ほしとたいようの診察室

おにぎりマーケット

文字の大きさ
27 / 62
緊急入院と夏

主治医会議〜やれやれ〜

しおりを挟む

side:吹田


「お疲れ様です」

少し疲れた顔をした大海先生が、医局へ今後の打ち合わせに来た。
あぁ、その感じだと……大変だったんだろう。

「お疲れ様。どうだったのんちゃん」

聞くまでもないけれど……

「膣内にだいぶ経血たまってて……本人にはつらいことをしてしまいました」

ってことは、奥の手かなとか言ってた機械、もう使うことになっちゃったんだ。のんちゃん相手にやるなぁ……大海先生。
……本当にお疲れ様だ。

「あー……やっぱり。仕方ないよね。大海先生、のんちゃん、だいぶホルモン剤の血中濃度下がっちゃってるけど、どこから始めた?」

「5mgです。治療の後に点滴落として、いちばん弱くて少ないところから始めてみました。副作用どこまで出るかわからないですが……まぁ……」

大海先生の治療方針は決まっているみたいだ。

「やー、でもちょっとずつ増やしていくしかないよね?」

「うんー、やらない選択はないですよ~」

のんちゃん本人がとてもかわいそうなことになるのは予想できる。それは大海先生も予想していた。

「でも薬で戻してご飯食べなくなって、体力が落ちたところに喘息も重なってしまったら……。相当厳しいことになりそうなんですよねぇ」

「そうだねぇ」

深いため息が、俺からも大海先生からも出る。
のんちゃん、調子崩すとグズって治療が進まないかもしれないんだよなぁ……

「じゃあそしたら、酷くならないうちに喘息の治療も並行しようか」

「1日1回ネブライザーですか?」

「うん。これも上手くいかないと泣いちゃいそうだけど……ちい〇わみたいに」

冗談めかして言うと、大海先生も笑う。

「吹田先生、意外とそういうの知ってるんですね」

「うん、だってあれかわいいじゃん」

「え、吹田先生もかわいいとか思うんだ……」

「俺の事なんだと思ってるの?」

「ふふ、すみません」

やっと、大海先生の表情が柔らかくなる。
ってか、研修医の時から大海先生のことは知ってるけれど、表情固い大海先生って初めてみた気がする。
おっとりしてるけど、割と色んなことをそつなくこなすイメージあったから……外来のときからののんちゃんに気配りできなかったこと、落ち込んでんのかなぁ。

あののんちゃんだから、今回のは仕方ないと思うけど。っていうか、のんちゃんが小さい頃から変わらなすぎるんだよなぁ。嫌なことからとことん逃げるからさ。
逃げる力がすごいのよ、あの子は。

大海先生は、

「喘息の治療と並行して、弱めのホルモン剤で慣らしていけたらベストですかねぇ……そうしてる間に、あの感じだと腹痛かなりでそうなんですけど……いけるかなぁ」

と、カルテを見つめながら、心配している。

でもやるでしょうよ、大海先生は。
大海先生、自分では無自覚だけど、意外と鬼なの知ってるよ、俺。

「でもさ、小児の時の先生方もいるし。上手くいかなきゃパワーで解決もできるよ。大丈夫大丈夫」

「吹田先生……こわ」

大海先生はそんなこと言って、少し引いたような顔するけれど、のんちゃんにとっておっかないのはお互い様でしょう。

「冗談だよ。でも陽太先生と優先生と蒼音くんにはサポートお願いしておく」

「それがいいですね、こっちも叶恵さんは確保してます」


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写と他もすべて架空です。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

処理中です...