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ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。
第94話 衝突する雷光
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「「変身。」」
二人がそう言うと同時に互いのライト二ングクォーツに力を込めていく。
お互いがその肉体を、片方は雷の魔神に、片方は虎の姿をした獣の魔神に変化させ、それぞれが銀色と黒色の鎧をその身に纏っていく。
最後にヘルメットが頭に装着されると、バイザー部分がカシャンカシャンと変形して展開されていき、バイザーの奥からそれぞれ青い瞳と赤い瞳が光り輝き変身が完了する。
「国をかけた闘いだと言うのに、冒険者の皆様も国民の皆様も随分と盛り上がって見ていますねぇ…。
私としては興醒めですよ。」
「わからないのかい?皆信じているのさ。我らが大賢者様の絶対勝利をね。ま、そうでなくても無双を誇る強さの我らの雷帝と同じような強さの黒い雷帝…。その力のぶつかり合いに高揚しない人たちもまたいないと言うわけさ。ギルド内では掛けでも起きてるだろうね。
ま、掛けなんて成立しないだろうけども。」
「ふん、自分たちの大賢者が負けないと言うような自信ですねぇ。私たちがこの20日余りの間に何もしてこなかったとでも?」
「彼は易々とその程度の事は超えてみせるよ。我らの賢者くんを…舐めるなよ小僧。」
魔女とスカルが互いに皮肉を込めた詰り合いを繰り広げる。
そんなことも梅雨知らず、変身した二人が互いに向き合う。
「君を倒せない程度ならこの国は救えない…か。
確かにそうだな。今日今までの俺は、正直なところ急に手に入れたこの力に対して、調子に乗ってたと思う。
当然ながら国を背負って戦う覚悟も、たくさんの人の命をこの拳1つで変わるかもしれないと言う覚悟も足りていなかった。
ほんの1ヶ月と少し前までは、俺はただのどこにでもいるおじさんだったからな。
当然そんな覚悟なんか無かった。
でも、今は違う。
俺には今、守りたいものが居る。大切な人がいる。
この身をもって救いたい世界がある!
そこに君が立ちはだかると言うなら、今度こそ俺は君を止める。止めてみせる。」
「御託はいい。アンタの正義を…証明してみせろ。
アンタは正しいんだろう?ならば、貫け。
アンタの正義を。
ならば、貫け。目の前の悪を!
いくぞ!大賢者!絶望がお前の…ゴールだ!!」
黒い雷帝がその鎧のスリットから紅い閃光を放ちながら勢いよく飛び込んでくる。
『参りましょうマスター。私達の本当の力をこの小童に見せつけてやりましょう。とりあえず左から拳が来ますので避けます。』
ミロちゃんの宣言通りに、クロが左から雷を纏った拳を振るってくる。
だが、身体が勝手に動く。
反射的に動く。
実際はミロちゃんが、補助してくれているのだが俺の身体は以前のようにただ力任せの戦い方ではなくなっている。
俺自身もこの短期間で、色々と鍛え上げたんだ。
お腹周りもシュッとしたし戦い方も色々と学んだ。
簡単に一撃をくれてやる隙はない!!
『次は蹴りですね。足を掴んで投げ飛ばして体勢を崩したところを乱打します。』
クロが放つ蹴りを掴み投げ飛ばすと言うよりはそのまま地面に叩きつけ、雷で加速した高速…いや、光速のパンチを一気に何発も叩きつけていく。
「ぐぅぁぁあっ!!くっ…!確かに以前より強くなったな大賢者!」
『雷を全身から吹き出すバースト攻撃により、体勢を立て直すようです。一時離脱します。』
全身からスパークを放ち俺たちを弾き飛ばそうとするも、先に距離を取った為に相手の攻撃は俺たちに一切当たっていない。
うん!確実に戦いやすくなっている…!
それに以前とは違い、本来の力を一切抑えることなくふるえるのが一番強い。
俺たちの拳は、確実に鎧を通り抜けあいつの本体にもダメージを与えている。
「僕の攻撃全てを…読まれている…?まるで優秀なAIでもついてるかのような動きだな…。」
「ご名答。大賢者を大賢者たらしめる賢い仏様が、俺にはついてるんでな。どう動いてくるかは完全に読めている。この身体は筋肉の動きではなく、魔力の流れでどう動くかが読めている。お前だってそうだった筈だ。
フェイントをかましたくてもかませないんだよ。
体の動きを読んでるわけじゃないからな。」
「なるほど…。以前の貴方ならそんな事は微塵もできず、ただがむしゃらに攻撃をしてくるだけでしたね。
戦い方もキチンと学んできた訳ですか。努力家…なんですね。わりと適当な大人だと思っていましたが…。」
「まぁ、一応会社員やってるからな。
普段は手抜きだが、やらなきゃいけないときくらいは色々と考えて努力するさ。」
俺たちの闘いを見ているスカルの顔がモニター越しに悔しそうな顔に変わっていくのが見える。
してやったりだ。
「くっ…。以前からありえないと思っていましたが、今回も軽々しく私達の上をいく成長っぷり…。
まぁ、ここまでならまだ予想の範囲内ですが…。
我々はまだ切り札を1つも使っていませんからねぇ!」
「それはマガツイザナギの事かい?さて、今の彼にどこまで通じるかな?」
何を会話してるのかはこっちの戦いの音がうるさくてよく聞き取れないが引き続き煽り合いが続いてる雰囲気は伺える。
「まだ本気じゃないんだろう大賢者。
初めから本気を出さないのは情けのつもりかい?」
「いいや?最初から本気でやりあったら疲れちゃうじゃん。」
「そうか。なら僕は…マガツイザナギの力を使わせてもらうよ。」
以前、俺が敗北を許した力を彼は纏っていく。
ただ、彼もまた以前とは違う姿へと変化していく。
鎧は西洋甲冑から肩と手甲、スネの鎧の形が和風の鎧武者のような姿へと変わっていき、以前と同じような紅く染まった槍を携えていた。
「貴方の先を読む力…、どこまで通じるかな?」
『神気の流れでは動きを読めませんね。仕方ありません。未来視の力を使用していきます。少々魔力リソースをお借りします。』
クロは槍を上空に放り投げると、無数の槍へと数を大量に増やしていく。
『未来視の意味がありませんでしたね。逃げ場はありません。こちらも同じ技で対抗しましょう。インフィニティブレード、ファイアークォーツ、イグニッション。ブルークリムゾンモード展開。インフィニティモード展開。融合形態…火雷之神剣モード展開…。成功しました。具現化します。』
同じく、俺の背後から蒼炎と白い雷を纏った大量の神剣が現れる。
『力を加速させます。伊邪那美大神モード起動。衝撃に備えてください。』
そして、俺の全身の鎧が白く輝き出し、その肩にまるで天女の羽衣でも纏ったかのような新たなる伊邪那美大神モードへと変身していく。
鎧の腰には今までなかった腰布のようなものも現れていた。
『放ちます。敵の攻撃と撃ちあい相殺していきます。』
クロが紅い槍を無数にこちら目掛けて飛ばしてくる。
俺も神剣を槍目掛けて飛ばしていき互いの力がぶつかり合い打ち消しあう。
だが、俺の力の方が上だ。
槍を打ち消した神剣はそのままクロの元へと飛んでいく。
「これなら…どうだ!!」
だが、クロは背後から城の柱くらいの太さの巨大な紅槍を飛ばしてくる。
赤い槍は俺の小さな神剣を飲み込みながら、その力をまるで減衰させる事なくこちらへと飛んできていた。
『問題ありません。想定範囲内です。』
俺の背後から無数に出現していた神剣が幾重にも重なり合い、防御陣を展開して巨大な紅槍を受け止めるとそのまま紅槍をその剣の中へと取り込んでいく。
『ファイアークォーツの相手の力を取り込み利用する力を応用させて頂きました。では、お返しいたします。』
紅槍を受け止めた神剣を集合させ巨大な剣に変形させると、俺はレールガンの要領で超高速でクロ目掛けて射出する。
「速っ…!避けられない…!」
神剣はクロの身体を一気に貫き、鎧を完全に破壊していった。
「ぐわああぁぁっ!!」
鎧が破壊された衝撃により変身は解除され、クロは人の姿へと戻っていった。
それを見届けて俺も変身を解除する。
「僕の…雷帝が…。負けるなんて…。」
「俺としても、類似品に負けるなんてのはプライドが許さないからな。今度はお前のオリジナルで来いよ?
