前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい

夜鳥すぱり

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45 過保護

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 僕の手の事を聞いたラクロア様が弾丸のように帰ってきて、むんずと、僕の手を掴んだ。

「ニャ、ニャ、ニャ……ニャリスっ!!何をしてるんだ、こ、こんな、こんなに、皮が……あぁぁぁ、医者にはちゃんと見せたのか、消毒は」
「もう全部やったの」

「包帯巻いた方が」
「医者様が乾燥させた方が良いって」

「だが、しかし、そんな、だってこんなに」

オロオロするラクロア様に、僕は平気なのと言い続けた。昔はもっと僕はボロボロだったし、ちょっと豆が潰れて皮がはげただけなんて、大したことじゃないの。

野良猫だったとき、氷の上を歩いて肉球が焼き付いて痛かったのに比べたら全然大丈夫なの。

そう言ったら、ラクロア様は真っ青になっちゃった。

「肉球が……あぁぁぁ」
「昔の話なの、ラクロア様は少し過保護なの、大丈夫だから、心配しないで、トマスさんを怒らないでね」

「うっ……いや、だが、トマスはちょっと」
「怒らないでね」
「……解った」

ラクロア様は、トマスさんを解雇しそうになってたみたいで、良かった、注意しといて。

だいたい、僕の手がフヨフヨしてるのが悪いのだし、運動をした方が良いって言ったのはラクロア様だし、トマスさんは何も悪くないの。

僕は、ラクロア様の大きくてゴツゴツした手のひらをそっと触った。とっても皮膚が硬い。僕の手と全然違う。

「僕も頑張ったら、ラクロア様みたいな手になれる?」
「え?俺の手は、汚いから、ニャリスはこのまま綺麗な可愛い手で良いだろ」

「は?僕もラクロア様みたいになりたいの」
「ならんで良い、危ないことはせんで良い」

「あっ、またそういう事を言う!!」

僕はぷぅっと、頬を膨らませた。また守らなくて良いって言うんだ。

「僕、強くなるんだから」
「いや、だがな、お前はまだ小さいんだし」
「僕もう14なの、大人なの」

「14?お前はまだ13だろ?」

ラクロア様が不思議そうな顔をした、だって今日は僕の産まれた日だもの。

「僕の誕生日だもの、14になったんだよ」
「なんだってぇぇぇ!!!!」

ラクロア様が、余りに大きな声をだしたから、部屋の外の護衛の騎士さまが、三人もあわてて入ってきた。

「ラクロア様、どうなされましたか!!」
「御無事ですか!!」
「何事ですか!!」

「や、いや、すぐに執事のジルベルトと、メイド長のナスリを呼んでくれ」
「ハッ」

騎士達が我先にと部屋を出ていく。僕は、こてっと小首を傾げた。ラクロア様ってば、頭を抱えて、どうしちゃったのかしら。





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