追放令嬢は森で黒猫(?)を拾う

帆田 久

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その23 獲物を仕留めるには出逢う手段が必要

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※ソフィア視点
悪役の濡れ場など御免被る!という方は飛ばしてください…。
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ー…とある貴族屋敷の一室。


「へぇ……。
あれがこの国の王弟殿下、ねぇ…」


身に魅了魔法で骨抜きにした貴族家三男を纏わりつかせたまま、
探りを入れて知り得た事実に女ー…ソフィアがうっそりとほくそ笑む。

室内にはローブはおろか、全ての衣服を脱ぎ捨ててベットに寝そべるソフィアと、彼女にほぼ完全に洗脳されてしまったエデルジア伯爵家の三男、カール・エデルジアが同様に裸体で彼女に抱きついて身体を絡ませていた。

先日冒険者ギルドで目にした端正な面立ちの男。
漢振りも所作も身体つきも、どれをとっても一級品。
話しかける間も無く去っていってしまった為に少しばかり焦ったが、
あれだけ目立つ外見と身なりをしているのだ。
誰かしら、特に貴族や商人の息子なら特徴を伝えただけで誰か分かるはずと手頃でそこそこ裕福な伯爵家の男を魅了した。
威力度外視で。
そしたらまぁ、見事に当たり。

荒くれ者達が用意した部屋や衣服とは雲泥の差の
屋敷の一室と大量のドレスを貢がせることに成功したことはとても僥倖。
更に、肝心の情報も簡単に手に入ったのだ。
笑いが止まらないとはこのことだろうかと口元が緩むのを止められない。

ニヤニヤと1人笑んでいると、

「何か楽しいことでもあったかい僕の天使?
でも折角2人っきりなのだから一緒にもっと楽しもうよ」

くだんの貴族青年・カールが不満げに腰を強く抱き寄せる。

どうやら自分そっちのけで気を散らしていることに不満たらたららしい男の、欲に塗れた眼差しを浴びせられ、ふんと鼻白んで眉を寄せる。

(所詮ただの“繋ぎ”の分際で……図々しいったら)

元々情報と財を貢がせる為だけに堕とした男。

平凡にすぎる面立ち、貧相な身体つき、
加えては付いてない。
そんなものでどうやって女を喜ばせるというのだか、
捨てた荒くれ冒険者のモノの方が遥かにマシだった!

自分はこの程度のヒョロヒョロしたもやし男の夫人程度に収まる気など毛頭ない。
本命はあくまで情報を得た王弟なのだ。
あのレベルの男こそ、自分にはふさわしい!
散々心中で男を貶しながら、しかし取ってつけた甘い仕草と声を忘れない。
本命に近付く為、まだこのもやしを手放す訳にはいかないのだ。


「っぁあッッ!…僕の、天使…なんて可愛く淫らなんだ……!」

蕩然と自分に縋り付く男の背に腕を回して身体をベッドに沈めつつ、
この後の行動を脳裏で思い描く。


「ん、ねぇ…本当に連れて行ってくれるのかしら?」

「ぇ、あ、ああ勿論だ!勿論だとも!!
スレイレーン城下でもうすぐ行われる収穫祭には必ず王族の方々がお出になられるし、伯爵位以上はパートナーを伴って必ず挨拶を交わすのが伝統。
君ほどの女性が僕のパートナーとして挨拶を共にしてくれるのならこんなに幸福なことはない!」

「そう。ふふ……楽しみだわ」

「も、もう話はいいだろ?
そろそろ……」

「……そうね。ええ、いいわ…来て?」

笑んだ私に興奮してのし掛かってくるカールを冷めた眼差しで見つめながら、
それでも話の内容に気分が高揚する。

「ああっ……」

下らない男の下で、ただ無駄に快楽に興じる。
だが視線も思考も男になく、理想の未来へと飛んでいた。

(うふふ…絶対に逃がさないわ王弟様?
出逢いさえすれば必ず、私のものにしてあげる)

貴方の心も体も地位も財産も何もかもー…私のものよ


スレイレーン王国の伯爵家屋敷の一室では。
淫靡な嬌声と熱に混じって、魔女の高笑いがいつまでも反響していた。
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