と言うかお前、クリエイターとして人の作ったもののパクリで勝って楽しいのか?」
「楽しくない…。なんでこんな他人の作った作品のパクリなんか僕は作っていたんだ…。」
「もしかして、覚えてないとか?さっきまで一緒にいたローブの男にでも作らされたんだろう。俺の作った作品とか載ってた資料を基にして。」
「ダメだ…。あまり良く思い出せない…。」
俺たちの闘いが終わった事で城の外への中継は切れている様子だ。
逆に外の様子も伺い知ることはできない状態になっている。
ここは外へと逃げたスカルを問い詰めて、色々と詳しく聞き出すか…。
「とりあえず、ここを出るぞクロ。君が俺と闘ったのも本心では無いはずだ。
ローブの男…スカルに利用されていたんだよ…。その心をね…。」
「そうだね…。僕は君の噂を聞きつけた時、最初はとても憧れたんだ。
人を救う為にアクセサリーを作り出し、今までに無いようなレベルのアクセサリーの力を行使する君に。
そしていつしか僕も君のような物を作りたいと思って…。
思い出してきた。
そんな時に僕の目の前にあの男が現れて…、僕の中にある過去世の記憶を引きずり出してきた。
そして僕はその記憶と君の作り出した作品の資料を基に類似品を作り出していた…。
全ては君を超える為にと言う思いで…。
君は、この国を滅ぼす力を持つ敵だと思い込まされていたんだ。」
「なるほどな。てーことはやっぱ君も元は日本人か。
一人称が僕なのはこの世界に来てからか?」
クロは俺の目をしっかり見据えて答える。
「いや、生前からだよ。それと…、大賢者。僕は生前の君に会ったことがある。それも思い出した。
僕にとっては君は生前からの憧れの人だ。
えーっと…、君がよく通っていたパワーストーンのお店があったろう?あそこで10数年前に出会った高校生を覚えてない?多分、あなたは当時高卒の社会人で僕は中学の受験生だった。
あと、こんなカッコいい見た目じゃなかったな…。
ヒョロガリメガネの…それこそヲタクって感じの男の子。
自分で言うのも辛いんだけどね…。」
「うーん…?アレか…?俺が、この出会いに感謝をって言って、受験のお守りにってアイリスクォーツを買ってあげた子。」
「そう。その通りだよ。いやぁ憶えていたんだね。
お兄さんも見た目あまり変わってないから、顔をじっくり見たらすぐに思い出したよ。久しぶりお兄さん。」
ひとまず、まかり間違ってもBLルートだけは回避したい。
俺は男の娘ならギリいけるがガチの男は無理だぞ!!
しかもこんな女の子ならかっこいい!抱いて!!ってなりそうなレベルの黒髪青目長身細マッチョに低くてかっこいい声した完璧超人!!
ぶっちゃけ近くに居たく無いレベルだよ!俺が霞んじゃうよ!!主役交代レベルだよっ!!
「さてと…。お互いの事を思い出して、僕が受けてた洗脳的な奴も完全に解けたところで諸悪の根源を討ち取りに行こうか。
悪堕ちしてた奴が味方になるって、すごく熱い展開だよね?」
「まぁね。ただ、お兄さん的には今の君がイケメン完璧超人すぎて全て持っていかれそうで恐怖しかないよ!!」
「ハハッ。心配しなくても、お兄さんのところの女の子食べたりはしないよ。美少女だらけでそそるけどさ。
僕は年上のギャル系お姉さんが大好きなんだ。都長とか。人妻で子持ちじゃなかったらなぁ…。」
数十年の間に色々とこじれてる気がするよこの子!
あの時の彼は多分だけどピュアだったのに!!
