その辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。

風呂桶之水源餅

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ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。

第34話 素敵なお風呂タイム

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てなわけで、俺の仲間たちと言うか側近の方達はS級冒険者へと無理やり昇格させられた。(色々あるので一年間は表向きは別のランクで通すらしいが…)

ひとしきりの訓練を兼ねた戦いを終えたと言うことで、勇者ちゃんの
「さぁ!汗を流しにみんなでお風呂だ!!」
の一言で風呂へ行く事になった。

「お風呂か…。そう言えば、猫。彼の城のお風呂は完成したのかい?私の発注した物は…。」
「んむー!無論完成してるにゃ!
魔女に頼まれたにほんていえんとかろてんいわぶろとかそれっぽくは作ったつもりにゃよー。」

城…。あぁ、俺の城になるんだっけか…。そういや…。

「と言うかわざわざこんなに短期間でそこまでの物を用意してくれたのか…?」
「正確には完成させたが正しいかな?
もともと私の趣味で、この世界に来た異世界人の好んだ文化を西の城で再現させる研究もしてたのさ。君が現れた事で研究は一気に加速したと言っても正しいかな?まぁ、せっかく作ったんだ。
楽しもうじゃ無いか♪」

そんなわけで、俺は魔女さんと猫さんの案内の元に俺の城となる西の城に案内される事になった。

ギルドを出て大鳥の引く馬車でゴトゴトと30分ほど移動した先にそのお城はあった。

ちなみにお城の外観は普通の洋風のお城だった。

だが、城の庭園はたしかに日本庭園っぽくなってたりとぶっちゃけアンバランスである。
尚、畳の敷かれた黄金の茶室とかは流石になかった。
あれを作るのはこの世界の人たちには相当難しいらしい…。
恐るべき日本人の職人…。

「どうだい大賢者くん。君の城は?
私が長い時をかけて、いつか来る異世界人の為にと建城してたものだ。つまり、私からのささやかなプレゼントと言うわけだ。気に入ってもらえたかな?」

今の俺には魔女さんの言葉はまるで耳に入ってなかった。
何故ならば…。

「どうしようこの規模…。家賃、光熱費、城の中の人たちの人件費、食費、あぁそれに固定資産税とか一体どれだけの規模に…、いやそもそも俺1人でそんな途方も無い金額を稼げるのか…?
いや無理だろそもそも俺この世界で結局仕事って何すればいいんだっけ…。うわぁもうやだ、六畳一間のアパートのが落ち着くわこれ…。」

お金の話ばかり考えて頭を抱えていたからだ。

「君は君で変なところが真面目だねぇ…。
この城の維持費やここに住んでる人たちに関するお金は気にしなくて良いんだよ。
その辺は全て中央皇国の国を挙げての援助があるからね。
ここで働いてる人たちも研究者は同じく国から給料をもらっているし、食堂のシェフも料理研究家たちが大半だ。そしてハウスメイド達は…。」
「おかえりなさっせぇええ!ご主人様ぁあああ!!」

…………。

「ドラゴスケイルのみなさんだ。」

マッスルポーズを取るピッチピチの執事服の男達。

「おいいいいいいいい!ちょっとまてぇえええ!
ここは普通、可愛いらしいメイドキャラが登場する所だろう!屈強な男達がピッチピチのシャツ着て給仕してても目に毒だろうがぁあっ!」
「そんな…、ご主人様は俺たちが嫌いだってんですかい…?」
「そんなに可愛くいってもダメ!働くのはいいけど!あと、俺をご主人様と言っていいのは盗賊ちゃん以外認めんっ!!」

それを聞いてふふふふふっと微笑む魔女さん。

「そう言うと思って用意しておいたよ。
盗賊ちゃん用の…」

おぉ…?

「和装メイド服!!」

ピシガシグッグっ

「こう言うのが好きなんだろう君は?」
「はい、いい仕事してくれますね魔女さん…。」

そして、俺と魔女さんの2人で盗賊ちゃんに目を光らせる。

「お着替えしようか~♪盗賊ちゃん。私が着付けてあげるよ。」
「ま、まて!オレたちは今から風呂に入るんじゃなかったのか!」
「その前にご主人様にいつもと違う自分を見てもらいたいと思わないかい?」
「いつもと違う…オレ…。」
「ご主人様好みの服を着てきゅんっとさせてみたく無いかい…?」
「………。よし、着よう。」

とりあえず俺たちはお城のホールから俺のために用意させたと言う自室に移動する。

「流石にタタミは用意できなかったのでね。
靴を脱いで入るフローリング床の部屋を君のために用意させてもらったよ。
一応、オフトゥンも用意してあるけど、君はどちらかと言えばベッド派であってたかな?」
「おぉう…。至れり尽くせり…。うん、あってるよ。ありがとね魔女さん。」
「他にも色々と君好みの物を急ぎ用意させているが…。とりあえずお着替えしてからお風呂に行こうか?」

