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5話 “初期化” それは甘美なる響き
しおりを挟む「……どういうことだ、それ」
「んー、つまり!
もう少しで君、人間じゃなくなっちゃうところなんだよ!!
過ぎる力は身体に毒って言うだろ?
普通なら君みたいに強力なスキルとか魔法とか詰め込んでったら身体が耐えられなくて爆散するはずなんだけど」
「おい」
「でも何故か君、やたら順応値が高くって。
身体が力に合わせてもの凄い勢いで最適化しちゃうんだなこれが!
んで、特に今回君が召喚されたところって人外多かったろ?
邪竜とか13対の魔王とか。
それらぜぇんぶ君が倒しちゃうし……ステータスも流石に人間判定出来かねるって出ちゃって。
そのままあっちの世界に留まってくれるんなら人外でもいっかって思ったんだけど、君さ、自分で世界間転移魔法まで勝手に編み出しちゃってこっち帰ってきちゃうし!」
「はいさっさと結論。なにが言いたい」
「せっかちさんめ!!
つまりこっちの世界で人外が存在するのはまずいんで
君の身体・能力もろとも初期化しに来ました!by.神様」
「鬱だ……」
つまりは何だ、このクソ神は俺が血と涙と汗と精神を犠牲にして今まで積み上げ獲得してきた全てを元に戻す、なかったことにすると。
そう言いたいのだろうか?
正直、今まで散々好き勝手に人を振り回しておいて何様だと思わんでもない(あ、神様か)が、しかし。
“普通の凡人”に戻れる、平凡な日常を取り戻せる。
何と甘露な響きだろうか。
自分はそれをこそ長年求めていたんだ!!
「じゃ、今すぐお願いします」
「分かるよ~、今まで積み上げてせっかくゲットした人ならざるパワーを手放したくない気持ち!でもねそれは………。
………え、いいの?」
「いいです」
「今すぐ?」
「はい。今すぐ、お願いします神様」
「なんか急に敬語に戻ったし!?
え、なに。そんなに魔法とかスキル要らなかったの!?
普通君くらいの年齢の人間ってチート大好きっ子ばっかじゃん!?」
「あ、もうそういうのいいんで。なんならお腹一杯なんで。
お早めに初期化、お願いします敬愛する我らが神様」
「しかも敬愛!?
なにその取ってつけた感!!?嬉しいけど嬉しくないッッ!!」
それから一人で騒ぎまくる神を貼り付けた笑顔で見つめ続けること30分間。
やっと有言実行してくれる気になったようだ。
「本当君、何なの?
躊躇いもなく神に向かって煉獄の炎ぶっ放したり家消し飛ばしたりしたと思ったら自分の規格外な能力に全く未練もないし。
童貞?童貞だからなの??」
「童貞は一切関係ありません。平穏で平凡な日常に飢えているだけです」
「全く理解できないよ…刺激のない日々のなにがそんなに面白いのさ」
「感性や考え方は人それぞれ。
神様が刺激を求めるのは勝手ですが、
初期化が済んだらもう俺を巻き込まないで下さい。
主に召喚とか転移とか」
「……召喚は全部が全部ボクのせいってわけじゃ」
「じゃあ兆しがあったらなにが何でも阻止してください」
「ああ言えばこう言う。君って生来の捻くれ者なの?」
………初期化、早よ。
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