「ちなみに僕のおねショタ物が好きな性癖は生前からだよ。特にギャルに責められる系のシチュは堪らないんだ!長身細マッチョのイケメンだとMになりきれないのがつらいんだよね…。クソ…低身長の守りたい系ショタに生まれ変わりたかったよお兄さん…。」
「その情報今居る!?あと俺にその願望を突きつけないでもらえるかな!?」
などと漫才しながら、城の中にいたバットおじさんとドール屋さんも連れて俺たちは城の外へと出る。
「おう。大賢者様。無事、クロも救い出したみてぇだな。さぁて、あとは目の前のクソ野郎だけだ。」
「バットさん。私から力を受け取っておいてクソ野郎とは随分ですね。まぁ良いでしょう。
クロの洗脳が解かれるのも想定内です。さて…。あとは私を倒すだけ…ですか。まぁその考えも想定内ですよ。
クロ、私のマガツイザナギは返してもらいますね。」
そう言うと、スカルは重力魔法でクロの持っていたライトニングクォーツを奪い取る。
「まぁ、これとマガツイザナギは元々は私のために作り出したものですから。彼に使わせた事で力は十分に蓄えてくれたようです。データもたくさん揃いました。
貴方達も既に用済みです。
後は貴方達を殺し、その力を知らしめて本格的にこの国を落とすだけです。」
「そうか…。僕達の国を…貴方は滅ぼすと言うんだね。ならば、僕は僕の力で…貴方を倒すよ。」
クロが茶色い石のはめられたレザーブレスレットを右手に装着して構える。
「まさか…その石は…!?」
「甲虫皇帝(インセクトカイザー)の石だ。この世界では龍族と同等の力を持つ蟲神である甲虫皇帝。調子に乗ったお前を叩くには充分だ!甲虫皇帝…モードホッパー。変身!!」
「ホッパーっておまっ!!ズルい!!絶対お前それ狙ってただろ!!100%かっこいいやつじゃん!!」
俺は拗ねながら、クロの変身を見守る。
黒色に緑を混ぜたかのような色で日に透けると緑色に輝く腕、肩、胸、両足、そしてヘルメットの鎧。
そして所々にバッタのような模様や生物的意訳を感じる姿。
まさにバッタの西洋騎士って感じの姿に変身したクロ。
細マッチョだった変身前と違い、全身はマッシブな筋肉質になっていた。
「見せてやるよ。これが僕の本当の力だ。」
バッタ騎士がスカルに向き合う。
そしてまた、スカルもその名で呼ばれるようになった所以となる、クリスタルスカルを構えていた。
「良いでしょう。私もそろそろ遊びたいと思っていた頃です。」
二人がそう言うと同時に互いのライト二ングクォーツに力を込めていく。
お互いがその肉体を、片方は雷の魔神に、片方は虎の姿をした獣の魔神に変化させ、それぞれが銀色と黒色の鎧をその身に纏っていく。
最後にヘルメットが頭に装着されると、バイザー部分がカシャンカシャンと変形して展開されていき、バイザーの奥からそれぞれ青い瞳と赤い瞳が光り輝き変身が完了する。
「国をかけた闘いだと言うのに、冒険者の皆様も国民の皆様も随分と盛り上がって見ていますねぇ…。
私としては興醒めですよ。」
「わからないのかい?皆信じているのさ。我らが大賢者様の絶対勝利をね。ま、そうでなくても無双を誇る強さの我らの雷帝と同じような強さの黒い雷帝…。その力のぶつかり合いに高揚しない人たちもまたいないと言うわけさ。ギルド内では掛けでも起きてるだろうね。
ま、掛けなんて成立しないだろうけども。」
「ふん、自分たちの大賢者が負けないと言うような自信ですねぇ。私たちがこの20日余りの間に何もしてこなかったとでも?」
「彼は易々とその程度の事は超えてみせるよ。我らの賢者くんを…舐めるなよ小僧。」
魔女とスカルが互いに皮肉を込めた詰り合いを繰り広げる。
そんなことも梅雨知らず、変身した二人が互いに向き合う。
「君を倒せない程度ならこの国は救えない…か。
確かにそうだな。今日今までの俺は、正直なところ急に手に入れたこの力に対して、調子に乗ってたと思う。
当然ながら国を背負って戦う覚悟も、たくさんの人の命をこの拳1つで変わるかもしれないと言う覚悟も足りていなかった。
ほんの1ヶ月と少し前までは、俺はただのどこにでもいるおじさんだったからな。
当然そんな覚悟なんか無かった。
でも、今は違う。
俺には今、守りたいものが居る。大切な人がいる。
この身をもって救いたい世界がある!
そこに君が立ちはだかると言うなら、今度こそ俺は君を止める。止めてみせる。」
「御託はいい。アンタの正義を…証明してみせろ。
アンタは正しいんだろう?ならば、貫け。
アンタの正義を。
ならば、貫け。目の前の悪を!
いくぞ!大賢者!絶望がお前の…ゴールだ!!」
黒い雷帝がその鎧のスリットから紅い閃光を放ちながら勢いよく飛び込んでくる。
『参りましょうマスター。私達の本当の力をこの小童に見せつけてやりましょう。とりあえず左から拳が来ますので避けます。』
ミロちゃんの宣言通りに、クロが左から雷を纏った拳を振るってくる。
だが、身体が勝手に動く。
反射的に動く。
実際はミロちゃんが、補助してくれているのだが俺の身体は以前のようにただ力任せの戦い方ではなくなっている。
俺自身もこの短期間で、色々と鍛え上げたんだ。
お腹周りもシュッとしたし戦い方も色々と学んだ。
簡単に一撃をくれてやる隙はない!!
『次は蹴りですね。足を掴んで投げ飛ばして体勢を崩したところを乱打します。』
クロが放つ蹴りを掴み投げ飛ばすと言うよりはそのまま地面に叩きつけ、雷で加速した高速…いや、光速のパンチを一気に何発も叩きつけていく。
「ぐぅぁぁあっ!!くっ…!確かに以前より強くなったな大賢者!」
『雷を全身から吹き出すバースト攻撃により、体勢を立て直すようです。一時離脱します。』
全身からスパークを放ち俺たちを弾き飛ばそうとするも、先に距離を取った為に相手の攻撃は俺たちに一切当たっていない。
うん!確実に戦いやすくなっている…!
それに以前とは違い、本来の力を一切抑えることなくふるえるのが一番強い。
俺たちの拳は、確実に鎧を通り抜けあいつの本体にもダメージを与えている。
「僕の攻撃全てを…読まれている…?まるで優秀なAIでもついてるかのような動きだな…。」
「ご名答。大賢者を大賢者たらしめる賢い仏様が、俺にはついてるんでな。どう動いてくるかは完全に読めている。この身体は筋肉の動きではなく、魔力の流れでどう動くかが読めている。お前だってそうだった筈だ。
フェイントをかましたくてもかませないんだよ。
体の動きを読んでるわけじゃないからな。」
「なるほど…。以前の貴方ならそんな事は微塵もできず、ただがむしゃらに攻撃をしてくるだけでしたね。
戦い方もキチンと学んできた訳ですか。努力家…なんですね。わりと適当な大人だと思っていましたが…。」
「まぁ、一応会社員やってるからな。
普段は手抜きだが、やらなきゃいけないときくらいは色々と考えて努力するさ。」
俺たちの闘いを見ているスカルの顔がモニター越しに悔しそうな顔に変わっていくのが見える。
してやったりだ。
「くっ…。以前からありえないと思っていましたが、今回も軽々しく私達の上をいく成長っぷり…。
まぁ、ここまでならまだ予想の範囲内ですが…。
我々はまだ切り札を1つも使っていませんからねぇ!」
「それはマガツイザナギの事かい?さて、今の彼にどこまで通じるかな?」
何を会話してるのかはこっちの戦いの音がうるさくてよく聞き取れないが引き続き煽り合いが続いてる雰囲気は伺える。
「まだ本気じゃないんだろう大賢者。
初めから本気を出さないのは情けのつもりかい?」
「いいや?最初から本気でやりあったら疲れちゃうじゃん。」
「そうか。なら僕は…マガツイザナギの力を使わせてもらうよ。」
以前、俺が敗北を許した力を彼は纏っていく。
ただ、彼もまた以前とは違う姿へと変化していく。
鎧は西洋甲冑から肩と手甲、スネの鎧の形が和風の鎧武者のような姿へと変わっていき、以前と同じような紅く染まった槍を携えていた。
「貴方の先を読む力…、どこまで通じるかな?」
『神気の流れでは動きを読めませんね。仕方ありません。未来視の力を使用していきます。少々魔力リソースをお借りします。』
クロは槍を上空に放り投げると、無数の槍へと数を大量に増やしていく。
『未来視の意味がありませんでしたね。逃げ場はありません。こちらも同じ技で対抗しましょう。インフィニティブレード、ファイアークォーツ、イグニッション。ブルークリムゾンモード展開。インフィニティモード展開。融合形態…火雷之神剣モード展開…。成功しました。具現化します。』
同じく、俺の背後から蒼炎と白い雷を纏った大量の神剣が現れる。
『力を加速させます。伊邪那美大神モード起動。衝撃に備えてください。』
そして、俺の全身の鎧が白く輝き出し、その肩にまるで天女の羽衣でも纏ったかのような新たなる伊邪那美大神モードへと変身していく。
鎧の腰には今までなかった腰布のようなものも現れていた。
『放ちます。敵の攻撃と撃ちあい相殺していきます。』
クロが紅い槍を無数にこちら目掛けて飛ばしてくる。
俺も神剣を槍目掛けて飛ばしていき互いの力がぶつかり合い打ち消しあう。
だが、俺の力の方が上だ。
槍を打ち消した神剣はそのままクロの元へと飛んでいく。
「これなら…どうだ!!」
だが、クロは背後から城の柱くらいの太さの巨大な紅槍を飛ばしてくる。
赤い槍は俺の小さな神剣を飲み込みながら、その力をまるで減衰させる事なくこちらへと飛んできていた。
『問題ありません。想定範囲内です。』
俺の背後から無数に出現していた神剣が幾重にも重なり合い、防御陣を展開して巨大な紅槍を受け止めるとそのまま紅槍をその剣の中へと取り込んでいく。
『ファイアークォーツの相手の力を取り込み利用する力を応用させて頂きました。では、お返しいたします。』
紅槍を受け止めた神剣を集合させ巨大な剣に変形させると、俺はレールガンの要領で超高速でクロ目掛けて射出する。
「速っ…!避けられない…!」
神剣はクロの身体を一気に貫き、鎧を完全に破壊していった。
「ぐわああぁぁっ!!」
鎧が破壊された衝撃により変身は解除され、クロは人の姿へと戻っていった。
それを見届けて俺も変身を解除する。
「僕の…雷帝が…。負けるなんて…。」
「俺としても、類似品に負けるなんてのはプライドが許さないからな。今度はお前のオリジナルで来いよ?
と言うかお前、クリエイターとして人の作ったもののパクリで勝って楽しいのか?」
「楽しくない…。なんでこんな他人の作った作品のパクリなんか僕は作っていたんだ…。」
「もしかして、覚えてないとか?さっきまで一緒にいたローブの男にでも作らされたんだろう。俺の作った作品とか載ってた資料を基にして。」
「ダメだ…。あまり良く思い出せない…。」
俺たちの闘いが終わった事で城の外への中継は切れている様子だ。
逆に外の様子も伺い知ることはできない状態になっている。
ここは外へと逃げたスカルを問い詰めて、色々と詳しく聞き出すか…。
「とりあえず、ここを出るぞクロ。君が俺と闘ったのも本心では無いはずだ。
ローブの男…スカルに利用されていたんだよ…。その心をね…。」
「そうだね…。僕は君の噂を聞きつけた時、最初はとても憧れたんだ。
人を救う為にアクセサリーを作り出し、今までに無いようなレベルのアクセサリーの力を行使する君に。
そしていつしか僕も君のような物を作りたいと思って…。
思い出してきた。
そんな時に僕の目の前にあの男が現れて…、僕の中にある過去世の記憶を引きずり出してきた。
そして僕はその記憶と君の作り出した作品の資料を基に類似品を作り出していた…。
全ては君を超える為にと言う思いで…。
君は、この国を滅ぼす力を持つ敵だと思い込まされていたんだ。」
「なるほどな。てーことはやっぱ君も元は日本人か。
一人称が僕なのはこの世界に来てからか?」
クロは俺の目をしっかり見据えて答える。
「いや、生前からだよ。それと…、大賢者。僕は生前の君に会ったことがある。それも思い出した。
僕にとっては君は生前からの憧れの人だ。
えーっと…、君がよく通っていたパワーストーンのお店があったろう?あそこで10数年前に出会った高校生を覚えてない?多分、あなたは当時高卒の社会人で僕は中学の受験生だった。
あと、こんなカッコいい見た目じゃなかったな…。
ヒョロガリメガネの…それこそヲタクって感じの男の子。
自分で言うのも辛いんだけどね…。」
「うーん…?アレか…?俺が、この出会いに感謝をって言って、受験のお守りにってアイリスクォーツを買ってあげた子。」
「そう。その通りだよ。いやぁ憶えていたんだね。
お兄さんも見た目あまり変わってないから、顔をじっくり見たらすぐに思い出したよ。久しぶりお兄さん。」
ひとまず、まかり間違ってもBLルートだけは回避したい。
俺は男の娘ならギリいけるがガチの男は無理だぞ!!
