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王以外にしてはならず
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大きな風呂は、少しぬるくて、そこら辺猫の国という感じがした。いまいち、ピリッとしないが、まぁ仕方ない。郷に入りては郷に従えというもので、ここの文化に口出しするのはやめないと。
風呂からでると、脱衣所に新しい服が置いてあった。シャラシャラとした布は絹だろうか、女の人が着るような服に思えたが、神官の猫人達もこんな服を着ていたし、ここでは一般的な服装なのだろう。
ズボンを紐でぎゅっとしばって、サンダルみたいな履き物を履いて脱衣所から出ると、クロトが丁度飲み物を持ってきてくれたので、藤で編んだ優雅な椅子にすわって、差し出された飲み物を飲んだ。
「うまっ、なんだろこれ」
「ココナッツの汁でございます」
「あーーそうだ、それそれ、うまいね」
「はい、猫人族はココナッツ汁で育つと言っても過言でないくらいこの飲み物を好んで飲むのです、渚様のお口に合って良かったです」
ニッコリと笑うクロトの頭をワシャワシャなぜたくなる衝動を押さえて、さてと、立ち上がった。
「さて、地図を見たいんだけど」
「はい、では、お食事の前に書物庫へご案内いたしますね」
「おお、書物庫ね、図書館みたいなものかな」
クロトの後を付いていくと、重厚な扉の前で、神官が二人ほど扉番をしていて、クロトを見て頭を下げ、扉を開けた。
クロトは俺の世話係といっていたが、もしかしたら結構身分が高かったりするのかな、見目も良いし、それに他の猫は白とか、茶色とか凡庸な色の猫耳をしているが、真っ黒で艶々なのはクロトだけだ。ここは、黒の王国だと言ってたし、もしかしてクロトって。
「なぁ、クロトってどういう身分なの?」
「僕ですか、僕は黒の国の王です」
「王!?え?王様のこと?」
「はい」
「え、クロトまだ14でしょ?もう王様なの?」
「歳はあまり、関係がないのです、前の王は158歳で14年前に無くなり、そして直ぐに僕が産まれ王になりました」
「え?158歳で子供を作ったの?」
「あ、いえ、僕と前王は血縁はないのです、多少親戚筋ではありますが、この国で王になるものは黒猫のみと決まっておりまして、その黒猫は何故か国に1人しか存在しないので、前王が死すると直ぐに次の黒猫が生まれ、王だと解るのです」
「へーーーでも、突然王に選ばれたら、親御さんびっくりだろ」
「そうですね、僕の産みの親は庶民に近い貴族でしたから僕が黒猫として産まれてかなり大騒ぎになったそうですが、なにぶん、産まれてすぐこの王宮に目仕上げられ王の教育をうけてきたので、あまり産みの親のこと解らないのです」
さらりと、何でもないみたいに言ってるけど、凄い理不尽じゃない?
