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緊急入院と夏
主治医会議〜やれやれ〜
しおりを挟むside:吹田
「お疲れ様です」
少し疲れた顔をした大海先生が、医局へ今後の打ち合わせに来た。
あぁ、その感じだと……大変だったんだろう。
「お疲れ様。どうだったのんちゃん」
聞くまでもないけれど……
「膣内にだいぶ経血たまってて……本人にはつらいことをしてしまいました」
ってことは、奥の手かなとか言ってた機械、もう使うことになっちゃったんだ。のんちゃん相手にやるなぁ……大海先生。
……本当にお疲れ様だ。
「あー……やっぱり。仕方ないよね。大海先生、のんちゃん、だいぶホルモン剤の血中濃度下がっちゃってるけど、どこから始めた?」
「5mgです。治療の後に点滴落として、いちばん弱くて少ないところから始めてみました。副作用どこまで出るかわからないですが……まぁ……」
大海先生の治療方針は決まっているみたいだ。
「やー、でもちょっとずつ増やしていくしかないよね?」
「うんー、やらない選択はないですよ~」
のんちゃん本人がとてもかわいそうなことになるのは予想できる。それは大海先生も予想していた。
「でも薬で戻してご飯食べなくなって、体力が落ちたところに喘息も重なってしまったら……。相当厳しいことになりそうなんですよねぇ」
「そうだねぇ」
深いため息が、俺からも大海先生からも出る。
のんちゃん、調子崩すとグズって治療が進まないかもしれないんだよなぁ……
「じゃあそしたら、酷くならないうちに喘息の治療も並行しようか」
「1日1回ネブライザーですか?」
「うん。これも上手くいかないと泣いちゃいそうだけど……ちい〇わみたいに」
冗談めかして言うと、大海先生も笑う。
「吹田先生、意外とそういうの知ってるんですね」
「うん、だってあれかわいいじゃん」
「え、吹田先生もかわいいとか思うんだ……」
「俺の事なんだと思ってるの?」
「ふふ、すみません」
やっと、大海先生の表情が柔らかくなる。
ってか、研修医の時から大海先生のことは知ってるけれど、表情固い大海先生って初めてみた気がする。
おっとりしてるけど、割と色んなことをそつなくこなすイメージあったから……外来のときからののんちゃんに気配りできなかったこと、落ち込んでんのかなぁ。
あののんちゃんだから、今回のは仕方ないと思うけど。っていうか、のんちゃんが小さい頃から変わらなすぎるんだよなぁ。嫌なことからとことん逃げるからさ。
逃げる力がすごいのよ、あの子は。
大海先生は、
「喘息の治療と並行して、弱めのホルモン剤で慣らしていけたらベストですかねぇ……そうしてる間に、あの感じだと腹痛かなりでそうなんですけど……いけるかなぁ」
と、カルテを見つめながら、心配している。
でもやるでしょうよ、大海先生は。
大海先生、自分では無自覚だけど、意外と鬼なの知ってるよ、俺。
「でもさ、小児の時の先生方もいるし。上手くいかなきゃパワーで解決もできるよ。大丈夫大丈夫」
「吹田先生……こわ」
大海先生はそんなこと言って、少し引いたような顔するけれど、のんちゃんにとっておっかないのはお互い様でしょう。
「冗談だよ。でも陽太先生と優先生と蒼音くんにはサポートお願いしておく」
「それがいいですね、こっちも叶恵さんは確保してます」
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