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番外編 俺の本音は 3 ※さっくりR18※
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下らない事で笑い合う。それが俺にとっては不可解でしかなかったのに。
俺には笑い飛ばせる何かを持つことを、本能的に抑え込んでいた。だから、生徒に怯えられることも多かった。馴れ馴れしい奴もそれはそれで多いもんだったが。
今、こいつと会話して、落ち着く。
「…あぁ。俺、お前と一緒が、一番だな」
「ぶっふぇ!?」
「よし、同居から始めるか」
「いやいや!?確かに俺から誘ったけど気持ち早っ!?」
「なんだ?撤回するのか?それは狡いんじゃないか?」
「…お前、普通に生きてたら性格絶対悪いだろ」
「さーてな。でもそういうのも悪くない」
お前の前で悪者になるのも、いいかもしれない。
―――――
「んで、まさか本当に引っ越して来た上にそっちも準備万端とか…」
「今更後悔しても遅い」
「早いわ、つーかデケェ」
俺の股間を触り、一つごちる泉。
「オナニーとかしてんの?」
「性処理の知識はあっても、やろうとは思えなかったな」
「へー…にしてはデカいとか、羨ましいな」
まぁ、男として大きさは大事なのだろう。
「…此処でするのか?」
「んー…やっぱベッドの上っしょ」
「そうか」
改めて見ると、泉は男らしさもあるが、やはり美形…の部類だろう。蜂蜜色の髪はどうも地毛らしく、ふわふわ、さらさら、と動き回る度に流れる髪の線は確かに絵になる、とは思う。社交的な性格だから、生徒の人気はかなり高いのも納得だ。
「…羨ましいな」
「へ?何が?」
「…いや」
男の教師が。男の同業とそんな淫らな関係になる。それが可笑しすぎるせいで思考がまともに働かない。強いて挙げるなら、犬狼族に対して悍ましい程の恐怖と殺意を持つ俺が、犬狼族の血を引く男を抱こうという考えに至った自らの思考が理解できずにいる。それだけだ。
…その筈なのに、俺は胸の奥にある空白を埋めたくて、腹を満たしたくて、仕方なかった。
歯が疼く。悪寒が這う。仇敵を食い荒らし、報いを与えたくなる。
…だが、それは何か違う。
乖離した思考が、肌が触れる熱で別の方向に流れて行く。
「…じらすなよ、ほっちゃん先生?」
「肉の刺身って美味いかな」
「ちょっ!?腕痛いから!!そんな力強く掴まないで!?あと思考が物騒!!」
「冗談だ」
そう言って、泉の乳首を食む。
「んひゃっ!?」
まるで女のように体が跳ね、声が上擦り、強張る泉。ふと、自分の中の嗜虐心が頭をもたげる。
「…そこらの女より色気があるんだな?元々そういうことでもしてたのか?厭らしい奴め」
「ちょっ、ちがっ、あぁぁぁっ」
すかさず背筋や脇腹を擽るように指でなぞると、あっと言う間に泉が絶頂した。俺の体に甘くも煽情的な匂いがたちこめる精液が降りかかる。
「あっ…ごめん」
「お前…煽るの好きだろ」
「へっ!?」
「お仕置きだ」
泉の体を無理矢理軸回転させてうつ伏せにさせ、尻を突き出すような体勢にさせる。そしてそのまま挿入してやった。
「ちょっ!?解せって…い"っ!?!?」
「その気にさせるお前が悪い」
流石に一気に挿入してこいつの尻が裂けるのはまずい。だから先走りを利用させて貰おう。
「ちょっ、まっで、なまは、やだぁ、んひっ!!」
「行為がしたいって言ったのは何処のどいつだ?」
「らめ、おれ、けつ、しょじょ、そんな、デカいの、むりぃっ」
処女。その単語で俺の思考がスパークした。
「処女の癖して男を誘うことはできるんだな?悪い子だ」
泉の尻を叩き、揉み、そして優しく撫で、また叩く。そしてゆっくりと奥の生々しい感触を堪能する。泉の喘ぎも嘆願も届きそうに無い。恐らく俺も、犬狼族と似たようなものだろう自身を、そしてそんな俺に股を開く泉を嘲笑いながら、行為に耽る。
…美味そうだ。
そう思って項を噛んだ。
―――――
―――
―
「なんで噛んだし」
「美味そうな肉がそこにあった」
「強欲さんめ」
「淫乱が何を言うかと思えば」
行為が終わった余韻が残ったままの部屋で、また話を始める。
「項噛んだんだから責任取れよ、旦那様?」
「そうだな…」
嗚呼、世界が綺麗に映っている。今まで、何処にも行き場の無いものが唐突に消えた時、空白になっていたのだが、今日の景色は妙に澄んでいて、美しかった。
「綺麗なドレス着せてやるよ」
「ぶっ!?…お前、ほんと天然なのか馬鹿なのか真面目なのかはっきりしてくれ」
「何時だって俺は真面目だ」
こんな風にさせてしまったんだ。当然責任は取るべきだし、こいつの幸せを支えるのも当然だろう。
「…なぁ」
「んー?」
「お前の傍に俺がいて、幸せになれるのか?」
「幸せは作るもんだろ?問題は無いだろ」
「…そうか。…そうだな。」
嗚呼、そうか。
俺は今、しっかり笑えているんだ。
「俺と結婚してくれ」
「…ほんと、お前正直すぎんだろ。…俺もだよ、旦那様」
白い肌と桜色の唇に口付けたら、今度はどうしてやろうか。
