オレにだけ「ステイタス画面」っていうのが見える。

黒茶

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帝国の危機。

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 聖獣三体を仲間にして数日後。
とうとうオレの左上の本が光った。
 新しい予言だ。

『これから王宮のはずれの庭園に封印された魔獣の長が復活するよ!
仲間にした三体の聖獣とパートナーでこの帝国の危機を救おう!』

と書かれていた。

 すぐに先輩に手紙を届けた。
 先輩から

『王宮にすぐに連絡をする。
騎士団の精鋭も今回の件にはフォローに入ってくれることになっている。
俺が迎えにいくから準備をしていて』

と返ってきた。

 先輩と共に王宮に着くと、
皇帝陛下、王太子殿下、それと先輩のお父上も迎えてくれた。

「クラウス=アイゼンシュタット、神子の役割を引き受けてくれて改めて感謝する。
我々にできることは少ないが、精一杯のフォローはさせてもらう」

と皇帝陛下がおっしゃった。

「いえ、オレにできることをするだけです、陛下」

とオレが答えると、

「こんな若者が魔法騎士学院にいるとは、帝国の未来は明るいな」

と陛下は少しだけ微笑んだ気がした。

 すると試練のときに受け取ったペンダントが光ったと思うと、
神獣たちが目の前に現れた。
 その三体を見て、陛下や王太子殿下、先輩のお父上は跪いた。

「この帝国をお守りいただく神獣様方にお目にかかれて恐悦至極に存じます」

と皇帝陛下が言う。

 皇帝を跪かせるとは、やはりこの三体はすごいんだな。
銀鷲様や金獅子様の試練の緩さでちょっと忘れていた。

「神子やそのパートナーには伝えたが、
我々は魔獣の長のためにやっていることだ。
とはいえ、今代の神子とそのパートナーはなかなかよい人間のようだから、
この国の人間たちにも被害がないように、精一杯努力することを約束しよう。
つい、我々も力を貸したくなってしまうような二人だ」

と金獅子様が言った。

 うおー!心強い!

 オレがこっそりガッツポーズをすると、
それを見ていたヴァルター先輩がオレの肩を抱いてふっと笑った。


 そしてオレと先輩と神獣たちは予言にあった王宮のはずれの庭園とやらに来た。
 
 そこには大きな魔獣のようなものが、咆哮を上げて暴れようとしていた。

 黒竜様に似ているけど、違うのは胴体。
身体の全体がヘビのように長かった。
竜ではなく、龍、というのが正しいのかな。なんとなく。

 かろうじて暴れていないのは、精鋭であろう騎士団員たちが結界を張って拘束していたからだ。
でもそれもギリギリなのはこちらにも伝わってきた。

 金獅子様が騎士団たちに言った。

「お前たちはここから去れ。
そして王宮全体に結界を張ることに全力を注げ。
今代の神子たちは、帝国の民に不安を与えないため、
魔獣の長の姿を民に見られることを望んでいない。
認識阻害の付与も忘れるな」

 騎士団員たちは金獅子様の姿を見るのは初めてのはずだが、
予め上層部から指示を受けていたのだろう、金獅子様の指示にすっと従った。

「さて、お前と対面するのは300年ぶりだな。
自我を取り戻せるならよかったのだが、今回もまた封印させてもらうぞ」

と黒竜様が言った。

 するとその龍がこちらに攻撃をしかけてきた。

 先輩がすばやくオレの前に立ち、
「クラウス、来るよ、構えて」
と指示を出してくれる。

 黒竜様が火を吐き、銀鷲様が氷の塊を展開し、金獅子様が風で障壁をつくる。
連携すごっ。

 そこに入っていって、先輩が闇魔法で身体拘束の技をかけ、龍の動きが鈍った。

「よし、では我々が三体で封印の魔法をかける。
クラウスとヴァルターは私に触れながら魔力を流してくれ。」

と銀鷲様が言う。

「この封印魔法への魔力供給は愛があるものではないと拒否反応が起きてしまうんだ。
クラウスとヴァルターの愛なら十分だ」

と銀鷲様が続けた。

 そうか、あの試練はちゃんと意味があるものだったのか。
あのときは正直「何言ってんだコイツ」という言葉が脳裏をよぎったが、
本当に言わなくてよかった。オレも成長した。

 オレと先輩は銀鷲様に触れて、自分の魔力を流し始めた。

が、オレの魔力はそんなに多くない。
鍛練で少し増えたとは言え、一般人レベルの域だ。
すぐに息が上がり始めた。

 先輩もオレの分まで魔力を流しているのか、かなりつらそうに見えた。

 しかし、封印はまだうまくいかないようで、
むしろ龍がこちらの拘束をはねのけようとしているように見える。

 どうしよう。

 そのとき、先輩がオレに小さな声で言った。

「クラウス・・・我がノイエンドルフ家には秘術があるんだ・・・
人生で一回だけ使える・・・魔力を上げる術が・・・
今から使うね・・・安心して・・・大丈夫だから・・・」

「え?人生で一回?そんな技をここで!?」

「うん・・・任せて・・・」

 そう言って先輩はさらに力を入れた。

 そして先輩の口が動いた。

 何も聞こえなかったけど、オレにはそれが

『ごめんね』

と言ったように見えた。


 すると一気に魔力が流れ、龍や神獣たちやオレ達は光に包まれた。

 まぶしさにうっかり目を閉じ、光がおさまったようなのでそっと目を開けると、
もう龍はいなかった。

「お前たちのおかげで、今回も魔獣の長を無事に封印することができた。
協力を感謝する」

と金獅子様が言った。

「先輩やりましたよ!オレ達、帝国の危機を救ったんですよ!」

と先輩のほうを向いたとき。

 オレは気付いた。

 先輩が倒れていることに。

「先輩?先輩!!どうしたんですか!!??」

 オレが先輩に駆け寄って上体を抱き寄せた。

 呼吸が止まっていた。

 銀鷲様が口を開いた。

「ヴァルターは、最後に己の命を魔力に変換する技を使ったのだ」

 え、なんで。どうして。

 確かに人生で一回しか使えないね。己の命と引き換えだもんね。

 でも先輩、安心して、大丈夫だから、って言ったじゃん!
なんでウソつくんだよ。
オレにはウソは言わないって言ったじゃん!
ウソつきな先輩だけど、
オレにはウソはつかないって言ったじゃん!!

「なんでだよ、先輩ー!!!!!!」

オレの泣き叫ぶ声が、帝国の危機が去り、静寂が戻った庭園に響き渡った。






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安心してください。
このお話、ハピエン確定ですので。
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