4 / 50
出会い〜ツガイ編
3話
しおりを挟む「………」
「………」
「……なぁ」
「………」
「何で裸なんだ?」
「うゅぅ……っ」
(言われると思った言われると思った言われると思った!!)
互いに視線の位置するところは違えど見つめ合うこと暫し。
名も知らぬケモ耳男性から投げかけられた当然の疑問に、
羞恥心が限界突破してしまった僕。
(うん、分かってた!
聞かれるのなんてとっくに分かってたよ!?
だ、だけどさ?僕も大きな華から爆誕(で合ってるのかな?)したばっかりで
何で裸なんだとか全然分かってな……あ。
人って服着て生まれては来ないよね!?)
どう言って説明していいかも思い付かず呻き声を上げて悶えていると、ケモ耳男性さんが徐に自分の羽織っていた黒いマントを外して近付き、僕をそれですっぽりと覆ってくれた。
「あ……」
「小汚いマントで悪いけどよ、こんなんでもないよりゃマシだろ」
(なんて優しいケモ耳さん!!)
見ず知らずの、加えて得体の知れない僕なんかに自分のマントを与えてくれるなんて!
前世(?)で親にも施されたことのない親切をあっさりと為され、
思わず感動に目を潤ませてしまう。
僕の眼差しに照れたように頬を無骨且つ太い指でポリポリと掻く姿も
何だかとても愛嬌がある。
(この人(?)なら……)
漠然と。
本当にただ漠然と、この人は“大丈夫”だと感じた。
きっと以前の両親のように、自分に暴力を振るわないと、
何故か唐突に確信を抱き、安堵に唇が緩む。
「ん」
「あ?」
安堵を抱いた途端にその人物に甘えたくなってしまうのは人の性かそれとも単なる甘えか。
両手を上げて見つめる僕に、ケモ耳男性が戸惑ったように瞳を揺らす。
「ん!」
「……抱っこ、か?」
めげずに背伸びをしながら両手を伸ばし続けていると、
ややあって戸惑いを残しつつも僕の意図を察したらしい彼が大きなその身を屈めてくれる。
こくこくと男の確認に頷けば、
まるで宝物を持ち上げるようにそぉっと脇に手を入れて僕を持ち上げた。
が。
それでも余程子供の扱いに慣れていないのか、
そのまま抱え込むことなく硬直してしまった。
ぷらんぷらんと空中で足が揺れるのがさながら空中ブランコのよう。
僕が精神も本当に幼い子供だったら、
おそらく地に足がつかない状態に恐怖し泣いてしまったことだろう。
しかしー
(わぁ…温かいなぁ……!)
実の両親にすら暴力以外で触れられたことがない僕にとって、
脇を掴む彼の大きな手の温度も、
強面の割にとても穏やかな光を帯びた彼の瞳も、
何もかもが新鮮で得難く、嬉しさを伴うものだったようでーー
「!!」
へにょりと顔が緩んで、僕は久しぶりに心からの笑顔を浮かべた。
僕の顔があまりにもだらしなく緩んでいたのか、
驚いたように両目を見開いた彼。
かなり強面で大柄の(ケモ耳)成人男性が僕みたいな子供の表情一つにこんなに驚いているのがおかしく、更にくすくすと笑い声を漏らしてしまうが、どうもこれはなかなか止められそうにない。
キャッキャと1人笑う僕を暫く凝視していた彼だったが、
徐に、今度こそ僕をその太く長い腕の中に抱え込むと、ぽつりと呟いた。
「お前が何なのかは取り敢えず置いておくとして……。
俺の家に、来るか?」
「!!」
このままずっと1人、裸でいるわけにもいかんだろ?
こともあろうに得体の知れない僕なんかを、家へと誘ってくれたのだ!
優しい印象の男の優しい提案に、
僕は泣きたい気持ちになりながら一も二もなく何度も頷いていた。
127
あなたにおすすめの小説
黒豹陛下の溺愛生活
月城雪華
BL
アレンは母であるアンナを弑した獣人を探すため、生まれ育ったスラム街から街に出ていた。
しかし唐突な大雨に見舞われ、加えて空腹で正常な判断ができない。
幸い街の近くまで来ていたため、明かりの着いた建物に入ると、安心したのか身体の力が抜けてしまう。
目覚めると不思議な目の色をした獣人がおり、すぐ後に長身でどこか威圧感のある獣人がやってきた。
その男はレオと言い、初めて街に来たアレンに優しく接してくれる。
街での滞在が長くなってきた頃、突然「俺の伴侶になってくれ」と言われ──
優しく(?)兄貴肌の黒豹×幸薄系オオカミが織り成す獣人BL、ここに開幕!
牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。
牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。
牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。
そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。
ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー
母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。
そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー
「え?僕のお乳が飲みたいの?」
「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」
「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」
そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー
昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」
*
総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。
いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><)
誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる