3 / 5
第1章大好きだよ
第3話 ライバル?それとも友達?その名は国久
しおりを挟む
ホテルは高級ホテルと言われてるだけあって、大通りに面してる。
暫しばらく歩くと、突然ヤンキーみたいな怖そうな人が三人で僕を取り囲んできた。
「ねー、僕。ちょっとお金貸してくれないかな? どうしてもお金要るんだよね」
制服に身を包つつんでたけどだらしなくてパンツも見えてる格好かっこうした人達……
一人は金髪に細身の体でもう一人は背が高くて長髪の黒髪をだらしなく手入れもしてなさそうに向きたい方向に勝手に向かせてる様な人で残りの一人は背が低くて太っちょで制服もギリギリ入ってますよ?みたいな体格をした三人組。
恥ずかしくないのかな? なんてことをシラッと思いながら返事する。
「すいません。お金持ってないので貸してと言われても困ります」
僕ってどれだけ口から出任でまかせでもなんでも言えるんだろう?
「そんな事ないよな? さっきレストランに一人で居ただろ! ちゃんと見てたんだからな! 」声を掛けて来た人とは別の人が僕の胸倉むなぐらを掴みながら怒鳴り散らし始める。
(そんな所まで見てたなんてもしかしてストーカー? )
ストーカーみたいな事をされるとさすがに怖くなって、手足がガタガタ震えだす。
「優夜君どうかしたの? 」ノンビリした声が聞こえてきた。
この声は亮輔兄ちゃん?
何でここに居る訳?
頭はパニック状態で、手足はガタガタ震えて動かないし。
「あぁ? へー、コイツでもいいか。 ねーお金貸してくれない? 」僕の周りに居た奴等は亮輔兄ちゃんの方にターゲットを変えたらしく、僕を掴んでた手を離すとその場に座り込んでしまう。
「貸してもいいですが、学校名と学年とクラスと名前それを借用書に書いてくださるという事ですね? 」冷静に亮輔兄ちゃんは返してるけど大丈夫なのかな? 不安だよ。
「あー? そんなの書かなくったってちゃんと返すって」リーダー? 見たいな人が亮輔兄ちゃんの襟えりを掴みあげる。
「えっと、全員、金ヶ竹高校ですね。学年とクラスは確か二年C組。名前は……右から、見篠宮圭太郎さんと斎賀達弘さんと三嶋怜さんですね? とりあえず保護者さんに確認しますのでそのまま待ってもらってもいいですか? 」周りの高校生達はどんどん蒼褪めて亮輔兄ちゃんが携帯電話を取り出した時には脱兎だっとの如く逃げて行った。
「大丈夫? 優夜、怖かったろ」ニッコリ笑いながら僕の横に来て静かに膝をつき、僕を抱きしめてくれる。
亮輔兄ちゃんに何かあったらどうしようってばかり不安で怖くて心細かったんだ。
ぎゅーって抱きしめられてから一分位経った時涙が止め処なく溢れ出してきて、何十分かそのまま泣き続けた。
やっとで泣き止んだ頃亮輔兄ちゃんが聞いてくる。
「優夜君なんか急いでたみたいだったけど時間大丈夫? もし不安なら待ち合わせ場所まで一緒に行くよ。何処に行く所だったの?」
なんて聞いてくるから助けてもらったし正直に話す事にした。
「そこのファミレスに用事。でも、もう用事無くなっちゃった」涙を手の甲で拭いながら、照れ笑いと共に言う。
「そっか。用事無くなっちゃったんだ。そしたら、僕と用事作らない? 嫌じゃなければだけどさ」
「え? 用事作るっておじさんは? さっきの店に一人で居るんじゃないの? 」
「居るよ。だけど元々お父さんは仕事ばかりにかまけて僕なんて相手にしてなかったし、今更話すって言っても話題思いつかないし。それだったら年が近くて話題が一杯ありそうな優夜君と一緒に居た方が楽しいって思うんだけど、駄目かな? 」ただでさえかっこいい顔を間近で見せられた挙句あげく、優しく微笑まれたりしたら僕だけじゃなくて世界中何処探したって断れる人一人も居ないと思えるほど魅力的で、少女漫画だったりしたら背景にバラの花とか何かの花とかが一杯敷き詰められてそうな見蕩みとれる顔。
そんなかっこいい人を目の前にして誰がお誘いを断れますか?
断れる人居たらつれて来い!
「うん。いいよ」素っ気無い返事になっちゃったけど仕方ないよね?
