王女なのに虐げられて育った私が、隣国の俺様皇帝の番ですか?-または龍神皇帝の溺愛日記-

下菊みこと

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メランコーリッシュ、春の便りを受け取る

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今日もニタとシエルと一緒に中庭をお散歩します。積もる雪がとても綺麗な白銀の世界で、私は昼の便りを受け取りました。梅の開花です!まだ一つだけですが、白い花が綺麗に咲いています!

「見てください、ニタ、シエル!春の便りが届きましたよ!」

「ん?…ああ、風待草か。よく見つけたな」

「わん!」

優しく微笑み私の頭を撫でてくれるニタ。シエルは春の訪れを喜ぶように私の足元をぐるぐるとご機嫌に回ります。ふと、ウグイスの鳴き声が聞こえてきました。

「おや。春告鳥も鳴いているな」

「わん!わん!」

「まだまだ冬ですが、もう春が近づいているのですね…」

「シュシュと過ごす春、楽しみだな。花見をしよう。エイプリルフールも楽しもうな。イースターもいいな」

「行事が目白押しですね!今から楽しみです!」

「わん!」

「シエルも一緒に楽しもうね!」

「わふっ!」

春の便りを受け取った私はご機嫌で庭を進みます。シンビジウムやシクラメンも美しく咲き誇り、中庭は綺麗なお花で賑わっていました。

お昼になると、食卓にふきのとうのフライや明日葉の炒め物が並びます。食事でも春の兆しを感じられるのは、なんだかすごくいいなぁと思います。

「ニタ、ふきのとうですね」

「ああ。いよいよ春も近づいてきたな」

「まだまだ寒いですが、早く暖かくなるといいですね」

「そうだな」

春が今から楽しみです!

「そういえば、今日は午後からロロが来るぞ」

「そうなんですか?嬉しいです!」

「ああ。ロロに付き合ってやってくれ」

「もちろんです!」

ということで、昼食後にプーロ様とお会いします。

「ご機嫌よう、メランコーリッシュ王女!」

「ご機嫌よう、プーロ様!」

「そういえば、そろそろバレンタインデーが近いてきましたわね!」

「バレンタインデーですか?」

「ええ。大切な人に贈り物をする日ですわ!」

「素敵ですね…!」

「その様子ではニタ従兄様へのプレゼントもまだですわね?私のお抱え商人を呼びますから、一緒に選びますわよ!」

「はい!」

ということで、ニタには二十一本の薔薇の花束を用意しました。花言葉は「あなただけに尽くします」です。ちょっと照れちゃいますね。プーロ様には花型の可愛らしい入浴剤を買いました。ラットフィナート様には読書が趣味ということでしたので花の栞を買いました。喜んでくださるといいのですが。

ー…

バレンタインデーです!早速ニタに花束をプレゼントします!

「おはよう、シュシュ」

「おはようございます、ニタ。ハッピーバレンタインです!」

背中に隠していた花束をプレゼントすると、目を丸めるニタ。ふふ、ちょっと可愛いです。

「ありがとう、シュシュ。部屋に飾るな」

微笑むニタにホッとします。

「喜んでいただけて嬉しいです!」

「ああ。俺からも、プレゼントがあるんだ」

「なんでしょうか?」

「これ、よかったら」

ニタからプレゼントされたのは、丁寧に包装された箱。包装を解いてみると、宝石がふんだんに使われた薔薇のブローチでした。

「ニタ、ありがとうございます。すごく嬉しいです。毎日身につけますね」

「ああ。これには俺の魔法がかかっていて、毒物に反応するようになっているから。大切に持っていてくれ」

「毒物…ですか?はい、わかりました」

なぜそんな物騒な話になるのかはわかりませんが、ニタが言うなら肌身離さず持っていましょう。

「メランコーリッシュ王女!ニタ従兄様!ご機嫌よう!」

「皇帝陛下、メランコーリッシュ王女殿下、ご機嫌麗しゅう」

「おはようございます、プーロ様、ラットフィナート様」

「おはよう。来てくれたんだな」

「バレンタインデーですもの、当たり前ですわ!はい、ニタ従兄様には花の刺繍を入れたハンカチですわ。メランコーリッシュ王女とお揃いですわよ。はい、メランコーリッシュ王女もどうぞ」

「ありがとうございます、プーロ様」

「ありがとう、ロロ。ロロには最近流行りの劇のチケットだ。ナートにも同じものをプレゼントするから、二人で行ってこい」

「あ、これ見たかった劇!ありがとうございます、ニタ従兄様!」

「皇帝陛下、ありがとうございます。僕からはお菓子の詰め合わせです」

「ありがとう、ナート」

「プーロ様、よかったらこれ、入浴剤なんですけど受け取ってください」

「まあ!センスがいいですわね。ありがとう、メランコーリッシュ王女」

「ラットフィナート様にはこちらを」

「ありがとうございます、メランコーリッシュ王女殿下。僕からは茶葉の詰め合わせをどうぞ」

「ありがとうございます、ラットフィナート様」

こうしてバレンタインデーも楽しく過ごしたのでした。
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