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メランコーリッシュ、命を狙われる
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今日は貴族のご令嬢方とお茶会を開くことになりました。そろそろ社交界にデビューする準備をした方がいいだろうからと、ニタがこの場を用意してくれたのです。
「はじめまして、メランコーリッシュ・パラディース王女殿下におかれましては、ご機嫌麗しく。私、アレラーミチ公爵家のジュリアと申します」
「はじめまして、メランコーリッシュ・パラディース王女殿下におかれましては、ご機嫌麗しく。私はヴィドー侯爵家のマルティーナと申します」
「はじめまして、メランコーリッシュ・パラディース王女殿下におかれましては、ご機嫌麗しく。私はオルシーニ伯爵家のグレタと申します」
「私は…」
「はじめまして、私…」
爵位と名前と顔を覚えるのに必死ですが、顔に出さないように気をつけます。
「では、皆様こちらへどうぞ」
「はい、王女殿下」
皆様をお連れして中庭へ行きます。中庭は今、桜が咲き誇っているのでちょうど良かったです。
「まあ!こんなに桜が!とても素敵ですね」
「はい。皆様とこの景色を楽しむことが出来て嬉しいです」
「私達もですわ、メランコーリッシュ王女殿下」
皆様も桜を褒め称え、一緒に楽しんでくださいます。
「もう、皇帝陛下とはお花見をしたんですの?」
「はい。とても楽しかったです」
「まあ、お熱いですわね!」
「皇帝陛下はメランコーリッシュ王女殿下のことを特別愛されているとか」
「ふふ。はい」
愛されているという自覚はあります。
「まあ!羨ましいですわ。私のなんて運命の番もまだわからないんですのよ?覚醒が待ち遠しいですわ」
マルティーナ様は頬に手を当てて困り顔。亜人族の覚醒はいつ起こるかわからないのが厄介なのです。まあ、若いうちに覚醒出来るのは決まっているので、それが救いでしょうか?
「でもあの皇帝陛下がメランコーリッシュ王女殿下にデレデレしているなんて、想像がつきませんわ」
「皇帝陛下はいつでもクールですものね」
「わかりますわ」
…ニタはどんなイメージを持たれているのでしょうか?
「ところで、皇帝陛下といえばあの美貌ですわよね」
「本当!いつ見てもお美しいですわ!」
「メランコーリッシュ王女殿下も、皇帝陛下の運命の番だけあってとてもお美しいですわよね」
て、照れちゃいます。
「いえ、そんな…皆様もお美しいですよ」
「まあ!嬉しいですわ」
「メランコーリッシュ王女殿下のようなお美しい方にそう言って頂けると、なんだかむず痒いですわね」
でもお世辞抜きに、皆様美人ばかりです。
「ところでメランコーリッシュ王女殿下。私、おすすめの茶葉をお持ちしましたの。よかったらお淹れしてもよろしいかしら?」
「はい、喜んで」
マルティーナ様が紅茶を淹れてくださった。うん、美味しい。
「美味しいです。ありがとうございます、マルティーナ様」
「ふふ、いえいえ」
ー…
「メランコーリッシュ王女殿下。本日はご招待いただきありがとうございました」
「今度は是非私達のお茶会にもおいでくださいね?」
「ありがとうございます」
ひとしきりお茶会を楽しむと、あっという間にお開きの時間になってしまいました。ちょっとだけ寂しいですね。また皆様にお会いしたいです。
「ごふっ、ごほっ」
ーあれ?なんでしょう、なんだか、変な咳が。
「…!?い、嫌ぁ!メランコーリッシュ王女殿下ぁっ!」
「ち、血が!誰か!お医者様を!」
「お前達、皇帝陛下をお呼びなさい!」
「王女殿下、大丈夫ですか!?」
「くすくす…」
あ、私、血を吐いたのですね。身体から力が抜けて、もう動けません。ああ。マルティーナ様の淹れてくださった紅茶に毒が仕込まれていたのですね。…でも、こういう時に限ってニタのくれた薔薇のブローチを身につけていなかった私が悪いんです。皆様、そんな顔をしないで。
