女公爵は軽薄に笑う

下菊みこと

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女公爵は路地裏に足を踏み入れる

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アンジェリクはリュカを連れていつもの場所に行く。とある領地の貧民街の路地裏、そこにいつも彼女はいる。情報屋、アルファ。正直頼りにならない時もあるが、その辺の情報屋よりは耳がいい。

「あらー!アンジェリク様とリュカ様!こんなところにおいでになるなんて、また献上品探し?」

「ええ。とあるアレキサンドライトを探しているの。わかるかしら?」

「あー、もしかして、アレ?コント・ド・フェ・アレキサンドライト?」

「そうよ」

「皇女殿下はやっぱりお目が高いわね!えーっとね、今はとあるマフィアが持ってるわよー」

「マフィアの手に渡る前はどこにあったのです?」

「どこっていうか…最近になって闇オークションにかけられてね?出品した人は秘密らしいのよー」

「あら、闇オークション…参加したかったものだわ。面白そう」

「いや、普通に亡国の貴族の娘とか売ってるからアンジェリク様には刺激が強いかも」

「あら、人身売買?あとでその闇オークションの情報ももらえるかしら?」

「もちろん、いいけど…でも、あの闇オークションが店じまいしたら困る人もいっぱいいるよ?」

「ふふ、皇女殿下は人身売買が嫌いなの。人身売買さえやめてくれればこちらとしても手を出す必要はないわね。まあ、とりあえずまずはアレキサンドライトの情報からね」

「おっけー」

「それで、そのマフィアの名前は?」

「テンペスタファミリー」

「あら、異国の方ね」

「最近ターブルロンド皇国にまで進出してきた新手のファミリーですね。たまにエルドラドのカジノにちょっかいを掛けてくれていますが…いかがしますか?」

「…さあ?たまには狩りも悪くはないと思うけれど」

「それで情報料だけど、アンジェリク様…円卓金貨一枚でどう?」

「普通の金貨十枚に負けなさい」

「ちぇっ。はーい。それでいいでーす」

「リュカ」

「はい。どうぞ、アルファさん」

「まいどありー」

「さて、私のカジノに手を出してくれたどぶネズミたちに正義の鉄槌を下しつつ特別なアレキサンドライトの回収と洒落込みますか」

「テンペスタファミリーも、エルドラドに手を出していなければ命拾いできたというのに」

「本当に。じゃあ、行きましょうか」

「承知致しました。準備をして参りますので少々お待ちください」

「ええ、お願いね」

リュカは馬車を準備してアンジェリクを乗せると、チェーンウィップをそれと分からないように隠して持ちテンペスタファミリーの屋敷の前まで馬車を走らせる。

「ふふ。頑張ってね、リュカ」

「もちろん、貴女には誰にも指一本触れさせませんよ」

「頼りにしてるわ」

そうして、テンペスタファミリーにとって悪魔の時間が始まる。
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