実際、見蕩れすぎてて夢の様な感覚で答えてちゃってるし。
でも、まだ手足がガタガタ震えてて力入らないんだ。
困惑してると不意に体が宙に浮く。
吃驚して辺りをキョロキョロ見回しちゃったよ。
よくあるんだけど、いきなり手を引かれて、変なホテル街とかに連れ込まれそうになったり、誘拐? されそうになったり。そんな事が多かったせいか、体が宙に浮くとかいきなり手を引かれるとか凄く敏感になってる。
少しずつ落ち着きを取り戻してきたときに漸ようやく亮輔兄ちゃんが僕をお姫様抱っこしてる事に気付いた。
理解した途端恥ずかしさで僕の耳まで一瞬で茹で蛸みたいに染まってしまう。体中の血液が一気に顔だけに集中する様な。顔が熱い。
「あれ? 姫。こんな所で何やってんの? 」
え? 何で国久がこんな所に居んの?
国久は、幼稚園からの付き合いでいわゆる腐れ縁ってやつ。
国久は腐れ縁ってだけじゃなくてちょっと危ない系?の人気者。ワイルドでかっこよくて喧嘩も強くて。でも、優しい。女子からの人気は絶大でファンクラブも簡単に出来てしまうような人気ぶり。それでも不思議と彼女だけは影も形も無いのが不思議な位。
男なのに顔が可愛いからって友達やクラスの連中だけじゃなくて、目の前に居る国久からも姫! 姫! って皆して呼ぶから、いちいち怒鳴るのもめんどくさくなって今じゃ僕も許してる。
でも、さすがにお母さんの結婚の挨拶の時は姫とか呼ばれたくなかったからわざわざ新幹線で六駅も離れてる上に都心で人通りが多い場所じゃないと会わない! って宣言して無理やりお母さんを捻じ伏せたのにー! 何で会うんだよ。
もしも、お母さんが結婚したら兄になる人の前で言われたもんだから何でか判らないけど頭に血が上るのを自覚する。
「姫ってもしかして優夜君の事? 」と、亮輔兄ちゃんが国久に笑いを堪えながら聞いてるし。
何でわざわざ聞くんだよ!
絶対面白がってんだろ!
「そうですけど、もしかしてひめの、彼氏か? ここ最近姫、付き合い悪いから、誰かと付き合ってるのか? って皆で話してたんだけど、まさか彼氏とはな」ここで誤解解こうとしても隠すなとか何とか言い始めて無駄なだけだから誤解を解く事自体めんどくさくなって来たし、さっき亮輔兄ちゃん思いっきり面白がってた仕返しもしたくなって悪乗りしてやろう。
「そうなの。今、デート中でこれからファミレスに行って食事でもしようかな? って話してたんだ。だから国久またね。亮輔行こう」デート中と言ってしまった手前、仮かりでも僕の彼氏? になってしまって唖然としてる亮輔兄ちゃんの頬ほほに唇を押し当てる。
その瞬間、僕の心臓がドクンと一際大きく脈打つ。
それに驚いて腕の中から飛び降りそのままファミリーレストランへと固まっちゃってる手を引き連行しようと躍起やっきになる。
「マジかよ、優ちゃん。冗談きついよ」何でか知らないけど国久が泣きそうな顔してた。
それに、幼稚園の時に呼んでた呼び方に戻ってるし。本人気付いてなさそうだけど……
でも、今更誤解解こうとも思わなくて、誤解のまま適当に話す事にする。
「そんな訳ないでしょ? 亮輔は正真正銘僕の彼氏。でも、皆にはまだ秘密ね。恥ずかしいから」
何で誤解を解かないでこんなに意固地いこじになってるんだろう?
なんだか自分の気持ちが判わかんなくなっちゃった。
国久に対する気持ちは変わらないけど、亮輔兄ちゃんに対しての気持ちが……
「本当に付き合ってるんだったらキスしてみろよ! 恋人なら出来るだろ」泣きそうな顔してると思ったら今度はガラリと変わっていきなり国久が怒り出す。
国久ってこんなに怒るやつじゃないんだけどな。
「え? キス? 何で? 」
適当に国久をあしらおうかと思ってたのに何でここで亮輔戻ってきちゃうかな。
その上国久に詰め寄っちゃってるし。
亮輔兄ちゃんって間が悪いって言うかどんくさいって言った方が正しいのか僕に任せてくれれば、簡単に終わるはずなのに……
例えそれが誤解されたままだったとしてもね。
でも、亮輔兄ちゃんの事また一つわかったから、良しとするか。頭の中のメモ用紙に亮輔兄ちゃんは間が悪くてどんくさいと書き込む。
「亮輔。そんなに国久に迫ったら国久びっくりするだろ? 国久もキスしろって言われても見世物じゃないし、って……うわっ! 」いきなり亮輔の体が僕の方に飛んできた。
亮輔だから頑張って支えたけどさ。
でも、亮輔の体が飛んできた原因は国久に違いない。
国久に目を向けると国久は一直線に亮輔を拳を握り締め睨み付けたままこっちに走ってくる。
亮輔の左頬が赤くなっちゃってるし。すぐに国久に殴られたんだと理解する。
(このままじゃ、亮輔蛸殴りにされちゃう! )と思い浮かんだ途端体が勝手に動いてた。
国久と亮輔の間に入り、国久に怒声を浴びせる。
「国久! テメー、亮輔に何してんだよ! これ以上亮輔に何かしたら絶対許さねーかんな! 」
僕って元々怒らないし自分で言うのも変かもしれないけど、姫って呼ばれて冗談半分で怒るときとは違って、完全に怒りのみ、みたいな怒り方は三年に一回怒ったらよく怒ったって言われるくらい怒らない。国久は御冠の僕の言葉を聞いた途端目を見開いて振り下ろした拳を止めようとしてるみたいだけど、一発は仕方ないかと思う。
国久は殴り合いの喧嘩じゃ学校内で、負け知らずって位強い。
多分僕一人くらい一発で何メートルか吹っ飛ぶくらい尋常じゃない力持ってるんだ。
でも、ここを飛ばされたら亮輔が凧殴りにされる!
退くものか! 足を踏ん張り、国久の一撃に耐える準備をする。
負けるわけにはいかない!
国久だろうと例えプロのボクサー相手だろうと。
バキッ!
左頬に痛みが一瞬走るけど、痛みは怒りに変わり、お返しにとばかりに右手を握り締め国久の頬をぶん殴る。
僕が殴るなんて今まで生きてきた中で一回もなかった事だから国久からしたら踏ん張る前に力抜けちゃったって感じでこっち見てた。
たった一発だけじゃ気が済まなかったから国久の体の上に馬乗りになり服の襟首を掴んで右手を振り上げる。
亮輔を例え一発だけだったとしても殴った事が許せなくて、目に零れんばかりの涙が溜まり、拳を振り下ろした時に涙が頬を濡らした。
「優夜! やめろ! 」
振り下ろした拳は誰かの手に止められる。
「止めないでよ亮輔! 亮輔を殴った事絶対許さん! 」国久の襟首を掴んでいた手を離して再度拳に力を込め振り下ろす。
「これ以上国久君を殴ったら嫌いになるからな! 」
頭に上ってた血が一気に下がる。
国久はいくら殴っても、もうどうだっていいけど、亮輔から嫌われたくない。
人を殴る事自体無かったから拳は簡単に止まってくれた。国久の頬ギリギリだったけど。
亮輔兄ちゃんは僕の拳が止まったのを確認して国久の上から僕を退どける。
「国久君ごめんね。痛かったでしょ? 」優しい言葉言いながら国久の頬を摩さする。
そんな事しなくていいのに! 国久なんて放っとけばいいんだ! こんな奴! こんな奴! こんなヤツー!
亮輔兄ちゃんの行動で再度頭に血が上った僕はこれも国久のせいと言わんばかりに睨み付けそのまま一人だけファミレスに足を向ける。
「優夜待ちなさい。国久君にちゃんと謝りなさい! 」
腕を掴まれてファミレスに行く事を阻はばまれた。
「何で僕が謝んなきゃいけない訳? 大体コイツが亮輔をいきなり殴るのがいけないんだろ! 」言い終わらない内に思いがけない方向から平手が僕の頬に飛んできた。
「国久君の事コイツなんて言っちゃ駄目だろ! 」
亮輔兄ちゃんってば国久の肩ばかり持って! 僕よりも国久の方が好きなの?
別に付き合ってる訳じゃないけど、僕が殴られたときは怒らないで、何で今なのさ!