そう言うと魔女さんは俺の部屋に用意されたお着替え用の部屋に盗賊ちゃんと一緒に入っていった。

2人の声が色々と聞こえてくる。

「あまりじっくり見ないでくれ…。
今まで気にして来なかったけど…、ご主人様に会ってからはこの肌を見せるのも辛くなってきて…。」
「嫌われちゃうかもって?」
「いや、色々と気を使わせてねぇかなぁって。」
「だから最近は、初めての頃と違って、アームカバーやタイツで前より露出を減らしていたわけか…。」
「ん…。」
「彼はそう言うので君を嫌ったりする子じゃ無いし、それ以上に君のその傷すら魅力的だって愛してくれるような人だとは思わないかい?だろう?聞き耳を立ててるご主人様。」

バレてたか…。

「当たり前だ。俺は盗賊ちゃんの事、そう言うの全部ひっくるめて大好きだからな。
魅力的な女の子だなって思うよ。
一途に慕われると俺もすごく嬉しい。」
「そっか…。大好きか…♪へへっ…♪」

そして、お着替え部屋から和装メイド姿の盗賊ちゃんが出てくる。

「どうだ?ご主人様?その…可愛いか?」
「………。ヤバイくらい可愛い…。
破壊力がやばい…。」
「ほんとだ…よく似合ってるわね…。ちょっと悔しいくらいに…。」
「はわわ…。可愛いですぅ…。」
「んむ!最高だな!私にも分けてくれ大賢者!
服の方じゃなくて彼女の方をだ!可能なら君とセットが良いな!」

約1名コメントがおかしい。

「ふふん、どうだい?私が君の記憶を元にデザインして作ってもらったこの和装メイド服は?
素晴らしい出来だろう?
他にもオンセンユカタとか言うものも作ってあるよ。」
「最高かよ魔女さん。」

とててててっと盗賊ちゃんが近づいてきてキュッと抱きつきながら上目遣いで

「ねぇ…っ、もっと可愛いって…言って?」

魅了スキルを使ってきた。

「ぐはぁっかわぁぁぁあっ!!」

俺の中の何かが爆ぜた。

「これは…私たちでは可愛さじゃ勝てないわね…。
そう思わない?勇者さん。」
「うむ!無理だな!!やはりおっぱいだ!おっぱいなら負けないぞ!!」
「おや?おっぱいの大きさならこの中では私が一番だと思うけどね?」
「みにゃっ!にゃーも負けてないのにゃ…!」
「わたしは…ほらぁ…せいちょーきですからー…アハハハ…ムカツク…。」

盗賊ちゃんはもう本当に可愛らしい。
最初の頃の俺がとっ捕まえて足でふみふみした時とは全然違うな…。

「頭ぁぁあっ…。こんなにめんこくなってぇぇえっ!最高ですぜぇぇえっ!」

お前らどっから湧いてきた。

「ごしゅっ!じゃねぇや。大賢者様!湯の準備が整いましたぜ!どうぞご利用くだせぇ!」

あ、なるほど…。お風呂の準備時間稼ぐ為の目的もあったのねコレ。

「ありがとう、おっさん執事。んじゃ、楽しませてもらうよ。
あ、そだ。ちょっと腰痛が酷いんだけど、君らの中にマッサージうまい人って誰かいる?あとでお願いしたいんだけど…。」

俺がおっさん執事にそんな事を言ってみると、

「腰が痛い!?」
「ま、まっさーじ!?」

魔女さんと戦士ちゃんになぜか驚かれる。

「ま、まさか…その…遂にいたしたのかい…?」
「こんなおっさん連中にマッサージ頼むなんて正気!?別にマッサージくらい私たちがいるじゃない!」

何をどう考えてるかは知らないが、俺は純粋に腰と肩がガッチガチなのだ…。
ウッドフレームのアクセサリー作るとすぐにこうなるんだよなぁ…。

「何を想像したのかは知らないというか考えたくないけど…、このネックレスのフレームを作るといつもすごく肩と腰が痛くなるんだよ…。
女の子にマッサージ…はまぁうん、昔メイドリフレとかも通ってたから否定はしないけど、いまはこう、屈強な男にこのガチガチなコリをほぐしてもらいたい気分なんだ…。
さわればわかるよ…。」

そう言ってみんなに肩を一掴みしてもらう。

「これは…。たしかに私らじゃほぐすのはしんどいわね…。」
「なかなかのコリッコリだにゃ…。」

そう、この通り戦士ちゃんとギルマスちゃんも納得のガチガチの肩なのだ…。

「くそぉ…オレがこの肩をふにっふにになるまで癒してあげてぇけど、この肩は無理だ…!」
「治癒魔法とハンマーとどっちが効くとおもいますかぁ?」

妹ちゃんが物騒な事を言っている。

「治癒魔法は試してみたけど、肉体が損傷してるわけじゃないからか全然治らなくてね…。」
「ふぅむ…。それは疲労だからね…。
治癒魔法はたしかに疲労を回復することは出来ない。
雷魔法を最小出力でシビシビ当てる方がまだ効くかもだね。」

と言うわけで入浴後はマッサージだ!
こんな屈強な男たちならマッサージのうまいやつくらい居るだろう!