「でも、クロト……親に会いたいだろ?」
「物心付く頃には、親と離れておりましたからあまりそういった感情はないのです、先ほど渚様とお会いした白耳の神官がおりましたが、あの方が僕の育ての親でして、この国の大神官なのですが」
「うぁ、そーだったの」
大神官ていうには、そりゃ身分が高いんだろなと、失礼な態度をとらなかったかと青ざめる。
でも、言われてみれば納得、クロトの育ちが良い感じは、大切に育てられた生粋の王だったのだ。
「でもさ、王様が俺の世話なんてそんなことしなきゃならないの?他のヤツに押し付ければ良いのに」
「えっ、とんでもない、渚様のお世話をそんな王以外にまかせるなんて、そんな」
なんか、えらくドン引きしてて、こっちこそ、え?となる。
「なんか、本当に生き神様みたいな扱いなのかな、俺」
「はい、渚様のお世話は決して王以外にしてはならず、久遠の歴代の王がずっと努めてまいりましたし、僕も最大の誉れと思っております」
胸に手をあて、凛とした態度で言われると、なんだか、こそばゆいが、悪い気はしない。
「そっか、ありがと」
「はい」
黒耳の艶々した、若い王は、とても誇らしく笑った。なんて可愛いんだろう。
風呂からでると、脱衣所に新しい服が置いてあった。シャラシャラとした布は絹だろうか、女の人が着るような服に思えたが、神官の猫人達もこんな服を着ていたし、ここでは一般的な服装なのだろう。
ズボンを紐でぎゅっとしばって、サンダルみたいな履き物を履いて脱衣所から出ると、クロトが丁度飲み物を持ってきてくれたので、藤で編んだ優雅な椅子にすわって、差し出された飲み物を飲んだ。
「うまっ、なんだろこれ」
「ココナッツの汁でございます」
「あーーそうだ、それそれ、うまいね」
「はい、猫人族はココナッツ汁で育つと言っても過言でないくらいこの飲み物を好んで飲むのです、渚様のお口に合って良かったです」
ニッコリと笑うクロトの頭をワシャワシャなぜたくなる衝動を押さえて、さてと、立ち上がった。
「さて、地図を見たいんだけど」
「はい、では、お食事の前に書物庫へご案内いたしますね」
「おお、書物庫ね、図書館みたいなものかな」
クロトの後を付いていくと、重厚な扉の前で、神官が二人ほど扉番をしていて、クロトを見て頭を下げ、扉を開けた。
クロトは俺の世話係といっていたが、もしかしたら結構身分が高かったりするのかな、見目も良いし、それに他の猫は白とか、茶色とか凡庸な色の猫耳をしているが、真っ黒で艶々なのはクロトだけだ。ここは、黒の王国だと言ってたし、もしかしてクロトって。
「なぁ、クロトってどういう身分なの?」
「僕ですか、僕は黒の国の王です」
「王!?え?王様のこと?」
「はい」
「え、クロトまだ14でしょ?もう王様なの?」
「歳はあまり、関係がないのです、前の王は158歳で14年前に無くなり、そして直ぐに僕が産まれ王になりました」
「え?158歳で子供を作ったの?」
「あ、いえ、僕と前王は血縁はないのです、多少親戚筋ではありますが、この国で王になるものは黒猫のみと決まっておりまして、その黒猫は何故か国に1人しか存在しないので、前王が死すると直ぐに次の黒猫が生まれ、王だと解るのです」
「へーーーでも、突然王に選ばれたら、親御さんびっくりだろ」
「そうですね、僕の産みの親は庶民に近い貴族でしたから僕が黒猫として産まれてかなり大騒ぎになったそうですが、なにぶん、産まれてすぐこの王宮に目仕上げられ王の教育をうけてきたので、あまり産みの親のこと解らないのです」
さらりと、何でもないみたいに言ってるけど、凄い理不尽じゃない?
「でも、クロト……親に会いたいだろ?」
「物心付く頃には、親と離れておりましたからあまりそういった感情はないのです、先ほど渚様とお会いした白耳の神官がおりましたが、あの方が僕の育ての親でして、この国の大神官なのですが」
「うぁ、そーだったの」
大神官ていうには、そりゃ身分が高いんだろなと、失礼な態度をとらなかったかと青ざめる。
でも、言われてみれば納得、クロトの育ちが良い感じは、大切に育てられた生粋の王だったのだ。
「でもさ、王様が俺の世話なんてそんなことしなきゃならないの?他のヤツに押し付ければ良いのに」
「えっ、とんでもない、渚様のお世話をそんな王以外にまかせるなんて、そんな」
なんか、えらくドン引きしてて、こっちこそ、え?となる。
「なんか、本当に生き神様みたいな扱いなのかな、俺」
「はい、渚様のお世話は決して王以外にしてはならず、久遠の歴代の王がずっと努めてまいりましたし、僕も最大の誉れと思っております」
胸に手をあて、凛とした態度で言われると、なんだか、こそばゆいが、悪い気はしない。
「そっか、ありがと」
「はい」
黒耳の艶々した、若い王は、とても誇らしく笑った。なんて可愛いんだろう。
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