米をよそって、テーブルへおく。メチャクチャ豪華なんだが。え、まって、今日お前の誕生日とかじゃないんだよな?
「はぁ、なんだろ、幸せな光景すぎる。色々辛い事が霞んできたわ、ありがとなぁ昴」
「僕の力ではないのだけどもね、まぁ、飛羽が元気になってよかったよ」
元気になったよ、ありがとなぁ。寝てる時に抱き付いたり、八つ当たりしたり、お前に好かれる事なんもしてないわ。しかも、言葉遣いとかも、ひどいし、可愛げないな。付き合うって、言ったけど……帰ったらもう、夢だったみたいなオチになりそう。それくらい、現実味ないよ。
「わぁっ!! イルカ」
「おはよう飛羽、ちなみに、僕はイルカでもないよ」
「あ、おぅ、はよ……夢がちょっと、色々あってな」
ごにょごにょと言い訳して、触っていた昴の背中から、スッと手をひき、のびをして誤魔化す。はぁーー良い天気だな。てか、僕あのまま昴に抱きついて寝てたのか。嫌じゃなかったのかな? チラッと昴をみるけど、目が合うと、ふって笑うの、カッコいいんだよな。さすがアルファ様だよ。無駄にこっちが、赤面するとかまじで、悔しいんですけど。
僕はぴょんとベットから飛び下りて、でっかい窓辺にかかってるカーテンを開けてみた。
「うっわ、お前の部屋、見晴らし最高じゃん!! あ!! 富士山じゃないの? あれ、なぁ」
「たぶんそうかな」
「はーー成功者の窓辺だわこれ、ロマンだわ、くそかっけぇな、家賃、家賃いくら?」
失礼を承知で聞く。普通なら聞かんよ、人様の家の家賃なんて、そんなこと、でもな、なんせ、昴だし、気にしないだろ。最初がひどい出会いかただったせいで、もう僕のなかの虚栄心みたいなのは昴には一ミリもない。聞きたいことは聞くし、言いたいことは言うし、欲しいものは欲しいと伝えるし。
ありのまま過ぎて、もう十年頼の友みたいな位置よ。
「家賃か、うーん、賃貸じゃないから、ちょっと解らないけど、2億くらいで買ったって言ってたかな」
「でたよ、でたでた、2億!! ハーーー、億の部屋だよ、そりゃ、景色良いよ、良いに決まってるわ」
ガラスにはりついて、景色を見る、電車が玩具みたい。道の先が渋滞してるって、あの車は知らないで走ってるんだろな……ぐーー。2億の窓辺に立ってても、腹は減る。すまんな、花より団子で。
「昴、腹へった」
「うん、もうすぐデリバリーが届くから。大丈夫、二人分頼んだから」
「お前ってば、頼りになるやつ」
僕のじとっとした目を見て、すぐに察してくれる頭の回転。頭の良いヤツだよ。すまんね、衣食住のうち、半分以上世話になって。しかも、昨日会っただけのヤツに。
あ、まって、首の治療費も払ってないじゃん、やばい、トータルいくら? すまん、昴……出世払いにしてくれ。
リュックに入ってる自分の財布の中身をみて、がっかりする。バイトでもするかぁ。
「バイト……あっ!! なぁ、昴のへやのハウスクリーニングって、僕がやっちゃだめ? あの、お世話になったし、掃除だろ? 洗濯も? 僕できると思うんだが、ダメかな」
「親がやってる会社の傘下だから、頼めば入れて貰えるけど、本当に?」
「え、お前の親って、医者じゃないの?」
「医者の傍ら社長でもあるんだよ、色んなことやりたい人でさ、どんな仕事やってるかよく解らないくらい幅広く手を出してる」
「でたよ、マルチ能力、なんでも出来ちゃう、何でも成功しちゃうやつな、ったく、どんだけ働いてんのよ、資産えげつないんだろな、はぁ、だめだ、よそう、この会話。うちの親が可愛そうになってくるから。話題変えるわ、だから、ハウスクリーニングを」
僕が話題をまたバイトに戻そうとしたとき、タイミング良くチャイムがポーンと鳴った。デリバリーが来ちゃったね、よし、まず食べよう。玄関にデリバリーを取りに行った昴を流し目でみつつ、僕はコップでも用意しようかと、いそいそと、食卓へ行くと、食事を乗せたキッチンワゴンをコロコロ引いて昴が入ってきた。
「デリバリーって、え? なに、どっから来てるの? なにそのワゴン……よくメイドとか執事がひいてるやつじゃん」
「このビルに入ってるレストランだよ」
「だからか! ピザもいつも食べてるのと違うと思った、量産じゃない、手作りのやつだ、ぐはっ、僕は昴を見誤ってた、これ程とは……え? 昴、まさか王族?」
「プッ、普通の一般人だよ」
ププッて、また笑ってら。いや、でもさ、こんな毎日ってどうなのよ、王族だろこんなん。一般人ではない。一般家庭というのはだな、満員電車に揺られストレスにやられながら毎日遅くまで働く父と、掃除洗濯食事育児に追われる母と……将来結婚したくないなぁーーってほんのり思う、家庭のことだ。昴くんの、生活、違うねぇ。
キッチンワゴンに乗ってる食事がまぁ、これまた旨そうな和食で、おひつに御飯と、お重にオカズ色々、味噌汁と茶碗蒸しときたもんだ、はぁ、日常なの、これが?
僕はもはや、驚き疲れて、腹が欲するままに、おひつから御飯をたんまりよそった。
「昴はご飯どれくらい?」
「飛羽の半分くらいかな」
「おいおい……まじかよ、食わねぇなぁ、まぁ良いか」
昴の分もお茶碗にお米をよそって、テーブルへおく。メチャクチャ豪華なんだが。え、まって、今日お前の誕生日とかじゃないんだよな?
「はぁ、なんだろ、幸せな光景すぎる。色々辛い事が霞んできたわ、ありがとなぁ昴」
「僕の力ではないのだけどもね、まぁ、飛羽が元気になってよかったよ」
元気になったよ、ありがとなぁ。寝てる時に抱き付いたり、八つ当たりしたり、お前に好かれる事なんもしてないわ。しかも、言葉遣いとかも、ひどいし、可愛げないな。付き合うって、言ったけど……帰ったらもう、夢だったみたいなオチになりそう。それくらい、現実味ないよ。
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