「謝らないよ! 別に悪い事してないもん! 用事あるから先行くね! 」頭にきてるし胸に嫌なモヤモヤが出てきてそのまま泊りがけで顔合わせに行こうって気分でもなかったから亮輔兄ちゃんの手を振り払って自分の家に向かって走り出す。
うしろで国久が謝る叫び声が聞こえたけど僕にとってはもうどうだっていい。
暫しばらく歩くと、突然ヤンキーみたいな怖そうな人が三人で僕を取り囲んできた。
「ねー、僕。ちょっとお金貸してくれないかな? どうしてもお金要るんだよね」
制服に身を包つつんでたけどだらしなくてパンツも見えてる格好かっこうした人達……
一人は金髪に細身の体でもう一人は背が高くて長髪の黒髪をだらしなく手入れもしてなさそうに向きたい方向に勝手に向かせてる様な人で残りの一人は背が低くて太っちょで制服もギリギリ入ってますよ?みたいな体格をした三人組。
恥ずかしくないのかな? なんてことをシラッと思いながら返事する。
「すいません。お金持ってないので貸してと言われても困ります」
僕ってどれだけ口から出任でまかせでもなんでも言えるんだろう?
「そんな事ないよな? さっきレストランに一人で居ただろ! ちゃんと見てたんだからな! 」声を掛けて来た人とは別の人が僕の胸倉むなぐらを掴みながら怒鳴り散らし始める。
(そんな所まで見てたなんてもしかしてストーカー? )
ストーカーみたいな事をされるとさすがに怖くなって、手足がガタガタ震えだす。
「優夜君どうかしたの? 」ノンビリした声が聞こえてきた。
この声は亮輔兄ちゃん?
何でここに居る訳?
頭はパニック状態で、手足はガタガタ震えて動かないし。
「あぁ? へー、コイツでもいいか。 ねーお金貸してくれない? 」僕の周りに居た奴等は亮輔兄ちゃんの方にターゲットを変えたらしく、僕を掴んでた手を離すとその場に座り込んでしまう。
「貸してもいいですが、学校名と学年とクラスと名前それを借用書に書いてくださるという事ですね? 」冷静に亮輔兄ちゃんは返してるけど大丈夫なのかな? 不安だよ。
「あー? そんなの書かなくったってちゃんと返すって」リーダー? 見たいな人が亮輔兄ちゃんの襟えりを掴みあげる。
「えっと、全員、金ヶ竹高校ですね。学年とクラスは確か二年C組。名前は……右から、見篠宮圭太郎さんと斎賀達弘さんと三嶋怜さんですね? とりあえず保護者さんに確認しますのでそのまま待ってもらってもいいですか? 」周りの高校生達はどんどん蒼褪めて亮輔兄ちゃんが携帯電話を取り出した時には脱兎だっとの如く逃げて行った。
「大丈夫? 優夜、怖かったろ」ニッコリ笑いながら僕の横に来て静かに膝をつき、僕を抱きしめてくれる。
亮輔兄ちゃんに何かあったらどうしようってばかり不安で怖くて心細かったんだ。
ぎゅーって抱きしめられてから一分位経った時涙が止め処なく溢れ出してきて、何十分かそのまま泣き続けた。
やっとで泣き止んだ頃亮輔兄ちゃんが聞いてくる。
「優夜君なんか急いでたみたいだったけど時間大丈夫? もし不安なら待ち合わせ場所まで一緒に行くよ。何処に行く所だったの?」
なんて聞いてくるから助けてもらったし正直に話す事にした。
「そこのファミレスに用事。でも、もう用事無くなっちゃった」涙を手の甲で拭いながら、照れ笑いと共に言う。
「そっか。用事無くなっちゃったんだ。そしたら、僕と用事作らない? 嫌じゃなければだけどさ」
「え? 用事作るっておじさんは? さっきの店に一人で居るんじゃないの? 」
「居るよ。だけど元々お父さんは仕事ばかりにかまけて僕なんて相手にしてなかったし、今更話すって言っても話題思いつかないし。それだったら年が近くて話題が一杯ありそうな優夜君と一緒に居た方が楽しいって思うんだけど、駄目かな? 」ただでさえかっこいい顔を間近で見せられた挙句あげく、優しく微笑まれたりしたら僕だけじゃなくて世界中何処探したって断れる人一人も居ないと思えるほど魅力的で、少女漫画だったりしたら背景にバラの花とか何かの花とかが一杯敷き詰められてそうな見蕩みとれる顔。
そんなかっこいい人を目の前にして誰がお誘いを断れますか?
断れる人居たらつれて来い!
「うん。いいよ」素っ気無い返事になっちゃったけど仕方ないよね?