私の意識はここで途切れました。
「はじめまして、メランコーリッシュ・パラディース王女殿下におかれましては、ご機嫌麗しく。私、アレラーミチ公爵家のジュリアと申します」
「はじめまして、メランコーリッシュ・パラディース王女殿下におかれましては、ご機嫌麗しく。私はヴィドー侯爵家のマルティーナと申します」
「はじめまして、メランコーリッシュ・パラディース王女殿下におかれましては、ご機嫌麗しく。私はオルシーニ伯爵家のグレタと申します」
「私は…」
「はじめまして、私…」
爵位と名前と顔を覚えるのに必死ですが、顔に出さないように気をつけます。
「では、皆様こちらへどうぞ」
「はい、王女殿下」
皆様をお連れして中庭へ行きます。中庭は今、桜が咲き誇っているのでちょうど良かったです。
「まあ!こんなに桜が!とても素敵ですね」
「はい。皆様とこの景色を楽しむことが出来て嬉しいです」
「私達もですわ、メランコーリッシュ王女殿下」
皆様も桜を褒め称え、一緒に楽しんでくださいます。
「もう、皇帝陛下とはお花見をしたんですの?」
「はい。とても楽しかったです」
「まあ、お熱いですわね!」
「皇帝陛下はメランコーリッシュ王女殿下のことを特別愛されているとか」
「ふふ。はい」
愛されているという自覚はあります。
「まあ!羨ましいですわ。私のなんて運命の番もまだわからないんですのよ?覚醒が待ち遠しいですわ」
マルティーナ様は頬に手を当てて困り顔。亜人族の覚醒はいつ起こるかわからないのが厄介なのです。まあ、若いうちに覚醒出来るのは決まっているので、それが救いでしょうか?
「でもあの皇帝陛下がメランコーリッシュ王女殿下にデレデレしているなんて、想像がつきませんわ」
「皇帝陛下はいつでもクールですものね」
「わかりますわ」
…ニタはどんなイメージを持たれているのでしょうか?
「ところで、皇帝陛下といえばあの美貌ですわよね」
「本当!いつ見てもお美しいですわ!」
「メランコーリッシュ王女殿下も、皇帝陛下の運命の番だけあってとてもお美しいですわよね」
て、照れちゃいます。
「いえ、そんな…皆様もお美しいですよ」
「まあ!嬉しいですわ」
「メランコーリッシュ王女殿下のようなお美しい方にそう言って頂けると、なんだかむず痒いですわね」
でもお世辞抜きに、皆様美人ばかりです。
「ところでメランコーリッシュ王女殿下。私、おすすめの茶葉をお持ちしましたの。よかったらお淹れしてもよろしいかしら?」
「はい、喜んで」
マルティーナ様が紅茶を淹れてくださった。うん、美味しい。
「美味しいです。ありがとうございます、マルティーナ様」
「ふふ、いえいえ」
ー…
「メランコーリッシュ王女殿下。本日はご招待いただきありがとうございました」
「今度は是非私達のお茶会にもおいでくださいね?」
「ありがとうございます」
ひとしきりお茶会を楽しむと、あっという間にお開きの時間になってしまいました。ちょっとだけ寂しいですね。また皆様にお会いしたいです。
「ごふっ、ごほっ」
ーあれ?なんでしょう、なんだか、変な咳が。
「…!?い、嫌ぁ!メランコーリッシュ王女殿下ぁっ!」
「ち、血が!誰か!お医者様を!」
「お前達、皇帝陛下をお呼びなさい!」
「王女殿下、大丈夫ですか!?」
「くすくす…」
あ、私、血を吐いたのですね。身体から力が抜けて、もう動けません。ああ。マルティーナ様の淹れてくださった紅茶に毒が仕込まれていたのですね。…でも、こういう時に限ってニタのくれた薔薇のブローチを身につけていなかった私が悪いんです。皆様、そんな顔をしないで。
私の意識はここで途切れました。
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