「大賢者様!任せてくだせぇ!何でも屋ドラゴスケイル最強のマッサージ師を用意しますぜ!」

俺は、頼んだよ~と軽くお願いして大浴場へと向かった。

勿論、大浴場は男湯と女湯にきちんと分かれていた。

俺は脱衣所で服を脱ぎ、アクセサリーを外し、首に緊急時用の弥勒菩薩のチャームのネックレスをつけて浴室へ入る。
脱衣所にはおいなりちゃんも待機させた。

「まったく…妾を入浴の番にするとはのう…。
まぁ最初の活躍がアレじゃったから仕方ないのかもじゃが…。」

前回みたいなことがあってはたまったもんじゃないからな…。

「さて、今度こそ大浴場でのんびりと行こうかな。」

なかなかに素敵で風情のある露天風呂だ。
ヒノキではないけど木製の風呂なんてのもある。
雨天用かガラス張りの露天風呂もあるな。

「こいつは最高だなぁ…。」

壁越しにみんなの和気藹々な声が聞こえてくる。

「どうだい?賢者くん。私の作らせた露天風呂たちは?」
「うんうん、これはなかなかに素晴らしい代物だよ。
よくぞ再現してくれましたってくらいに。」
「それは良かったよ。
そうだ。壁に手を触れて見てくれるかい?」

何だろう?面白い仕掛けでもあるのかな?
俺は壁に手を触れてみる。

すると、魔法陣が起動し壁が次々と変形して地面へと仕舞われていく。

「浴室は元々繋げてあるんだ。君が触れると壁に仕掛けたロックが解除されて混浴の露天風呂の出来上がりというわけだね。
せっかくなら一緒に入る方が楽しいだろう?」

今回は皆、タオルできちんと隠しちゃいるが浴場が繋がるのは俺も予想外だったぞ…。焦ったわ…。

「これで、気兼ねなく背中を流してあげられるなっ♪」

盗賊ちゃんは俺の腕をキュッとまた掴んできて湯船へ浸かるよう促してきた。

「あまりほぐせないかもだがオレが肩を揉み揉みしてやるよ。」

盗賊ちゃんがその小さい手で俺の肩を頑張ってグググっと揉んでくれる。
スキルを使えば筋肉を直接揉むことすら可能なんだろうか…とふと思ってしまったが、心臓すら奪い取るあの右手で肩もみは少し恐ろしいか…。
しかし…。
この肩もみは癒されるな…。
娘にマッサージされる父親ってこんな気分なのかな…。

「うぐぐっ…本当にかっったないぁ…この肩…。
何入ってんだってくらいに…。」
「どれ!盗賊ちゃん!私にも是非大賢者の肩を揉ませてくれ!盗賊ちゃんは代わりに私のおっぱいを揉んで良いぞ!」

妖怪おっぱい揉ませ魔め…。

などと思っていたら勇者ちゃんがグッ!っと俺の肩をほぐしにかかる。

「うぐぉっ!予想以上に強いな…!俺の肩に指を立てることは出来ても筋肉にしっかり到達できるように揉める人ってそうそういないんだぞ…!」
「どうだ!すごいだろう!これが勇者の力だ!」

ぐりっ!ごりっ!と心地よく俺の肩のコリをほぐしていく勇者ちゃん。
これは予想外だ…!気持ちいいぞ…!

「勇者様!次は私もやらせてください!
電気治療…してみます!」
「おぉ!いいぞ!やってみたまえ!」

勇者ちゃんは妹ちゃんと交代する。

妹ちゃんは俺の肩を掴むと掌からシビシビーっと電磁パルスを流してくる。

「ふぉぉ…。低周波治療って意外に気持ちいいんだよなぁ…。」

だが、悲しいかな俺の肩はそう簡単にはふにゃふにゃには解れてくれない。
さっきよりはマシだがまだまだカチカチのままだ…。

「ふぅむ…。やはり肩こりと言うのは頑固なものだね。私も一苦労してるよ…。」

というとこれ見よがしに胸をたゆんっと揺らし女性陣にケンカを売る魔女さん。

「ご主人様はオレみたいな貧乳が好きなんだよ!
巨乳が何だってんだ!な?ご主人様っ!」
「お、おう…たしかに俺は貧乳のが大好きだが、同意を求められると反応には困るぞ…。」

そしてまた俺の肩をツンツンしてからモミモミしだす盗賊ちゃん。

「うぁぁ…。癒される…。
やっぱ、屈強な整体師にゴリゴリされるのも良いけど、女の子に揉まれるってのも…やっぱ気持ちいいな…。」

そして、モミモミしてくれてたと思ったら急に後ろからむぎゅーっと抱きついてくる盗賊ちゃん。

「この方がもっと癒されるんじゃないのか?
ご主人様はロリコンだからなっ♪」

すごく癒されるが…俺の肩はそれでは解れないのだよ…。
そんな事を思いながら俺は入浴を楽しむのであった。

一方その頃…。

「大賢者様はマッサージをご所望だ!野郎ども!誰が一番マッサージが上手いか勝負だ!!」

そして、互いに互いの肩や腰をもみほぐそうとした結果、おっさんズ達は派手に腰と肩を痛めるのであった。

その後、治癒魔法で彼らを治癒することになったのは言うまでもない…。
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