実際、見蕩れすぎてて夢の様な感覚で答えてちゃってるし。
でも、まだ手足がガタガタ震えてて力入らないんだ。
困惑してると不意に体が宙に浮く。
吃驚して辺りをキョロキョロ見回しちゃったよ。
よくあるんだけど、いきなり手を引かれて、変なホテル街とかに連れ込まれそうになったり、誘拐? されそうになったり。そんな事が多かったせいか、体が宙に浮くとかいきなり手を引かれるとか凄く敏感になってる。
少しずつ落ち着きを取り戻してきたときに漸ようやく亮輔兄ちゃんが僕をお姫様抱っこしてる事に気付いた。
理解した途端恥ずかしさで僕の耳まで一瞬で茹で蛸みたいに染まってしまう。体中の血液が一気に顔だけに集中する様な。顔が熱い。
「あれ? 姫。こんな所で何やってんの? 」
え? 何で国久がこんな所に居んの?
国久は、幼稚園からの付き合いでいわゆる腐れ縁ってやつ。
国久は腐れ縁ってだけじゃなくてちょっと危ない系?の人気者。ワイルドでかっこよくて喧嘩も強くて。でも、優しい。女子からの人気は絶大でファンクラブも簡単に出来てしまうような人気ぶり。それでも不思議と彼女だけは影も形も無いのが不思議な位。
男なのに顔が可愛いからって友達やクラスの連中だけじゃなくて、目の前に居る国久からも姫! 姫! って皆して呼ぶから、いちいち怒鳴るのもめんどくさくなって今じゃ僕も許してる。
でも、さすがにお母さんの結婚の挨拶の時は姫とか呼ばれたくなかったからわざわざ新幹線で六駅も離れてる上に都心で人通りが多い場所じゃないと会わない! って宣言して無理やりお母さんを捻じ伏せたのにー! 何で会うんだよ。
もしも、お母さんが結婚したら兄になる人の前で言われたもんだから何でか判らないけど頭に血が上るのを自覚する。
「姫ってもしかして優夜君の事? 」と、亮輔兄ちゃんが国久に笑いを堪えながら聞いてるし。
何でわざわざ聞くんだよ!
絶対面白がってんだろ!
「そうですけど、もしかしてひめの、彼氏か? ここ最近姫、付き合い悪いから、誰かと付き合ってるのか? って皆で話してたんだけど、まさか彼氏とはな」ここで誤解解こうとしても隠すなとか何とか言い始めて無駄なだけだから誤解を解く事自体めんどくさくなって来たし、さっき亮輔兄ちゃん思いっきり面白がってた仕返しもしたくなって悪乗りしてやろう。
「そうなの。今、デート中でこれからファミレスに行って食事でもしようかな? って話してたんだ。だから国久またね。亮輔行こう」デート中と言ってしまった手前、仮かりでも僕の彼氏? になってしまって唖然としてる亮輔兄ちゃんの頬ほほに唇を押し当てる。
その瞬間、僕の心臓がドクンと一際大きく脈打つ。
それに驚いて腕の中から飛び降りそのままファミリーレストランへと固まっちゃってる手を引き連行しようと躍起やっきになる。
「マジかよ、優ちゃん。冗談きついよ」何でか知らないけど国久が泣きそうな顔してた。
それに、幼稚園の時に呼んでた呼び方に戻ってるし。本人気付いてなさそうだけど……
でも、今更誤解解こうとも思わなくて、誤解のまま適当に話す事にする。
「そんな訳ないでしょ? 亮輔は正真正銘僕の彼氏。でも、皆にはまだ秘密ね。恥ずかしいから」
何で誤解を解かないでこんなに意固地いこじになってるんだろう?
