華から生まれ落ちた少年は獅子の温もりに溺れる

帆田 久

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出会い〜ツガイ編

13話

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久しく感じたことのない温もりに包まれて、
これ以上ないほどの心地よさの中、意識が覚醒に近付くのを感じる。

(…あったかい…布団、ふかふか……ふふっ)

頬に当たるふさふさとした感触に、
なんとも言えない満足感を感じてすりすりと頬を更に押し付ける。

グルルル……

(…なんだろう、動物が喉を鳴らしているような、音、が…?)

腹の底に響くようなグルグルという音に、
折角の夢心地な気分に一滴の違和感をポツリと落とす。
まだまだこの心地よさの中に浸っていたいのに、
と若干不満を覚えて薄目を開けると、そこには。

「ほぇ??」

のっしりと自分にのし掛かって気持ちよさそうにグルグルと寝息を立てる、
大きな大きなーー

「ライオンさん!?」

「グルァッッ!?」

びっくりしすぎて思わず大きな声を上げてしまったせいで、
僕の上にのし掛かっていたライオンさんも驚いて跳ね起きてしまった!

先っぽがふさふさとしたボンボンみたいになっている、細長い尻尾
赤茶色の立派な胴体
もっさりふさふさとした鬣と胸毛

立派なサイズの獅子が飛び退いたベッド脇からまんじりとせずにこちらを見て硬直していた。

(ん?ライオンさん……獅子……、獅子獣人!?てことは!?)

こちらもじっと見返すこと暫し、とある可能性に至って恐る恐る声をかけてみた。

「ジレウス……?」

すると呼びかけられたことに慌てた獅子が、
ベッドの掛け布団を思いっきり引っ張りすっぽりと全身をそれで覆ってしまった。

「?」

様子を見ていると、何やらモゾモゾ。
布団の中で身動ぎを繰り返したかと思えばゴキ!ボキキ!!と
骨が折れるような衝撃的な音が!

「!?ジレ」

「………っふぅぅぅ……」

大変痛そうな音の後。膨らみを増した布団の中から深い息を吐き出した音とともに、
ズルリとその布団が滑り落ちる。

裸のジレウスが眉を思いっきり顰めて姿を現した。

いやそうだとは思ってたけれどと、
先程の衝撃的な音といい驚きのあまりに硬直していると。

「……起き抜けに驚かせて悪かったなぁ、コーキ。
思ったより気が抜けちまったみたいで…
なんだ、その、…おはよう」

恥ずかしい姿を見られたと頬を僅かに赤らめてガシガシと頭を掻き、
ジレウスは変わらぬ優しい眼差しでもって朝の挨拶をしてくれた。
その様子をぽけーっと見つめ、そしてふにゃりと頬を緩めた。

「おはよう…!」

一夜明けてもちゃんと自分に優しく接して挨拶までしてくれたジレウス。
期せずして彼の獣化姿を目にすることができて、
個人的にかなり嬉しい。
だからこそ僕も、心からの挨拶を返したのだ。


今日から強面なのにどこか抜けているこの存外可愛らしいライオンさんと僕の、
共同生活が始まる。


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