夜は長い。そして、これから先は、この幸せを大事にしよう。そう左手の傷に誓った。
―――番外編 「俺の本音は」 了―――
俺には笑い飛ばせる何かを持つことを、本能的に抑え込んでいた。だから、生徒に怯えられることも多かった。馴れ馴れしい奴もそれはそれで多いもんだったが。
今、こいつと会話して、落ち着く。
「…あぁ。俺、お前と一緒が、一番だな」
「ぶっふぇ!?」
「よし、同居から始めるか」
「いやいや!?確かに俺から誘ったけど気持ち早っ!?」
「なんだ?撤回するのか?それは狡いんじゃないか?」
「…お前、普通に生きてたら性格絶対悪いだろ」
「さーてな。でもそういうのも悪くない」
お前の前で悪者になるのも、いいかもしれない。
―――――
「んで、まさか本当に引っ越して来た上にそっちも準備万端とか…」
「今更後悔しても遅い」
「早いわ、つーかデケェ」
俺の股間を触り、一つごちる泉。
「オナニーとかしてんの?」
「性処理の知識はあっても、やろうとは思えなかったな」
「へー…にしてはデカいとか、羨ましいな」
まぁ、男として大きさは大事なのだろう。
「…此処でするのか?」
「んー…やっぱベッドの上っしょ」
「そうか」
改めて見ると、泉は男らしさもあるが、やはり美形…の部類だろう。蜂蜜色の髪はどうも地毛らしく、ふわふわ、さらさら、と動き回る度に流れる髪の線は確かに絵になる、とは思う。社交的な性格だから、生徒の人気はかなり高いのも納得だ。
「…羨ましいな」
「へ?何が?」
「…いや」
男の教師が。男の同業とそんな淫らな関係になる。それが可笑しすぎるせいで思考がまともに働かない。強いて挙げるなら、犬狼族に対して悍ましい程の恐怖と殺意を持つ俺が、犬狼族の血を引く男を抱こうという考えに至った自らの思考が理解できずにいる。それだけだ。
…その筈なのに、俺は胸の奥にある空白を埋めたくて、腹を満たしたくて、仕方なかった。
歯が疼く。悪寒が這う。仇敵を食い荒らし、報いを与えたくなる。
…だが、それは何か違う。
乖離した思考が、肌が触れる熱で別の方向に流れて行く。
「…じらすなよ、ほっちゃん先生?」
「肉の刺身って美味いかな」
「ちょっ!?腕痛いから!!そんな力強く掴まないで!?あと思考が物騒!!」
「冗談だ」
そう言って、泉の乳首を食む。
「んひゃっ!?」
まるで女のように体が跳ね、声が上擦り、強張る泉。ふと、自分の中の嗜虐心が頭をもたげる。
「…そこらの女より色気があるんだな?元々そういうことでもしてたのか?厭らしい奴め」
「ちょっ、ちがっ、あぁぁぁっ」
すかさず背筋や脇腹を擽るように指でなぞると、あっと言う間に泉が絶頂した。俺の体に甘くも煽情的な匂いがたちこめる精液が降りかかる。
「あっ…ごめん」
「お前…煽るの好きだろ」
「へっ!?」
「お仕置きだ」
泉の体を無理矢理軸回転させてうつ伏せにさせ、尻を突き出すような体勢にさせる。そしてそのまま挿入してやった。
「ちょっ!?解せって…い"っ!?!?」
「その気にさせるお前が悪い」
流石に一気に挿入してこいつの尻が裂けるのはまずい。だから先走りを利用させて貰おう。
「ちょっ、まっで、なまは、やだぁ、んひっ!!」
「行為がしたいって言ったのは何処のどいつだ?」
「らめ、おれ、けつ、しょじょ、そんな、デカいの、むりぃっ」
処女。その単語で俺の思考がスパークした。
「処女の癖して男を誘うことはできるんだな?悪い子だ」
泉の尻を叩き、揉み、そして優しく撫で、また叩く。そしてゆっくりと奥の生々しい感触を堪能する。泉の喘ぎも嘆願も届きそうに無い。恐らく俺も、犬狼族と似たようなものだろう自身を、そしてそんな俺に股を開く泉を嘲笑いながら、行為に耽る。
…美味そうだ。
そう思って項を噛んだ。
―――――
―――
―
「なんで噛んだし」
「美味そうな肉がそこにあった」
「強欲さんめ」
「淫乱が何を言うかと思えば」
行為が終わった余韻が残ったままの部屋で、また話を始める。
「項噛んだんだから責任取れよ、旦那様?」
「そうだな…」
嗚呼、世界が綺麗に映っている。今まで、何処にも行き場の無いものが唐突に消えた時、空白になっていたのだが、今日の景色は妙に澄んでいて、美しかった。
「綺麗なドレス着せてやるよ」
「ぶっ!?…お前、ほんと天然なのか馬鹿なのか真面目なのかはっきりしてくれ」
「何時だって俺は真面目だ」
こんな風にさせてしまったんだ。当然責任は取るべきだし、こいつの幸せを支えるのも当然だろう。
「…なぁ」
「んー?」
「お前の傍に俺がいて、幸せになれるのか?」
「幸せは作るもんだろ?問題は無いだろ」
「…そうか。…そうだな。」
嗚呼、そうか。
俺は今、しっかり笑えているんだ。
「俺と結婚してくれ」
「…ほんと、お前正直すぎんだろ。…俺もだよ、旦那様」
白い肌と桜色の唇に口付けたら、今度はどうしてやろうか。
夜は長い。そして、これから先は、この幸せを大事にしよう。そう左手の傷に誓った。
―――番外編 「俺の本音は」 了―――
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