しかもこんな女の子ならかっこいい!抱いて!!ってなりそうなレベルの黒髪青目長身細マッチョに低くてかっこいい声した完璧超人!!
ぶっちゃけ近くに居たく無いレベルだよ!俺が霞んじゃうよ!!主役交代レベルだよっ!!
「さてと…。お互いの事を思い出して、僕が受けてた洗脳的な奴も完全に解けたところで諸悪の根源を討ち取りに行こうか。
悪堕ちしてた奴が味方になるって、すごく熱い展開だよね?」
「まぁね。ただ、お兄さん的には今の君がイケメン完璧超人すぎて全て持っていかれそうで恐怖しかないよ!!」
「ハハッ。心配しなくても、お兄さんのところの女の子食べたりはしないよ。美少女だらけでそそるけどさ。
僕は年上のギャル系お姉さんが大好きなんだ。都長とか。人妻で子持ちじゃなかったらなぁ…。」
数十年の間に色々とこじれてる気がするよこの子!
あの時の彼は多分だけどピュアだったのに!!
「ちなみに僕のおねショタ物が好きな性癖は生前からだよ。特にギャルに責められる系のシチュは堪らないんだ!長身細マッチョのイケメンだとMになりきれないのがつらいんだよね…。クソ…低身長の守りたい系ショタに生まれ変わりたかったよお兄さん…。」
「その情報今居る!?あと俺にその願望を突きつけないでもらえるかな!?」
などと漫才しながら、城の中にいたバットおじさんとドール屋さんも連れて俺たちは城の外へと出る。
「おう。大賢者様。無事、クロも救い出したみてぇだな。さぁて、あとは目の前のクソ野郎だけだ。」
「バットさん。私から力を受け取っておいてクソ野郎とは随分ですね。まぁ良いでしょう。
クロの洗脳が解かれるのも想定内です。さて…。あとは私を倒すだけ…ですか。まぁその考えも想定内ですよ。
クロ、私のマガツイザナギは返してもらいますね。」
そう言うと、スカルは重力魔法でクロの持っていたライトニングクォーツを奪い取る。
「まぁ、これとマガツイザナギは元々は私のために作り出したものですから。彼に使わせた事で力は十分に蓄えてくれたようです。データもたくさん揃いました。
貴方達も既に用済みです。
後は貴方達を殺し、その力を知らしめて本格的にこの国を落とすだけです。」
「そうか…。僕達の国を…貴方は滅ぼすと言うんだね。ならば、僕は僕の力で…貴方を倒すよ。」
クロが茶色い石のはめられたレザーブレスレットを右手に装着して構える。
「まさか…その石は…!?」
「甲虫皇帝(インセクトカイザー)の石だ。この世界では龍族と同等の力を持つ蟲神である甲虫皇帝。調子に乗ったお前を叩くには充分だ!甲虫皇帝…モードホッパー。変身!!」
「ホッパーっておまっ!!ズルい!!絶対お前それ狙ってただろ!!100%かっこいいやつじゃん!!」
俺は拗ねながら、クロの変身を見守る。
黒色に緑を混ぜたかのような色で日に透けると緑色に輝く腕、肩、胸、両足、そしてヘルメットの鎧。
そして所々にバッタのような模様や生物的意訳を感じる姿。
まさにバッタの西洋騎士って感じの姿に変身したクロ。
細マッチョだった変身前と違い、全身はマッシブな筋肉質になっていた。
「見せてやるよ。これが僕の本当の力だ。」
バッタ騎士がスカルに向き合う。
そしてまた、スカルもその名で呼ばれるようになった所以となる、クリスタルスカルを構えていた。
「良いでしょう。私もそろそろ遊びたいと思っていた頃です。」
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