なんだか自分の気持ちが判わかんなくなっちゃった。
国久に対する気持ちは変わらないけど、亮輔兄ちゃんに対しての気持ちが……
「本当に付き合ってるんだったらキスしてみろよ! 恋人なら出来るだろ」泣きそうな顔してると思ったら今度はガラリと変わっていきなり国久が怒り出す。
国久ってこんなに怒るやつじゃないんだけどな。
「え? キス? 何で? 」
適当に国久をあしらおうかと思ってたのに何でここで亮輔戻ってきちゃうかな。
その上国久に詰め寄っちゃってるし。
亮輔兄ちゃんって間が悪いって言うかどんくさいって言った方が正しいのか僕に任せてくれれば、簡単に終わるはずなのに……
例えそれが誤解されたままだったとしてもね。
でも、亮輔兄ちゃんの事また一つわかったから、良しとするか。頭の中のメモ用紙に亮輔兄ちゃんは間が悪くてどんくさいと書き込む。
「亮輔。そんなに国久に迫ったら国久びっくりするだろ? 国久もキスしろって言われても見世物じゃないし、って……うわっ! 」いきなり亮輔の体が僕の方に飛んできた。
亮輔だから頑張って支えたけどさ。
でも、亮輔の体が飛んできた原因は国久に違いない。
国久に目を向けると国久は一直線に亮輔を拳を握り締め睨み付けたままこっちに走ってくる。
亮輔の左頬が赤くなっちゃってるし。すぐに国久に殴られたんだと理解する。
(このままじゃ、亮輔蛸殴りにされちゃう! )と思い浮かんだ途端体が勝手に動いてた。
国久と亮輔の間に入り、国久に怒声を浴びせる。
「国久! テメー、亮輔に何してんだよ! これ以上亮輔に何かしたら絶対許さねーかんな! 」
僕って元々怒らないし自分で言うのも変かもしれないけど、姫って呼ばれて冗談半分で怒るときとは違って、完全に怒りのみ、みたいな怒り方は三年に一回怒ったらよく怒ったって言われるくらい怒らない。国久は御冠の僕の言葉を聞いた途端目を見開いて振り下ろした拳を止めようとしてるみたいだけど、一発は仕方ないかと思う。
国久は殴り合いの喧嘩じゃ学校内で、負け知らずって位強い。
多分僕一人くらい一発で何メートルか吹っ飛ぶくらい尋常じゃない力持ってるんだ。
でも、ここを飛ばされたら亮輔が凧殴りにされる!
退くものか! 足を踏ん張り、国久の一撃に耐える準備をする。
負けるわけにはいかない!
国久だろうと例えプロのボクサー相手だろうと。
バキッ!
左頬に痛みが一瞬走るけど、痛みは怒りに変わり、お返しにとばかりに右手を握り締め国久の頬をぶん殴る。
僕が殴るなんて今まで生きてきた中で一回もなかった事だから国久からしたら踏ん張る前に力抜けちゃったって感じでこっち見てた。
たった一発だけじゃ気が済まなかったから国久の体の上に馬乗りになり服の襟首を掴んで右手を振り上げる。
亮輔を例え一発だけだったとしても殴った事が許せなくて、目に零れんばかりの涙が溜まり、拳を振り下ろした時に涙が頬を濡らした。
「優夜! やめろ! 」
振り下ろした拳は誰かの手に止められる。
「止めないでよ亮輔! 亮輔を殴った事絶対許さん! 」国久の襟首を掴んでいた手を離して再度拳に力を込め振り下ろす。
「これ以上国久君を殴ったら嫌いになるからな! 」
頭に上ってた血が一気に下がる。
国久はいくら殴っても、もうどうだっていいけど、亮輔から嫌われたくない。
人を殴る事自体無かったから拳は簡単に止まってくれた。国久の頬ギリギリだったけど。
亮輔兄ちゃんは僕の拳が止まったのを確認して国久の上から僕を退どける。
「国久君ごめんね。痛かったでしょ? 」優しい言葉言いながら国久の頬を摩さする。
そんな事しなくていいのに! 国久なんて放っとけばいいんだ! こんな奴! こんな奴! こんなヤツー!
亮輔兄ちゃんの行動で再度頭に血が上った僕はこれも国久のせいと言わんばかりに睨み付けそのまま一人だけファミレスに足を向ける。
「優夜待ちなさい。国久君にちゃんと謝りなさい! 」
腕を掴まれてファミレスに行く事を阻はばまれた。
「何で僕が謝んなきゃいけない訳? 大体コイツが亮輔をいきなり殴るのがいけないんだろ! 」言い終わらない内に思いがけない方向から平手が僕の頬に飛んできた。
「国久君の事コイツなんて言っちゃ駄目だろ! 」
亮輔兄ちゃんってば国久の肩ばかり持って! 僕よりも国久の方が好きなの?
別に付き合ってる訳じゃないけど、僕が殴られたときは怒らないで、何で今なのさ!
「謝らないよ! 別に悪い事してないもん! 用事あるから先行くね! 」頭にきてるし胸に嫌なモヤモヤが出てきてそのまま泊りがけで顔合わせに行こうって気分でもなかったから亮輔兄ちゃんの手を振り払って自分の家に向かって走り出す。
うしろで国久が謝る叫び声が聞こえたけど僕にとってはもうどうだっていい。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる