18 / 55
シュシュ、それは犬ではなくフェンリルだ
しおりを挟む
シュシュが幻獣を拾った。名前はシエル。フェンリルだ。何故か俺には吠えるのにシュシュには懐く。いやまあ、シュシュの番犬としてはそのくらいの方が心強いので別にいいが。…別にいいんだが。うん。
シュシュはシエルを大層気に入ったようで、毎日欠かさず散歩に連れて行く。芸も仕込んでいるし、面倒もみている。シエルの体を洗って乾かした後、ブラッシングするのが最近のシュシュの趣味だ。まるで本物の犬にするかのように世話をする、そんな無邪気なシュシュにはそれは犬ではなくフェンリルだとは言いづらい。いつかは気付くとは思うが…。
それはそうと、シュシュの番犬として飼うためにもそろそろシエルに稽古をつけないといけない。シュシュからシエルを借りて、俺直々に教えてやろう。…言うことを聞いてくれるといいんだが。
「シュシュ、すまない。少しの間でいいから、シエルを借りていいか?」
「ニタもシエルを可愛がりたいんですか?」
「いや、シュシュの番犬として躾ける」
「えっ…そんな、大丈夫ですよ?」
「いや、シエルもシュシュのことが好きなようだし、シュシュもシエルと四六時中ずっと一緒にいたいんだろう?」
「それはそうですけど、シエルはまだ子供ですし…」
「今のうちから躾ければ、将来的にシエルのためにもなる。だめか?」
「うーん…シエルはどうしたい?」
「わん!」
「お、シエルが珍しく俺のそばに来た」
「うーん…シエルが学びたいなら…シエル、嫌になったらすぐに私のところに逃げておいで」
「わん!わん!」
「そんなに厳しくする気はないから、安心しろ。じゃあシエル借りて行くな、シュシュ」
「はい、ニタ。シエルをよろしくお願いしますね」
「任せろ」
そうして俺とシエルは中庭に来た。
「シエル。これからは俺が、時間を見つけては稽古をつけてやる。シュシュの番犬として、必要な技術を身につけておけ」
「ばう!ばう!」
「よし。まずは俺の攻撃を全て避けてみろ」
俺は模造刀を使いシエルに斬りかかる。
「ばう!ばう!…きゃいんっ」
「シエル、怯むな。良く剣筋を見ろ」
「ばう!ばう!」
「その意気だ」
そうして俺たちの稽古は何時間にも及んだ。シエルは俺の指導を良く聞き、稽古を終える頃には全ての攻撃を避けられるようになった。
「ばう!ばう!」
「シエル、良くやった。合格だ」
「ばう!ばう!」
「これからもシュシュを頼むな」
「わん!」
シュシュの名前を出すとすぐご機嫌になる…。俺にも少しは懐けばいいのに。
「シエル、ニタ!」
「シュシュ」
「わん!わん!」
シュシュに向かい駆け出すシエル。こうして見ると本当に犬みたいだな。
「お疲れ様でした、ニタ。シエルも頑張ったね」
「わん!わん!」
「ふふ、シエルは可愛いなぁ」
「俺にも少しは可愛げを見せて欲しいものだがな」
「わん!」
「ふふ、すぐに懐きますよ」
「そうか?」
「はい!」
「わん!」
ともかく、シュシュに心強い味方が出来たのは良かった。
シュシュはシエルを大層気に入ったようで、毎日欠かさず散歩に連れて行く。芸も仕込んでいるし、面倒もみている。シエルの体を洗って乾かした後、ブラッシングするのが最近のシュシュの趣味だ。まるで本物の犬にするかのように世話をする、そんな無邪気なシュシュにはそれは犬ではなくフェンリルだとは言いづらい。いつかは気付くとは思うが…。
それはそうと、シュシュの番犬として飼うためにもそろそろシエルに稽古をつけないといけない。シュシュからシエルを借りて、俺直々に教えてやろう。…言うことを聞いてくれるといいんだが。
「シュシュ、すまない。少しの間でいいから、シエルを借りていいか?」
「ニタもシエルを可愛がりたいんですか?」
「いや、シュシュの番犬として躾ける」
「えっ…そんな、大丈夫ですよ?」
「いや、シエルもシュシュのことが好きなようだし、シュシュもシエルと四六時中ずっと一緒にいたいんだろう?」
「それはそうですけど、シエルはまだ子供ですし…」
「今のうちから躾ければ、将来的にシエルのためにもなる。だめか?」
「うーん…シエルはどうしたい?」
「わん!」
「お、シエルが珍しく俺のそばに来た」
「うーん…シエルが学びたいなら…シエル、嫌になったらすぐに私のところに逃げておいで」
「わん!わん!」
「そんなに厳しくする気はないから、安心しろ。じゃあシエル借りて行くな、シュシュ」
「はい、ニタ。シエルをよろしくお願いしますね」
「任せろ」
そうして俺とシエルは中庭に来た。
「シエル。これからは俺が、時間を見つけては稽古をつけてやる。シュシュの番犬として、必要な技術を身につけておけ」
「ばう!ばう!」
「よし。まずは俺の攻撃を全て避けてみろ」
俺は模造刀を使いシエルに斬りかかる。
「ばう!ばう!…きゃいんっ」
「シエル、怯むな。良く剣筋を見ろ」
「ばう!ばう!」
「その意気だ」
そうして俺たちの稽古は何時間にも及んだ。シエルは俺の指導を良く聞き、稽古を終える頃には全ての攻撃を避けられるようになった。
「ばう!ばう!」
「シエル、良くやった。合格だ」
「ばう!ばう!」
「これからもシュシュを頼むな」
「わん!」
シュシュの名前を出すとすぐご機嫌になる…。俺にも少しは懐けばいいのに。
「シエル、ニタ!」
「シュシュ」
「わん!わん!」
シュシュに向かい駆け出すシエル。こうして見ると本当に犬みたいだな。
「お疲れ様でした、ニタ。シエルも頑張ったね」
「わん!わん!」
「ふふ、シエルは可愛いなぁ」
「俺にも少しは可愛げを見せて欲しいものだがな」
「わん!」
「ふふ、すぐに懐きますよ」
「そうか?」
「はい!」
「わん!」
ともかく、シュシュに心強い味方が出来たのは良かった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
453
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる